救済への準備
断罪(Conviction)とは・・・
罪をさばくこと。罪に対して判決を下すこと。断獄。「責任者を断罪する」
だがこの世には言い表すにも苦しい程の「無実の者」がこの罪に処されることがある。
私はそれを知った日からこの状況を打破できるあらゆる手を探してきた。
この世界は普通ではない魔法や剣が織りなすファンタジーな世界だ。
力が絶対のヒエラルキーを持つ。
法は支配者により管理され根底から機能していない。
だから私は救うためにはまず絶対的な力を欲した。
しかし残念なことに私には特別な力は生まれつきなかった。
特別な力・・・
そう「称号」のことだこの世界では生まれるを同時に様々なスキルや恩地を神とされるものから授かる
・魔法を使うことに長けた「魔道士」の称号
・岩をも砕く格闘に長けた「格闘家」の称号
といったようにだ
通常はこれらの授かったものを極め上位称号へと変化させようとする
なぜなら上位称号は単純に強いから。
上位称号は強く様々な派生が存在する
未だに政府も全てを管理できていないと聞くから間違いないだろう
例えば
・「魔道士」をある一定まで極めたものは「真魔道士」
・「格闘家」をある一定まで極めたものは「真格闘家」
の称号を得ると聞いたことがある。
言葉に「真」がつくだけだが性能は破格だ。
その魔法は一振りで山をも砕き、その拳は一撃で天をもうがつ。
人間離れした化け物だ。
大抵の政府の重要職に就くにはこの上位職持ちと決まっている。
さて、断罪の者を救うためには当然この化け物達と対峙する可能性大になる。
当然称号を持たない私は即刻でやられるだろう。
ではどうしたらよいか。。。。。
単純である。
その化け物達より圧倒的に強くなれば良い!
その日から様々な鍛錬を行った。
そして最終的には「秘黒の冠」と呼ばれる未踏のダンジョンの最深部で悠々と生活できるようになった。
「秘黒の冠」はまだ人類に発見すらされていない秘境だ。
夥しい数のモンスターがひしめき最強のダンジョンと認定されている「神々の壇上」と呼ばれるSランクダンジョンのさらに深部にこのダンジョンは存在する。
名前は常に暗いので勝手に命名させてもらった。
ある日「神々の壇上」の最深部を探索中うっかり道を間違え気づけばこのダンジョンに来ていた。
やたらと長い下り坂を下りたので最深部で間違いないだろう。
降りる度に暗くなるのでこれはまずいかな?と思った時もあった。
「神々の壇上」はダンジョンの壁の鉱石が光りを発し神々しく輝いていた。
だが、一歩地下に降りるごとに壁は全ての光を吸収するかのようだった。
やっと平坦な道が出てきた時には光を吸収どころか自分まで吸収されそうな暗さだった。
この「秘黒の冠」のモンスターは異常だった。
上層で「Sランク」は常時発生し「SSランク」や「SSSランク」も頻繁に出てくる
「冒険者のランク」は「H~S」まであり「S」が一番高い。
Sランクのモンスターを討伐できるのはもはや勇者とされている
つまりSSランクはこれもまた私が勝手につけたランクである。
少なくともSランク認定の「神々の壇上」の敵よりも200倍は強い敵がそこらじゅうにいたので命名させて頂いた。
そして中でもSSSランクはヤバいの一言につきる
SSランクの更に200倍はあると見て良い。
「秘黒の冠」の最深部近くのモンスターだが全てにおいて破格の性能を持っていた。
おそらく独自に進化を遂げたモンスター達が淘汰され更にその中でも不死鳥のごとく這い上がったものがこのSSSランクなのだと思う。
からり苦労したが今では最深部で生活可能なほどまでに力をつけることができた。
さて、ここ「暗黒の冠」の最深部で、
神樹でいれた紅茶をのみながら次に思ったことがある。
力を手に入れた。
が彼ら。無実の者を断罪する者達はそれに対抗する科学を持っている。・・・と思う。
もし持っていなかったらそれはそれで良い。ラッキーである。
だが入念に準備はしておくべきだ。
そこで知能として科学は絶対に必要だと感じた。
現在政府では反政府魔法使いに対抗すべく秘密兵器を準備していると聞いたことがある。
実査過去にも政府は様々な道具を使い強大な力に打ち勝ってきた歴史を持つ。
つまりどんな強大な力を持ってもそれを分析され対抗手段を見つけられてはお陀仏と言うことだ。
そこで今度は様々な研究を開始した。
幸いこの「秘黒の冠」にはよくわからない素材が数多くあったので始めはそれを研究した。
だが、もし誰か他の狡猾な人間がここまで辿りつきこの深部の素材の知識を得た時確実にやられてしまう。・・・と思う。
そこで、更に研究成果をあらゆる面から分析を行った。
様々な組み合わせや思いつく限りのことをやった。
失敗や成功品から数々の知識を学んだ。
作品を造りすぎて現在では私が発明したアイテムボックスにしまってある。
どうやらこのアイテムボックスは無限に入るらしくとても使い勝手が良い
そしてとある日、実験に失敗した産物ができあがった。
