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27. The one who almost dies(大体死ぬヤツ)


 堂島(どうじま) 海里(かいり)32歳。


 兵庫県の西宮市にある私立応徳学園高等部(わたくしりつおうとくがくえんこうとうぶ)の物理教師であり、日向(ひゅうが) 月斗(げっと)達の所属するハンドボール部の顧問である。


 私立応徳学園(わたくしりつおうとくがくえん)は、堂島(どうじま) 海里(かいり)が新任の教師となって2年目にあたる設立から100周年を迎えた際に伝統的な男子校から新しく学部を開設し男女共学校となった。


 理系教科の教師と言うことで直接教壇で授業を受ける事の無い女子生徒たちにもその類稀(たぐいまれ)容貌(ようぼう)と白衣を(まと)った姿、そして理系男子に似合う眼鏡(実際は視力も良く伊達メガネ)のその姿から瞬く間に人気を集め「カイちゃん」の愛称で親しまれた。


 さらに堂島(どうじま)海里(かいり)応徳学園(おうとくがくえん)OBであり、在校中にはハンドボール部のキャプテンとして2度全国大会で優勝を果たしている。


 まさに頭脳明晰、容姿端麗、スポーツ万能と三拍子を兼ね備えていた。


 ただ一つファッションセンスをのぞいては…非常に残念なことだが。

――――――――――――――――――――――――

 ↑↑↑↑↑↑


 ピキーン!


「!!!!!まずい!何か今、先生の事が語られてる気がする!」


「大丈夫か?月斗(げっと)!語られるって誰に?」

 唐突に喋りはじめた月斗(げっと)(りく)が声を掛ける。


「ワルイ!取り乱してしまった。」


「ああ、しっかりしてくれよキャプテン!」


 (りく)に声を掛けられ月斗(げっと)(かろ)うじて落ち着きを取り戻した。


 スマホで時間を確認すると丁度、堂島(どうじま) 海里(かいり)がアナの中に入ってから30分が過ぎようとしていた。


「30分たった…時間だ。」


「どうする?月斗(げっと)

「ああ」

 しばらく沈黙したあとに

「気付いたか?さっきまで鮮明に伝わって来た女王アリの思考が止まっているのを?」


「ああ、全く聞こえなくなった。」


 (りく)はそう答えると堂島(どうじま)の入っていったアナを眺めた。


「嫌な予感がする。」

「先生に何も無ければいいけど…」

「やめろ(りく)!それは言うな!」

「………」

 残された生徒5人は互いに顔を見合わせる。


 皆が額に汗をじんわり(にじ)ませながら立ち尽くす。


「行こう!」月斗(げっと)はそう言うと意を決した様に語気を強めた。


「外にはアリの衛兵がいる。このままココにいるより先に進もう!」


「お前がそう決めたんなら俺はお前に従う!」


 (りく)がそう切り出すと

「ボクも月斗(げっと)先輩について行きます。」


 この中で唯一の1年の(かじ)も答えた。

 「…………」

 「声小っさ!」

 「オレも月斗(げっと)に賛成だ!と駿(しゅん)も言ってる。オレも賛成だ。」


 一同はお互いに顔を見合わせ自然と円陣を組み始めた。


 皆が一斉に片手を差し出して順番に手を重ね合わせた。


「行くぞ!」

「おお!」「おお!」「おお!」「…」「おお!」


「よし!行くか!」と意気込んだ月斗(げっと)

月斗(げっと)後ろ、後ろ!」と(りく)が声を掛ける。


 振り返ると堂島(どうじま)月斗(げっと)の後ろに立っていた。


 なんか肩透かしを喰らった様に「…………」


「ああ!良かった!無事だったんですね!先生のセリフが大体死ぬヤツだったので!良かったです。」


 と月斗(げっと)が声を掛ける。


「そうですね!この中だと真っ先に年長の人とか師匠とかが大体死ぬヤツだったので良かったです。」


 と(りく)が続く。


「大体、大事なモノを預けるとか、大体死ぬヤツだったので良かったです。」


 (かじ)もそう言うと


「…………」


 ボソボソと淡路(あわじ) 駿(しゅん)が喋る。


「声、ちっさ!」


 一同が一斉につっこむ。


「手を怪我してかすり傷だ!とかって大体死ぬヤツだったので良かったです。って言ってます。」


 淡路(あわじ) 駿(しゅん)の小さな言葉を道修(どしょう) 空太(くうた)が代弁する。


「すまん心配かけたな!」


 堂島(どうじま)は額から黄色い液体をべっとりと垂らしながら生徒達に声をかけた。


「先生!その頭についてるネバッとしたのって何なんですか?大丈夫なんですか?」


「ああ、コレか…舐めてみたら蜂蜜(はちみつ)みたいな味がしたな」


「!!!えっ!舐めたんですか?普通舐めます?」


「ああ、無意識にハナクソを食べるかの如く舐めた…」


「無意識にハナクソなんて食べませんよ!てか蜂蜜(はちみつ)?アリなのに?」


「ああ!しかもコイツにはすごい栄養があるぞ!すごいお腹が満たされて体力が一気に戻る様な!」


 よく見るとズボンの股間の辺りにもその()()()()がべっとりと付着している。


「センズ…ですか?」

「馬鹿言え!いくら1人になったからと言ってそんな事するか!」


 (なん)か急に怒りだした…

「いや、じゃ無くて…」


「まぁ、……そもそもアリはハチ目アリ科に属していてミツバチとアリは、スズメバチよりも種族としては近いんだ。恐らく栄養価の高い…」

「えっと、その話長くなりますか?」


 月斗(げっと)が食い気味に言葉を遮った。

「………」

 堂島(どうじま)は軽く咳払いをする。

「とにかく、この奥に女王アリの本体がいる」


「???」


 「本体?本体って何ですか?」


「この巨大なのが女王アリじゃ無いんですか?」

 少し勿体ぶって


「ソレな!とにかくみんなでこのアナを通って先に進むとしよう。」


 と堂島(どうじま)はアナを指差す。


 そして思い出したかの様に振り返ると


「その前に大事な()()を返して貰えるかな?」


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