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世の果てのプロローグ
トンネルを抜けるとそこは世界の果てだった。
半ばで折れた数々の高層ビル、赤褐色の荒れ果てた地面、塵で覆われた灰色の空。
先程から延々と聞こえる金属どうしが擦れ合うような異音が
足を進めるにつれて大きくなっていった。
その音は脳内に響きわたり、頭痛を引き起こした。
何かの夢かあるいは幻想ではないかと信じたかった。
だが白昼夢なんかではないことを、感覚が告げていた。
「これは現実だ。」
そう本然と悟ると同時に、頭痛が激しさを増す。
あまりの痛みで地面に倒れこみ、口に入った土と血と唾液が混ざり合って濃い鉄の味がする。
眠たくなってくる。
意識が揺らぐ。