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31. Who Killed Cock Robin (誰が彼女を殺(ヤ)ったのか?)

読んでいただいてありがとうございます。本来アリの社会では一つの巣に1匹の女王アリとメスで構成された働きアリ、同じくメスの兵隊アリ、そしてオス。アリの社会性は非常に興味深いなと思いそのアリの世界観を書いてみたくてこの様なエピソードが出来上がりました。当初アリの女王は巨大なアリ自身という設定でしたが話を練る段階で何故アリ達は月斗たちをとんでもないところからわざわざアリの女王の体内に侵入をさせたのか?という理由の整合性を色々と考えてみました。何故アリの女王アリが2匹いるのか?そしてアリの女王2の目的は何なのか?是非続きをお楽しみください。



『自爆まであと59秒……総員退避!総員退避!』

……40……30……20……10…9…8…7…6…5…4…3…2…1…

 

 ゴオオオオオオオオーーーーーツ!


 轟音(ごうおん)とともにこれまで微動(びどう)だにしなかったアリの女王が両膝(りょうひざ)を地面につき前のめりに倒れ込む。


 ドーン!ドーン!ドーン!


 続け(ざま)に鳴り(ひび)いた爆音と共にアリの女王の胴体が内部から(はじ)け飛び剥き出しの白い腹部から胸部にかけて一直線に大きく亀裂が入る。


 一直線に伸びた亀裂はまるで落葉性の針葉樹(しんようじゅ)の樹形の様に腹部から上向きに枝分かれをしてアリの女王の胸元へと伸びていった。


 アリの女王の肢体は胴体を中心に四方へ広がった裂け目から弾け出た炎の塊とともに激しく燃え広がり胴体と脚部をメラメラと焼きながらが2つに分かれその場にドサリと落ちた。




――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――――

 女王アリロボ胎内ーーーーー。

『自爆まであと24分59秒…総員退避!総員退避!』



「この奥か?」堂島(どうじま) 海里(かいり)が経路の確認から戻って来た淡路(あわじ) 駿(しゅん)に確認する。

「………」コクリ。


「この扉を破壊します!下がって!」月斗(げっと)がそう言うと


 ドォン!爆音とともに頑丈そうな扉が吹き飛ぶ。


 鉄の扉は高温で焼かれ赤いマグマの様に溶けてはやがて黒く固まり崩れ落ちた。

 扉の奥を抜けるとややひろめの空間が広がる。


「…………」駿(しゅん)が立ち止まる。


『…………』


「あの中央のくぼみがある辺りだ!」


 そう言って道修(どしょう) 空太(くうた)魔法(アニマ)で宙に浮かびながら天井にあるくぼみを指さした。


 空太(くうた)の指示に従って月斗(げっと)が天井に左手の(ひら)を向けて狙いを定める。


 ドーン!炎の球が天井のくぼみに見事命中しバラバラバラと音を立てて崩れ落ちる。


 天井に人が通れるくらいの穴が開き空太(くうた)が中を覗き込んで確認する。


「ここから上へ上がれそうだ!」


 空太(くうた)はそう言うとゆっくりと地面に着地する。

「よし!空太(くうた)!俺たちを抱えてあそこまで飛べるか?」

「どうかな?だが時間が無いが1人ずつなら何とか!」

そう言うと1人ずつ順番に空太(くうた)の両肩に手を置きおんぶされる様な格好で掴まり高く飛び上がる。


 自分の体重プラス背中に背負った者の2人分の重量でジャンプをして宙に浮く。


 ゆっくりとヨロヨロと不安定な体勢で月斗(げっと)のあけた穴へと到達し背負ったメンバーを下ろすとまた次のメンバーを背負っては穴まで運ぶ!の繰り返し。


 メンバーの中でも1番身体が大きくスタミナにも自信のある空太(くうた)だったがさすがに何往復(なんおうふく)も人を乗せて飛ぶのには体力的にも魔力的にも限界がある様だ。


