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転生したら鎧だった〜リビングアーマーになったけど弱すぎるので、ダンジョンをさまよってパーツを集め最強を目指します  作者: 三門鉄狼
第1章 大洞窟ダンジョン編

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37 ロロコさんの本気

 カエルの群れと毒の沼からロロコを逃した俺。

 さあ、もう逃げも隠れもしないぜカエルやろう!

 いざ尋常に、正々堂々勝負勝負――


 ――ベシャ!


 ――じゅううううう!


 うわああああああ!

 あの、ちょっと、あなたね?

 こっちはちゃんと正々堂々やってやろうって姿勢見せてるじゃん?

 なんで不意打ちとかするの、ねえなんで?


 ――ベシャ!


 ぎゃああああ!


 いいよ!

 わかったよ!


 これが自然界の厳しい生存競争だもんな!


 ……にしてもこれはやばい。

 すでに下半身がほぼ溶かされてしまった。

 上半身もピンチだ。

 だが――。


 俺と向き合うカエルの背後から、ダンゴムシ装甲を抱えた右腕が迫ってる。


 ふっふっふ。

 そうやってこっちに注目してればいいさ。

 その間にズバッと真っ二つだ――。


 ――ベシャ!


 わあああああ!?

 そっちにもカエルいたの!?


 右腕が溶けちゃった!

 ダンゴムシ装甲は毒の沼にぼちゃん。


 おいおい、これ、まずくね?


 ――ビヨォン!


 ピト、と兜にカエルの舌が張り付く。


 うげ、取れねえ!


 ちょ、引っ張んなって。

 なに、お前、俺を飲み込む気!?

 絶対まずいって!

 やめとけって!


 くそっ。


 こうなったら、肩パーツを分離!

 脱出!


 せめて一部だけでも逃げのびてやる――


 ――びよん!


 ばしゃん!


 ちくしょう!

 別のカエルに踏んづけられた!?


 肩パーツが毒の沼に沈む。


 ――じゅうううう!


 音を立てて金属の鎧が溶けていく。


 くそっ。

 こっちはダメだ。

 身動きも取れねえ。


 かといって兜のほうも、カエルに飲み込まれる寸前。

 自由になるパーツがないぞ!



 やべ……これ詰んだかも。



 ――ゲコゲコゲコゲコ!


 わあああああああああ!

 やめろおおおおお!



「放せ!」



 へ?



「リビたんを放せ!」



 毒の沼の向こう。

 逃げたはずのロロコが、ナイフを構えて立っていた。


 え、ちょっと待って。

 リビたんって俺のこと!?

 いつの間にそんなあだ名つけてたの?


 いやいやいや。

 突っ込みどころはそこじゃない。


 なんで逃げてないんだ、お前。

 んでもって、なんで俺を助けようとしてるんだ。


 俺、リビングアーマーだぞ?

 しゃべるけど、モンスターだぞ?


 そんなやつ助けてる場合じゃないだろ。


〈ロロコっ――〉


 もう一度、逃げろと叫ぼうとした。

 けど、できなかった。



 ――ぉおおおおおおおおおおおおんっ!



 なに、いまの!?

 ロロコの口から出たの?


 完全に遠吠えだ。

 犬が発する声。

 それを一声発したロロコは――まるで別人のようになっていた。


 髪の毛や、犬耳や尻尾の毛が荒々しく逆立つ。

 目は釣りあがり。

 瞳はギラリと輝いている。


 口元から犬歯がむき出しになって。

 そこから低いうなり声が聞こえる。


 ――ぐるるるるるるる。


 カエルたちが怯えてる。

 逃げようとしてる。


 けど――ロロコは逃さない。


 ――があああああああああああうううっ!


 大ジャンプ。

 カエルの上に飛び乗った。

 手にしたナイフをカエルの脳天に突き刺す。


 ――ゲコゲコゲコゲコ!


 周りのカエルが怒りの声をあげる。


 ――ベシャ!


 毒液がロロコの腕に!


 ――じゅうううう!


 音を立てて服が溶けていく。

 腕にはやけどのような傷。


 けれど――ロロコは止まらない。


「放せ! リビたんを放せえええええ!」

〈ロロコ! もういい! やめろって!〉


 俺の制止の声なんて届かない。

 ロロコはひたすらにナイフを振り、カエルたちを仕留めていった。

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