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異界探訪機動巨神ユミルギガース Re:cross WORLD1st  作者: LA note
プロローグ〜観測者(オブザーバー)
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18. Forfeit match(無効試合) (挿絵あり)

18. Forfeit match

挿絵(By みてみん)


 初日の1回戦で男女共20校中、4校が姿を消した


 千里(ちさと)の中学の女子チームは2回戦で初戦を迎える。


 2回戦は男女共残った16校によるトーナメントが組まれていた。


 千里(ちさと)の女子チームは前半17得点、後半24得点、この内、千里(ちさと)が19得点を収めて勝利している。


 一方、男子チームは前半12得点、後半14得点での勝利を収め準々決勝へと駒を進めた。


 この男子16チームの中でも一際(ひときわ)注目を集めたのが応徳学園中等部(おうとくがくえんちゅうとうぶ)のチームだった。


 一回戦同様、キーパー不在のランアンドガンスタイルにより、コート内の7人全員が攻守共に動き回り、25分間誰一人離脱する事なく、驚異的なスタミナでフル出場を果たした。


 点を取られたら速攻で倍の点数を取り返すスタイルに相手チームが翻弄(ほんろう)される。


 結果、応徳学園中等部(おうとくがくえんちゅうとうぶ)は前半24得点、後半28得点で勝利を収めた。


 相手チームに許した得点は前後半合わせて、僅か26得点のみ。


 それはまるでボクシングで言うところのノーガードでの殴り合いの様相を呈していたが応徳学園中等部(おうとくがくえんちゅうとうぶ)手数(てかず)が遙かに多い。


 その独特のプレースタイルが観客を大いに沸かせていた。


 チームのエースと呼ばれるLB(レフトバック)は、金髪に今時珍しいリーゼントの少年だ。


 自由な校風とはいえ、かなり他チームと異彩を放っている。


 その彼の中学生らしからぬガッシリとして上背(うわぜい)のある力強(ちからづよ)いシュートが相手チームの選手の頭上からガンガンと決まり得点を重ねていく。


 それを阻止するべく、相手チームのディフェンスが2枚、3枚と増えればフリーになったRB(ライトバック)の赤毛の少年の変幻自在(へんげんじざい)なプレーが会場内(かいじょうない)を更に湧かせる。


 通常、RB(ライトバック)というポジションは左利きの選手が多い。


 しかし彼は、シュートを打つ腕をスイッチして状況にあわせ左と右の両方の手でシュートを放っていた。


 相手方のディフェンスがこの2人に集中すると、CB(センター)が巧みにボールを振り分け俊足のRW(逆サイド)がサイドを駆け上がり、電光石火の如く一瞬のうちに点を取る。


 会場では、ワンプレー(ごと)に歓声が上がり、他のコートでプレー中の千里(ちさと)や他の選手も一瞬、動きが凍った様に止まっていた。


 大会2日目、9時半からスタートした第一試合を難なく勝ち抜いた応徳学園中等部(おうとくがくえんちゅうとうぶ)は、午後14時50分からの第二試合に備える。


 千里(ちさと)の中学も男女とも第一試合を終えて共に勝利を収めていた。


 午前中の試合が終わり男女とも8チームが敗退していく。


 午後からの試合はこの日、男子チームのみ、2試合目が組まれていて更にここから4チームが姿を消した。

 

 応徳学園中等部(おうとくがくえんちゅうとうぶ)は、午後からの試合もこれまで同様キーパー不在の戦法で勝ち抜いた。


 大会2日目のトーナメントを制したのは、2大会連覇の富山県氷見市立東(とやまけんひみしりつひがし)杜学園(もりがくえん)、近畿勢では、千里(ちさと)の通う関西小倉中学校(かんさいこくらちゅうがっこう)応徳学園中等部(おうとくがくえんちゅうとうぶ)、そして昨年準優勝の愛知県名古屋市立、(みず)滝中学校(たきちゅうがっこう)の4チームが準決勝へと向かい大会2日目が終了した。