 魔力は使い過ぎると(から)になり、体力の消耗にも影響するようだ。


 この作業を3往復繰り返すと、突然、空太(くうた)がハァハァと肩で息をしはじめた。


空太(くうた)、あと3往復行けそうか?」

「…………」

「無理な様だな。(かじ)空太(くうた)()()()Re()を!」


 堂島(どうじま)(かじ)に声をかけると(かじ)がすかさず布製の巾着袋から豆の様な()()()()を肩で息をする空太(くうた)に手渡す。


 (かじ)は袋の中を再度確認する…大事にしまっていたはずのセンズReが空太(くうた)に渡したのが最後だった。


 確か3粒あったはず…


 空太(くうた)がそれを受け取り、口に入れた途端荒くなった息がゆっくりと静まり体力と魔力が全快した様に力が湧いて来た。


「行けそうです!先生!」

「よし、頼むぞ。」


 堂島(どうじま)はそう言うと先に天井の穴から中へ入った日向(ひゅうが) 月斗(げっと)淡路(あわじ) 駿(しゅん)本庄(ほんじょう) (りく)の3人に向かって手を振る。



 3人はコクリとうなずきこのフロアの様子を伺う


「……………」


 駿(しゅん)がジッと動かず目を閉じる。


 コクリと頷き、次の瞬間パッと姿が消える。


 フロア内は侵入者防止用に赤外線の様なものが張り巡らされていて通常人間の目には見えない。


 駿(しゅん)はこの赤外線の中を()(くぐ)り一瞬で駆け抜け扉の横にある解除ボタンを押し、月斗(げっと)たちの元に戻って来た。所要時間にしてわずか3秒。


 一瞬、月斗の目から駿(しゅん)の姿が消えたと思ったら次の瞬間にはもう元の場所に戻って来ていた。


 横にその光景を見た空太(くうた)は元の世界に戻ったら陸上の世界記録を100メートル1秒以内とかで駿(しゅん)が更新しそうだな…と思った。


 これまで人類が0コンマ0何秒(なんびょう)という9秒台というぶ厚い壁をコツコツと更新して凌ぎを削り合う中、いきなり1.23秒とか場合によっては0.85秒とかって記録を叩き出したとしたら他の選手はやる気無くすだろうな…


 いや…無くす…確実に…


 さらにネットやSNS上で「早すぎてワロタ」とか「陸上100メートルオワタ」とか色々書き込まれて炎上!


 100メートル走!いや400メートル、引いては槍投げや円盤投げなど以外の陸上競技の歴史に幕を引く可能性があるな…ならば競歩は?


 競歩はどうだ?


 競歩は片方の足のかかとをつけた状態で…などとルールが厳しそうだから無事か?競歩の皆さん安心して下さい!


 ていうかアイツ!


 とんでもない記録のせいで逆に世界陸連とかに怒られるんじゃね?


 たぶん世界陸連のエライおっさんかなんかに何してくれるん?

自分?


 みたいに怒られるんじゃ……。


 まぁ…でもこの事は元の世界に無事戻った時に伝えればいいか。


 ていうか今はこの危機的状況から抜け出すのが先か……でないとこのままでは全員死ぬ!


 チームの頭脳、的確な状況判断を瞬時にこなすCB(センター)道修(どしょう) 空太(くうた)は安心しろ駿(しゅん)、俺がお前を守る。


 と思った。


 駿(しゅん)魔法(アニマ)瞬間移動(テレポート)と違うところは実際自分の足を使って移動をしている為、歩いて行けない様なところではこの魔法(アニマ)は使えないと言うことだった。


「……………」


『自爆まであと14分59秒…総員退避!総員退避!』


 残りのメンバーを運ぶ為が空太(くうた)が下の階に戻る。


 堂島(どうじま)(かじ)を上へ送り届けたあと、


 問題は…コレだな…と


 空太(くうた)は床に横たわる全裸の()()をマジマジと見つめた。


 自らを()()()()()2()と名乗った彼女…頭から伸びた触覚…異種族…とは言えその身体のラインは人間の女性と(なん)ら代わりは無かった。


 童貞の空太(くうた)にとってエロ動画などで女性のヌードを見る事はあっても実際に目の前に無防備に横たわる全裸の女性の姿を()の当たりにした経験が無い…さっきまでは駿(しゅん)に抱えられて移動をしていたが足場の無い、上の階までの移動は別だ。


 こうしている間にも時間は刻々と過ぎていく。


 考えるな!そう自分に言い聞かせると空太(くうた)は動かない()()を背中に背負う。


 膨らんだ胸の感触が背中にハッキリと伝わる…ウッ!マズイ…ムスコがギンギンになりやがった…何か気を紛らわすしか…


 …………………


 …………………


「まだか⁈時間が無いぞ空太(くうた)!早くしろ」

上から堂島(どうじま)の声がする。

 ………


「よし!」


 意を決して空太(くうた)は背中に()()を背負い飛び上がる。


 気を紛らわそうとすればする程、背中に伝わる感触…全集中(フルコンセントレーション)で2つの突起物の位置を探る!


