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26. Death flag (死亡フラグ)


「どうやら潜入に成功した様だな!」


 堂島(どうじま) 海里(かいり)が鏡の様なサングラスを、クイッとさせて自信満々に言う。


「潜入!!!!!!っていうか、何だかまんまと罠にはまった様な気分ですが…」


 得意げな堂島(どうじま)に対し月斗(げっと)が意見する。


()()()()気にすんなって!奥へ進むしか無いんだから()!」


 と堂島(どうじま)が明るく答える。


 月斗(げっと)達一行は、アリの衛兵たちから逃れる為に道修(どしょう) 空太(くうた)の見つけた「入口(いりぐち)ココ↑」と書かれた女王アリの()()部分から侵入を果たした。


 中は真っ暗で強い酸味がかった匂いが充満している。


 月斗(げっと)達、一行(いっこう)がいる場所は横幅が約1(けん)、1.8メートルに満たないほどの大きさで壁は天井までぎっしりと細かい石を積み重ねたトンネル状をしていて丸みがある。


 照明がわりに月斗(げっと)(てのひら)に炎を出して松明(たいまつ)の様に照らしながら入り口付近からゆっくりと奥へと進んでいった。


月斗(げっと)!それって熱くないのか?」


 本庄(ほんじょう) (りく)がその炎を見て月斗(げっと)に尋ねた。


「あぁ、ホラ!」そう言って月斗(げっと)(りく)に炎を近づける。


「アツツツツツ!ーって、熱っ!」


「えっ!ゴメン!俺は何とも無いのになぁー」


()()()()、どうやら自分の魔法(アルマ)に対する属性に耐性が備わるのかも知れんな!」

 顧問の堂島(どうじま)は魔法をアニマと呼ぶのが気に入ってるらしい。


()()俺の()()(アニマ)も試してみるか。」

 そう言って堂島(どうじま)は自身の手を眺めた。


 その(かん)もずっと女王アリの


『やめろぉ〜やめろォ〜!中へ入るなぁ〜!』

 という思考が月斗(げっと)達一行に伝わって来ている。


()()()()()()()()()()()このまま()()()()()()進むぞ!」


 堂島(どうじま)はそう言うと生徒たちと共に奥へと進んでいく。


「確かに体内!ていうか胎内(たいない)に潜り込んでいればアリの衛兵達から攻撃される事もないでしょうし、それに体内から炎の魔法(アルマ)で攻撃すれば女王アリも倒せるかも知れませんね!」


 1年の(かじ) 大作(だいさく)がそう言うと


『!!!!!!いいぞ!いいぞ!そうしろ!』


 体内に侵入される事を拒んでいたアリの女王の思考が月斗(げっと)達一行の脳裏に伝わって来る。


「??喜んでる!罠か?体内からの攻撃を誘っているのか?」


「どういう事でしょう?」


()()()()()月斗(げっと)!ちょっと壁に炎を撃ってみろ!」


「えっ?いいんですか?大丈夫ですかね?こんな狭いとこで爆破なんてしたら…酸素が無くなったり、煙 が充満したりしてまずく無いですか?」


 躊躇しながらも月斗(げっと)は生き物?の体内というよりも古い坑道の様な石積みのトンネルといった壁に炎を近づける。


『ああああァ〜いいぞ!いいぞ!』

「ヤバイ!喜んでるぞ!」

「………」

「そういう(へき)の人?って言うかアリなのかも…」


 月斗(げっと)はそうポツリと呟いた。


「ああ、中に進まれるのは嫌がってるのでこの先に何か弱点があるのかも知れんな!こりゃ()()()()()()()()()


「どうします?もう少し中へ進みますか?てかさっき壁に炎を近づけたら、壁にも矢印が書いてあるんですけど…」


 月斗(げっと)が壁に炎を近づける。


「ホントだな…」


 一行は炎に照らし出された石積みの壁に白いペンキで描かれた様な矢印をまぢまぢと眺めた。


「矢印だよな…」

「矢印です…よね…なんか、嫌がってる割にはご丁寧に誘導してるような…」


「あぁ!だが(うしろ)には衛兵たちも待ち構えてるし先に進むぞ!女王アリの弱点があるはずだ!」


 一行はお互いの顔を見回し、覚悟を決め、恐る恐る一歩ずつ辺りを照らす炎の光を頼りに奥へと足を進めた。


 (てのひら)に炎をランタン代わりにする日向(ひゅうが) 月斗(げっと)を先頭に幼馴染の本庄(ほんじょう) (りく)が続く。


 その後ろをハンドボール部の顧問である堂島(どうじま) 海里(かいり)と1年の(かじ) 大作(だいさく)、そして、2年の淡路(あわじ) 駿(しゅん)道修(どしょう) 空太(くうた)が続いて歩く。


