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異界探訪機動巨神ユミルギガース Re:cross WORLD1st  作者: LA note
プロローグ〜観測者(オブザーバー)
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19. I want to play handball(ハンドボールがしたいです)

19. I want to play handball


 中学時代の(みなみ) 千里(ちさと)類稀(たぐいまれ)な高身長で長い手足とその身体能力の高さから1年の時から女子ハンドボール部のエースとして活躍をしていた。

 

 千里(ちさと)の通っていた関西小倉中学(かんさいこくらちゅうがく)は、運動部の活動も盛んで、中高一貫教育(ちゅうこういっかんきょういく)の為、エスカレート式に高校へ進学しハンドボールを続けて行くつもりだった。


 ()()()()()()()()()


 3年の夏、関西小倉中学(かんさいこくらちゅうがく)ハンドボール部は、全国大会で男女共に優勝を果たす快挙を成し遂げた。


 ()()()()が無ければ、男子チームは無得点のまま敗退し優勝する事は無かった。


 て言うか1点も取れなかったチームに負ける決勝の相手って何?


 しかもこれまで2連覇してる学校でしょ?


 めちゃくちゃ強そうなのに何で0点のチームに負けるの?


 てか0点て?


 野球か?


 の○太のテストか?


 口には出さなかったが千里(ちさと)はそんな事を考えていた。


 夏の大会が終わり、9月の新学期が始まった頃、千里(ちさと)たち3年は部を引退する。


 エスカレート式に高校に進学する生徒がほとんどで、受験勉強をする必要がない為、卒業間際まで部に残る者もいるが一応節目として引退セレモニーと称して3年の男女混合チーム対1.2年の選抜チームによる対抗戦が恒例となっていた。


 千里(ちさと)も丁度1年前に選抜チームとして先輩達をこのセレモニーで送り出した事を思い出していると、男子部のキャプテンが千里(ちさと)に話かけて来た。


(みなみ)!今日は1.2年を軽くひねってやろうぜ!」妙に甲高い耳障りの悪い声だ。


「……」


 千里(ちさと)は、またフラグが立つのでそう言う事言わないでくれる?と口に出しそうになるのを抑えて無言で試合の準備に取り掛かる。


 尚もその男は、「優勝チーム男女キャプテンがお前らの相手をしてやるぜ!」と1.2年の混合チームに声をかけた!


「………」


 半ば呆れて黙っていると


「知ってるか?(みなみ)応徳(おうとく)の金髪の奴!高校でも大会に出れないらしいぞ!それと赤毛の奴もそれに付き合って大会には出ないって噂だ!ヒャハ!暴力を振るった報いだな!いっそ辞めちまえば良いのに!ヒャハ!」


