灼熱の惑星にて1
-------------狐雨サイド------------------
「報告します。通常探査では地表付近に生物反応は微弱。耐熱性の微生物、もともと火山地帯に生息していた地衣類が生き延びている可能性が高いです」
「水中--はドローンを降下させないと無理か」
魔法や異世界技術の探査に切り替える必要があるけど。その情報をどこまで雀鷹に公開するか問題ね。
「コンピューター。これから使用する技術を魔法と呼称。情報は船内に留め。記録閲覧は私と副長のみに制限」
「了解しました。秘匿技術の記録にロックをかけます」
「ナムリ。複合魔法使うわよ。久しぶりだけど行けるわね?」
「3年ぶりなのにぶっつけとは。ま、やってみるよ」
ふたりとも簡易宇宙服を着用。普通はこんな軽装備で輻射の嵐にさらされた現在の地球軌道で船外活動なんかしたら、被爆して大変なことになる。そこを術式と異世界産の防御宝珠で強化。装甲のあるパワードスーツのほうが安全だが、使う魔法を外に出しにくいので妥協してこうなった。
船の舳先に立つというか術式頼りで少し浮かぶ。
眼下に広がるのは厚い雲に覆われた惑星。時々見える光は稲妻だろうか。太陽の異常活性化で海や湖の大半が気化。うっかりに気づいた犯人が活性化を止めたせいで徐々に冷えはじめ。雲から雨になって地上に降り注いでいる最中。と、いったところだろうか。
「術式は探査AG-β32型を使用。同調よろしく」
「了解。同調するよ」
「術式起動」
魔力波が地表に向かう。コーンという音と輪になった光が地上に向かうように感じられるが。これは実際に音と光が出ているわけではない。術が正常動作していることを知らせる擬似的な光と音。異世界では魔法技術が一般化しているので、素人でも感覚的に動作確認できるようにする親切設計の術式なのだ。
暫く待つと、同じく疑似的な音と光でエコーが返ってくる。
「個人用端末と思われる反応。微弱。位置は山岳地帯の地下?」
「コンピューター。雀鷹から受け取った現地情報と照合して」
「現地地図情報と照らし合わせると。黒部ダムと扇沢の中間。トロリーバスのトンネル付近である可能性が大」
自動車用のトンネルでは完全に密閉できない。被害から数ヶ月が経過している現状では。中まで蒸し焼きになってる可能性が高い。すでに手遅れの気がするが。万一の可能性は残ってる。
とりあえず情報を記録して船内に戻る。
「コンピューター。雀鷹に通信回線を開いて」
「アイマム。雀鷹に通信回線を開きます」
「こちらは雀鷹。私は副長のエルメビラ・スチュです」
「こちら狐雨、船長のミツキです。探査に微弱な反応あり。場所は日本の黒部ダムと扇沢の中間。トロリーバス用のトンネル内部と予想。生存者の可能性にかけて地上にドローンと探査ロボットを降下させる許可をお願いします」
「しばらくお待ち下さい。船長と相談します」
しばらく待って許可がもらえたので降下作戦を開始する。
「ナムリ。ドローンの操作まかせた」
「了解。ドローン、1番から5番まで降下開始」
さて。吉と出るか凶と出るか。