 乳首だ。


「ウッ!」

前屈(まえかが)みになりながらも(ちから)を振り絞り飛び上がる。


 フラフラっとした体制のままに宙に浮き勢いをつけて上昇を試みるもバランスを崩しグルンっと一回(ひとまわ)り空中で前転をする様に回転してしまった。


 アアアァー!


 辛うじて背中に背負った()()()()()2()を振り落とす事なく持ち(こた)えた。


「大丈夫か?空太(くうた)!大丈夫か?」


「!!!!!!ええ!何とか…」


 ヨロヨロとゆっくりとしたスピードで空太(くうた)は何とか堂島(どうじま)達の元にたどり着いた。


「もう時間が無いぞ…」


 空太(くうた)がみんなに合流すると駿(しゅん)は当然の様に空太(くうた)の背中から()()を下ろし何の躊躇も無く抱き上げた。


 お姫様抱っこの様に。


 いや女王だから女王様抱っことでも言うべきか…て言うかそもそもそんな抱っこは無いか…などと空太(くうた)が考えを巡らしていた。


 そして駿(しゅん)のその一連の動作が余りにも流れる様に自然だったのに驚いた。


 もしかしたら駿(しゅん)()()俺たちとは違うのかも知れない…空太(くうた)の脳裏に一つの疑念が湧いた。


 駿(しゅん)空太(くうた)は小中高とずっと一緒だった。


 誰よりも駿(しゅん)の事を理解しているつもりだったが….今、目の前にいる駿(しゅん)を見ていると何故か遠い存在に思えてならない時がふとある。


 疑いたくは無いがもしかしたら駿(しゅん)は、俺たちと違い……いや、駿(しゅん)に限ってそんな事は…


「先を急ごう」


 そう言って月斗(げっと)空太(くうた)の肩に手を置く。


「ああ….」


 空太(くうた)はそう言うと一行は駿(しゅん)が解除した赤外線の張り巡らされたり部屋の奥へと進む。


 目の前にとても頑丈そうな扉があらわれた。

「……………」

 駿(しゅん)が扉の前で立ち止まり目を閉じる。


『……………』


「……………」


「どうやらこの扉の奥らしい。」


 空太(くうた)駿(しゅん)の言葉を皆に伝える。


 硬く頑丈そうな扉はロックされていて押しても引いても開きそうに無い。


「皆んな下がってくれ!」


 月斗(げっと)はそう言うと扉に向かって炎の球を勢いよくぶつけた。


 炎の球が扉にぶつかりロックされた錠前(じょうまえ)の部分が爆発し破壊される。


 月斗(げっと)はロックの外れたドアに勢い良く体当たりをする!


 ガッ!………扉はビクともせず月斗(げっと)を押し戻す。


「…………」

『…………』

「…………」


「残念ながら月斗(げっと)!どうやら押すタイプじゃ無くて横にスライドするタイプの様だ。」


 空太(くうた)駿(しゅん)の言葉を代弁する。

「くっ!なんて紛らわしい扉なんだ!」


『自爆まであと8分59秒…総員退避!総員退避!』


「もう時間が無い!急げ!」


 月斗(げっと)が扉を横にスライドさせるとさっきの女王アリ2(ツー)のメーターだらけの部屋以上にありとあらゆるサイズの計器類(けいきるい)所狭(ところせま)しと並んだ部屋へと辿り着いた。


 多分ココが女王アリ1(ワン)の部屋だ。


 その場にいる全員がそう確信していた。


 メーター類がウィーン、ウィーン、ウィーンと音を出している。


 一行が部屋の中へと足を踏み入れる。


 その部屋の中央には装飾の施された玉座があり誰かが座っている気配がする。そして次の瞬間、月斗(げっと)達の脳裏に()()()()()主人(あるじ)と思われる者の意識が伝わる。


『待ちかねたぞ!少年!』

 威圧感のある思念!