 足元は不揃いなレンガ敷きといった様な雰囲気で炎に揺られながら一行は歩きにくい道をゆっくりと進んだ。


 その(かん)も、女王アリの

『やめろぉ〜、やめろぉ〜』という思考は途切れる事は無かった。

 

 時間にして10分ほど歩くと行き止まりになった。


「どうやら行き止まりの様です。」


 月斗(げっと)は立ち止まって振り返り皆にそう伝えた。


 壁に記された矢印を元に奥へと進んだ結果、途中に分かれ道なども無かった。


 堂島(どうじま)が炎に照らされた壁を調べると中央辺りに直径1メートル弱ほどの穴があるのを見つけた。


「よし!ここから中に入れそうだな!」


 堂島(どうじま)は穴の周りを、手で探ってみた。


「痛っ!」


 堂島(どうじま)が痛みを感じて手を引っ込める。


「!!!?」


「先生⁉︎大丈夫ですか?」


「あぁ、()()()()()()()()()()


 堂島(どうじま)がそう言うと


『そこはやめろぉ〜!やめろぉ〜!』


 女王アリの今まで以上に焦った様子が皆の脳裏に伝わって来た。


「決まりだ!ここから中へ入るぞ!」堂島(どうじま)は鏡の様なサングラスをクイッとさせながらそう言った。


「では、行ってくる!30分経っても俺が戻らなかった場合、月斗(げっと)!後の事は任せた。」


「はい、でも先生!中は暗いのでそのサングラス外した方が良くないですか?」


「ふっ、そうだな!()()()()()()()()()()()()()()()()()!あと、コレもな。それは俺にとって大事な物なんだ。俺が戻るまで大事に預かっててくれよな!」


 と言って堂島(どうじま) 海里(かいり)は、サングラスと手にした竹刀を月斗(げっと)に手渡した。


 サングラスの下から長い睫毛と綺麗な二重の大きな目をした爽やかイケメンの表情をあらわした。


 それにしても私服が残念だ。


「………」


「すみません。先生、俺が余計な事言ったばっかりに!何かフラグっぽくなってしまって!」


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 結局、全員が一度に入って奥が行き止まりだった場合、完全にアウトという判断で満場一致で言い出しっぺの堂島(どうじま)がトライする事となった。


 狭い入り口に両腕を突っ込んだ形で堂島(どうじま)が穴の中へと入って行く。


 月斗(げっと)たちはそれを静かに見守った。


 両腕を穴の入り口に入れ身体を中へと押し込んでいきゆっくりと堂島(どうじま)はそのアナへ侵入することに成功した。


 入り口同様、中は狭く人が1人通れるかという様な穴に匍匐前進(ほふくぜんしん)両肘(りょうひじ)に力を入れて身体を前へと引き寄せながら進んだ。


 それを何度も何度も繰り返していく。


 幾分目が慣れて来た頃に堂島(どうじま)は少しその場で休憩をし独り言を言った。


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()…」


 そう呟いた後、尚も奥へと進んだ。


 すると目が慣れた訳でも無く明らかに目の前が明るくなって来たのがわかった。


()()()()()()()()堂島(どうじま)は安堵のため息を漏らしながら、疲れた身体を突き動かし匍匐前進(ほふくぜんしん)で出口へと向かった。


()()()()()()()()()()


 そう言うと勢い良く狭い通路から抜けだした。


「!!!!」


 堂島(どうじま)の頭上から何かの液体の様な物が垂れてきた。


 恐る恐る額に手をやる。


 ひんやりと冷たい。


 額と手にはドロリとした液体が付着している。


()()()()()()()()()()()



――――――――――――――――――――――――

 堂島(どうじま) 海里(かいり)が穴の中に入ってから、間もなく30分が経とうとしていた。

 

「なぁ、堂島(どうじま)先生って、あんな風に語尾に、「よな!」とか、「なぁーに」とか言う人だったっけ…?それに、やたらと先生のセリフに傍点が付いてた様な…」


 月斗(げっと)はそう言いながら、堂島(どうじま)が入っていった穴を見つめる。


「…………」


 そこに残された生徒たち全員が喉の乾きを強く感じていた。

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