 大会3日目、男子はこの準決勝で西宮市の応徳学園中等部(おうとくがくえんちゅうとうぶ)関西小倉中学校(かんさいこくらちゅうがっこう)の近畿勢同士の対戦となる。


 約1年前の練習試合で対戦したカードがここで初めて組まれる。


 ただ前回の練習試合と違うところは、関西小倉中学校(かんさいこくらちゅうがっこう)のメンバー全員が1軍のレギュラーチームだと言う事。


 そのメンバーの中に前回の練習試合の時に応徳学園中等部(おうとくがくえんちゅうとうぶ)のメンバーを完膚なきまでに叩きのめした選手も今年レギュラーメンバーとしてチームに加わっていた。


「南!見てろよ!去年同様、フルボッコにしてやるからな!そして男女でアベック優勝と背負(しょい)()もうじゃないか!ガハハハハ!」


 千里(ちさと)は、この男子チームのキャプテンの昭和っぽいセリフを聞いて敗北を確信した。


 千里(ちさと)の予想通り、試合は一方的に展開し、あり得ない事に、小倉中学校(こくらちゅうがっこう)男子チームは1得点も出来ないまま前半25分が終了した。


 後半戦、小倉中学校(こくらちゅうがっこう)は、後半開始早々に応徳学園(おうとくがくえん)のエース、ゼッケン3番と2番の赤毛のLB(レフトバック)へのディフェンス枚数を3枚ずつに増やす。


 実質、キーパー以外の全員がこの2人の動きを止めにかかった。


 パワープレーでディフェンス3枚の上からゴールを決める応徳学園(おうとくがくえん)のゼッケン3番に対し、上背(うわぜい)の無い赤毛の2番にディフェンス陣が立ち塞がる。


 なりふり構わずボールに喰らいつこうとする小倉中学校(こくらちゅうがっこう)は、ラフなプレーを連発しファウルでの退場者が続出するも、ベンチ入り14人が次々と交代をして応徳学園(おうとくがくえん)メンバーの体力を削りにかかっていた。


 コートにいる7人のみの選手層の薄さがここへ来て露呈し始める。


 しかし小倉中学校(こくらちゅうがっこう)は相手の体力を奪いつつも(なお)一向(いっこう)にボールを奪えないまま、無得点で残り5分となったところで事件が起こった。


 CB(センター)からボールを受け取った赤毛の2番がサイドにドリブルで切り込んでシュートを放とうとした瞬間、ディフェンス2人が激しく後ろからタックルを仕掛ける!ゼッケン2番が体勢を崩し身体が宙に浮くと激しく床へと倒れこんだ。


 一瞬、審判の判断が遅れファウルのホイッスルが鳴らないまま転げ落ちたボールを奪おうと3人の選手が入り乱れて倒れている2番の身体に覆いかぶさる様な体勢で雪崩れこんだ。


 その中の1人の選手の足が倒れ込んでいる3番の頭上をかすめシューズが当たり左目瞼(まぶた)から血が流れ出す。


 と同時にその光景を見た金髪の3番RB(ライトバック)が雄叫びを上げて覆いかぶさった相手選手に飛びかかっては右手の拳を2度叩きつけた後、右足で大きく相手を蹴り上げた。


 金髪の3番の叫び声をかき消すかの様にホイッスルが場内に鳴り響く。


 審判や他の選手数人に取り押さえられる様な形で残り時間1分を残してこの試合は没収試合となった。


 結果、応徳学園中等部(おうとくがくえんちゅうとうぶ)のこの大会での記録は抹消された。


 彗星(すいせい)の如くこの大会に現れた赤毛の少年率いる応徳学園中等部(おうとくがくえんちゅうとうぶ)のチームは、記録からは抹消されたが千里(ちさと)を含む会場にいた観客、及び選手たちの記憶には残った。


 千里(ちさと)は、その時負傷してタンカで運ばれて行く赤毛の少年の悔しそうな表情が忘れられないでいた。


 結果、()しくも決勝へと進出した小倉中学校(こくらちゅうがっこう)は、31対29で富山県氷見市立東(とやまけんひみしりつひがし)杜学園(もりがくえん)の3連覇を阻止し、大会初のアベック優勝を果たした。


 この大会以後、応徳学園中等部(おうとくがくえんちゅうとうぶ)がその後の各大会に出場する事は無く、この時の金髪の3番RB(ライトバック)本庄(ほんじょう) (りく)と赤毛の2番LB(レフトバック)日向(ひゅうが) 月斗(げっと)は数年に渡りあらゆる大会などの表舞台に姿を表す事は無かった。

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