「アンタが全てのアリのママ、アリの女王1だな?」

『エエ。いかにも皆からはそう呼ばれてはいるな。』


「何かスッゴイ偉そうなんですけど!手っ取り早くアンタを倒せばすべて解決するんじゃ無いのか?」


『ほう?この私を?お前達の様な童貞風情(どうていふぜい)が!ヤレルのかな?』


 月斗(げっと)が左手に炎を作りだす。


「先生!もうやっちゃって良いですか?」

「待て!早まるな月斗(げっと)()()との約束を果たすんだ。」


「クッ……」


 月斗(げっと)は構えた左手の拳に宿した炎を静かに弱める。


!!!!!!


すると玉座が素早く回転し()()()目にも止まらぬ速さで月斗(げっと)達の前に飛びかかって来た!


 バッ!!!!!


 ザザザザザザーーーーッ!

 ()()は地面に正座で滑り込み、即座に両手をついて月斗(げっと)達を前に(こうべ)を垂れた。


 スライディング土下座⁈


 アレ?さっき見たっけ?デジャブ?


 さらに()()は両手の平を上に向けてる。

 敵意が無い…というアピール!


 本日2回目の見事な土下座来ました!


 間違い無いこの土下座の仕方。


 ()()の言うこの(コロニー)全てのアリ達の「ママ!」いやアリ達の「()()()だ!」


「時間が無いんだ、(おもて)を上げてくれ!」


 堂島がそう言うとアリの女王はゆっくりと頭を上げる。


『自爆まであと4分59秒…総員退避!総員退避!』


「ここに来てアンタの事を救って欲しい…と言うのが()()の意思だった。」


『そうか…すまなかったな。少年達よ。』


 そう言うと()()は垂れた頭をゆっくり上げた。


 その顔はアリの女王ロボと呼ばれる顔そのものだった。


 そして月斗(げっと)たちを一瞥(いちべつ)すると


『フフ…1人混じっているな。なるほど…お前達全員を童貞風情と呼んだ非礼を詫びよう…』


 と呟く。


「!!!!」

「混じってるだと?」

「何が混じってるんだ?」

非童貞(ひどうてい)さ…』

「ひどうてい?」

『童貞では無い者…と言う意味だよ…』


 アリの女王1(ワン)が答える。


「そんなの当然だろ?堂島先生(どうじませんせい)がいるんだから!謝れ!先生に謝れ!」


「よせ!月斗(げっと)!」


 興奮した月斗(げっと)堂島(どうじま)が制す!

「でも先生…」


『チ…ガウ……その男はチガウ。間違ってるぞ!』


 正座したままアリの女王がそう言う。


 表情はわからないがどうやら笑っている様だ。


「そんな!先生が違うって言うのか?」


『フフ…そうだ。』


「先生が違うだなんて…」


『そう….その男は妖精だ!』


「エッ?先生が妖精?」


『そう…お前達の世界では30を過ぎて童貞だと魔法使いになると言うがどうやらこの男は魔法(アニマ)はもう使える様なので妖精になる!と言う言い伝えがあるのは知っているな?…』


「…………」


「確かに…昔…おばあちゃんに聞いた事がある…「(りく)や!30までに童貞を捨てないと魔法使いになってしまうよ!…魔法使いに…」てな感じだった様な!」


「そんな…それは都市伝説じゃ無いのか?」


「やめろぉ!ヤツの言葉に惑わされるな!」


『自爆まであと3分59秒…総員退避!総員退避!』


「じゃあ、一体誰が非童貞(ひどうてい)だと言うんだ?まさかこの中に()()をヤッたのが?」


『そう…この()の願い…を叶えた者がお前達の中にいる』


 そう言ってアリの女王は駿(しゅん)の腕に抱えられた()()に視線を向ける。


『自爆まであと2分40秒…総員退避!総員退避!』


『誰が()()を、ヤッたのか?』


「……………」駿(しゅん)()()()の涙、いや蚊の無く様な声で()()()()()と言う。

『そうだよ!彼だよ!彼がそこにいる()()()()をヤッたのさ!』


「何だって⁈駿(しゅん)⁈いつの間に?」


駿(しゅん)、オレが感じていた疑念が現実のものに…俺たちとは違うのかも…と言う違和感の正体がコレか…」


『フフ…では私の口から語ろう!その少年が一体いつ、如何(いか)にして私の娘をヤッたのか……を』


to be continued in MILKY GUYS(ウチのオカンが言うには)


読んでいただいてありがとうございました。

アリの女王2をヤッたという淡路 駿。彼の真意とは次回明らかになるのでしょうか?是非続きをお楽しみください。

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