あー。失敗しちゃったかー。
と思ったが失敗作はこれまで様々な発明品となってくれていたので
今回ももしかしたらという期待が1%程あった。
失敗品は一振りの刀である。
様々な発明品を組み込んだ刀に更にアイテムボックス自体の一部を入れたのがまずかったのかもしれない。
そう思い様々な角度から刀を見る。
「うーーーーん。何かやけにこの刀熱くないか?」
このダンジョンの最深部で暮らしているので私の体はそれなりの熱さや冷たさは無効のずだったのだが
まだ鍛え方も足りんかったか。。。
と思った瞬間に異常な紫の光を発してその刀は爆発した。
「熱っ」
だがそれほど一大事ではない。
当然体を回復する薬も常備しているし、致死ダメージを負っても再生できる「不死の指輪、腕輪」といった発明品も数十個身につけている。
何より私の体自信が異常な回復速度を持っているのですぐに回復するだろう。
そう思いふと前を見上げるをよく見知った研究室が前方の上空に浮かんでいた
「あー研究室か」と思ったがこれはおかしい。
なぜ自分がいる研究室が見えるのか?それに徐々にだが体が熱くなる。
初めは焦っているのかと思ったが痛みを感じて手を見た瞬間自分の思考が固まってしまった。
「血が出ている。。。」
そんな馬鹿な。
すぐに研究室に戻ろうとするが体が動かない。
そんなはずはない・・・数々の発明を身につけ常に今なお身体能力も研鑽を欠かしていない
動かないはずがない。
だが目の前の研究室はシュンっと音とともに消えてしまった。
とにかく回復薬をアイテムボックスから取り出さなくては。
すぐに取り出し手を使わずに空中に出してに傷にかけるが回復してもまた傷が広がる。
それどころか見る見るうちに体全体に傷が広がり燃え始める。
すぐに体の輪郭がなくなるが致死ダメージを受けても体が再生するためにまた元に戻る。
何なんだ?ここは?
周りには暗いが全体に宇宙のような星々が広がり幻想的な光景だ。
こんな状況でなければじっくりみたいだろう。
まずいなんとかしなければ。
その瞬間に思考は途絶えた。
体の輪郭は一瞬で消え去った
ただわかる。
体が燃えるような毒のような氷つくようなこの空間自体がなしているものではない。
明らかに他の何者かの攻撃だ。
そこには数体のモンスターがいた。
そのモンスターは私の鍛えられた体と数々の道具を全てに打ち勝ちダメージを与えたということになる。
なんと驚くことに私の再生すら妨害し、発明していた瀕死ダメージから生還する「不死のアクセサリー」を一撃で全て破壊した。
だがこんな時にあっててよかった保険も身につけている。
全て壊された際にアイテムボックスに大量しまってある不死系統のアクセサリーが自動で装着される
術式を組んである。
目の前モンスター満足そうにこっちを見ていたが
やがて復活する私に驚いた顔をし再度攻撃をしてくる。
当然その攻撃は見えず。
現在進行系でこの空間自体の攻撃を受けているのであっという間に私の体は消え去る
長いことその繰り返しが続いた。
今までで最大の死にかけた出来事だっただろう。
だが私は長い時間をかけ、この空間にも慣れ、いつしかこの空間で悠々と暮らせるようになった。
不死系統の在庫がなければ確実にお亡くなりになっていただろう。
在庫がつきかけ、もはやわずか!の時にはなんとかこの空間の最強モンスターを倒せるようになっていた。
本当にギリギリだった。
私はこの空間に敬意をこめて「星霜の間」と名付けた。
今では怪しげなダメージを負う空間も私が吸収したのか、他の生物も過ごせるようなっていた。
初めは暗黒の冠の魔物そして地上の動植物へと試し。
研究施設はこちらへと移し成分的にもまったく害がないことを証明することができた。
*そう私は今では瞬時に「秘黒の冠」どころか地上のあらゆる場所へ転移することが可能となった。
この「星霜の間」の発明品で初めて可能になったことである。
実に素晴らしいことだ。こうして今でも発明品は作られ続けている。
どうやら、ここに来たときの空間は様々な攻撃をもっていたことが後からわかった。
電撃、熱、氷、重力、毒、全てが異常。当時の私ですら想像を遙かに超えるものだった。
まさに煉獄にような場所だった。
そしてそんな中でもいけしゃあしゃあ生き抜くモンスターがいることにあらためて驚きと生命の凄さを実感した。
そして同時に悟った。
自分より上は大量にいるのだと。
だからこそ研鑽を忘れてはならないと
「ま。そんなことで一番上を目指すのを諦めたわけじゃないけどな。」
ちなみに現在手にはここの「星霜の間」をベースにし様々な発明品を組み込んでできた刀がある。
まだ発動させてないがこれを発動させるとおそらく更にヤバい世界へとご案内されるのは間違いない。
発動させるのはまた今度としてそろそろ計画に入ろう。
おそらく私でも救える無実の人命は存在する。
まあ。鍛錬中も少なからず救える範囲で救ってはいたのだが。
「さあいきましょうかね?「断獄」の救済へ」