「⁈」


「その噂、私も聞いた。」


 同じく引退をする千里(ちさと)のチームメイトが会話に加わる。


 千里(ちさと)はしばらく()を置いて


「ゴメン、私、あなたとは同じコートに立ちたく無いわ!私、この試合には出ません!」


「なっ!なっ!何を言ってるんだ?」


「私も千里(ちさと)と同意見だわ!」


「私も!」


 そう言って3年の他の女子も試合を放棄すると言い出した。


「敵チームとは言え、同じスポーツで頑張ってる人に対してそんな事言う人…なんか嫌だ!」


「なっ!なっ!なっ!なっ!アイツらがした事、肯定するってのか?」


「肯定はしない!暴力はダメだし!…でも否定するつもりも無い!けれどあなたの言動は否定する!」


「ふん!ふん!ふん!ふん!勝手に言ってろ!」


 男子部のキャプテンはそう悪態をついてその場を離れた。


 せっかく後輩たちが時間を割いてくれたセレモニーを無駄にしてしまったと言う後悔に千里(ちさと)が心を痛めていると女子部の後輩達が集まって来てくれた。


「先輩!大丈夫です!今日の事は、残念ですけど私たちも先輩方の意見に同意見です!」


 2年の次期キャプテンの(かじ) 潮来(いとこ)千里(ちさと)達に声をかけてくれた。


「それで提案なんですが、私たちだけでちょっとした企画を考えてみます!なので先輩方、それには是非参加して下さいね!」


 女子部員が体育館をあとにして、男子部員のみがポツンと残された。

――――――――――――――――――――――――


 それから1週間後の日曜日、千里(ちさと)達は、新大阪駅で後輩たちと待ち合わせることになった。


 改札を出て後輩達と合流をすると駅の北口から西にしばらく行くとフットサルのコートがずらりと並んでいた。


 土日はさすがにコートの予約がいっぱいだったが、午後の14時から2時間Dコートを借りる事が出来たらしい。


 フットサルとハンドボールのサイズはコートやゴールのサイズもほぼ同じなのでプレーするにはここでも、問題無さそうだった。


 コートは、砂なしゴムチップなしの短い人工芝の為、ドリブルを無理にしようとすればイレギュラーしたり、跳ね返りが無い為パスのみになりそうだった。


 ここの人工芝はショートパイルで、フットサルとして使うと、パススピードが上がりやすくコートサイズも16m×28mと初心者でもプレーしやすくて人気だ。


 ハンドボールコートとしては小さいがストリート形式で楽しむには申し分無さそうだった。


 後輩達に招かれるままクラブハウスに入り、ロッカーに荷物を置いてユニフォームに着替え終わりコートへ3人が到着すると(かじ) 潮来(いとこ)達、1.2年の在籍メンバーが全員で千里(ちさと)達を3人を歓迎してくれた。


「先輩、よく来てくれました!」


 と(かじ)はそう言うと


「もうすぐ対戦相手も到着すると思うんで、それまで軽く身体動かしませんか?」


「対戦相手?」


 と不思議に思っていると間もなくしてクラブハウスから目立つ髪色のユニフォーム姿の男子達があらわれて千里(ちさと)達のコートに向かって来た。


「えっ?あれは!」


「ええ、実は私の従兄弟(いとこ)応徳学園(おうとくがくえん)のハンドボール部にいるんです!」


「…?」


「せっかくなんで、私たちと応徳学園(おうとくがくえん)で交流試合を組んでみました。コートのサイズは小さいですが、レクリエーションって感じでストリートハンドボール形式で楽しめば問題無いかと…」


 (かじ) 潮来(いとこ)はそう言うと


(だい)ちゃん!こっちこっち」


 と言って応徳学園(おうとくがくえん)のユニフォームを着た天然パーマの10番の少年に手を振った。


 その集団の中に、赤毛の2番、RB(ライトバック)と金髪のLB(レフトバック)、3番の姿もあった。


 応徳学園(おうとくがくえん)の選手達は千里(ちさと)達の方にやって来ると一礼をした。


「俺、日向(ひゅうが) 月斗(げっと)って言います!今日はありがとう、こんな機会を与えてくれて。」


 と言って千里(ちさと)に右手を差し出した。


 左利きの千里(ちさと)は咄嗟に左手を出しそうになったがすぐに引っ込めて右手を差し出し握手をした。


 中学生で挨拶として握手をしてくる異性も珍しかったのと、千里(ちさと)よりも背が低いのに身長からは想像がつかないほど、がっしりと鍛えあげられた硬く大きな手がとても印象的でドキドキした。


「あの試合…残念だったね…」


 と千里(ちさと)は言い出しそうになったが


「こちらこそ、よっ、よろしく。」


 とだけ答えた。


 その年の夏の大会の覇者となった関西小倉高校(かんさいこくらこうこう)女子ハンドボール部のフルメンバー対、応徳学園中等部(おうとくがくえんちゅうとうぶ)の対戦がここに実現した。


 和気あいあいとした雰囲気の中、全員がプレーを楽しんだ。


 中でも千里(ちさと)はこれまで戦ったどんな対戦相手とのゲームよりもこの目の前にいるチームとのプレーが1番に楽しかった。


 彼らのプレーをこれから、高校に進学しても各大会などで見る事が出来ないと思うと残念で仕方が無かった。


 あっという間の2時間が過ぎて、コートを後にしなければいけなくなった時、千里(ちさと)は、とても気持ちが(たかぶ)って、赤毛の少年に


「また、あなたとハンドがしたいです!」


 千里(ちさと)は思わず出た自分のセリフが、ハンドボールの事をハンドって言ってしまった事や同学年なのに敬語っていうとこなど、頭の中がぐるぐるする感じがしてとても恥ずかしくなり、その場にうずくまってしまった。


 すると赤毛の少年は、優しい目をして千里(ちさと)に手を差し伸べながら


「俺も、そう思ってたんだ!」


 と告げた。

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