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STAGE2 状況把握

第2話 状況把握




「だからですね、ここは聖グランドビルド共和国という国なのですよ

貴方のいうニホンという国ではありません」


頭全体を覆った白髪、髭を蓄えた年配の男が言った



またか、と達喜は呟く


先ほどから同じ問答を繰り返している

既に小一時間たったんじゃないだろうか



「だから、俺は日本という国を知っていますか?って聞いてるんです」



「あぁ、そういうことですか

私はそんな国は知りません」


「それを早く言えよ!」


思わずツッコミを入れてしまう


達喜はだるそうに、あ〜、と声を漏らすと


「それじゃ俺は戻ります

部屋はさっき聞いたところでいいんですよね?」


「あぁ、そうだよ

しばらくはそこで構わないかな?」



「十分過ぎます」



達喜は

「失礼します」と言って扉の外にでる


「遅い」


扉の外には少しムッとした表情のリンが立っていた



達喜はリンを見て苦笑すると、先ほどの会話を思い出し始めた



***



あの赤茶長髪人間と戦った後、達喜は先ほど会話していた人物のところに連れていかれていた


リンの話によるとアレがリンの父らしい


達喜の境遇とリンの説得で達喜は部屋を借りることができたのである


そして日本の質問をしてしまい、小一時間同じ問答を続けたと言うわけだ



「あっ、いたいたお兄さ〜ん!」


目の前に赤茶長髪人間が降ってくる


達喜は思わず後ずさりするが、リンは涼しい顔のままだ

意外に鈍いのかもしれない



「な、なんだよ」


「部屋に行く前にさ、いろいろと楽しいことしてみねぇ?」


「エル、貴方の行くところは分かってる

達喜は止めた方がいい」



達喜は頭に疑問符を浮かべ、エルと呼ばれた少年はうなだれている



「あ、お前、エルって言うのか?」


頭の上の疑問符をしまうと達喜はエルに話しかける


「そうだよ〜

よろしく」


エルはニヤリと笑うと

「見るだけで良いから、行かねぇ?」



だが、達喜が返事をする前にエルは達喜の腕を掴み、ものすごい速さで走り出した



「バカ……」



リンはため息をつき、2人が走っていった方へ歩き始めた





「待てっ!エル!痛い痛い!」


物凄い速さで達喜を掴んで走っていたエルが達喜の叫び声を聞いて立ち止まる


そして慣性の力が働き達喜は数メートル先に飛ばされる



「どうしたの?」


「まずこの状況に対して謝れ」


達喜は地面に突っ伏したまま顔だけ上げてエルを睨む


しかしエルは涼しそうな顔で


「もうすぐ着くよ」


「聞くけど、あのスピードで走ってもうすぐなのか?」


「さ、行こうか」


そういうとエルは達喜の腕を掴み猛スピードで走り出した


「話を聞け馬鹿野郎ぉぉおぉぉ!!!」



達喜の叫び声が辺りに響き渡った



***


走り出して数十秒、エルは再び達喜を吹き飛ばすという技を見せ、達喜を無視して建物の中に入っていった


「あぁ〜、俺もう絶対あいつに付いていかねぇ……」


達喜がエルを危険視した瞬間である


「つーかあいつ何であれだけ走って息一つ乱れてねぇんだよ」


達喜は呆れながら立ち上がり、エルが入っていった建物に入る


「はい、これ持って」


入った瞬間に目の前にいたエルに木刀を渡される

ビクリッ!と達喜の体が震える


「………何コレ?」


「何って木刀」


「いや何で木刀?」


「木刀は木刀だよ」


「誰かこの会話人と話ができる人、通訳してくださ〜い

この人俺の言ってること無視してるー!!」


達喜は差し出された木刀をとりあえず受け取りながら辺りに叫ぶ


「冗談はさておき」


「冗談かよ」


「お兄さんにはこの村で一番強い人と戦ってもらいたいんだ

僕の攻撃を受け止められるのはこの村で数人だからさ」


「要するに実力が見たいわけだな?」


「そうなるねー」


「しかしお前さ、戦闘中と全然雰囲気違うよな」


「ああ、戦闘になると性格変わるから」



「なるほどねぇ」


「さてと、お〜い、ししょー!!」


「聞こえてるからもう少し黙れ」


肩まで伸ばした銀色の髪を一つにまとめた長身の男が2階から降りてくる



「お前が達喜とかいうやつだな?

エルから話は聞いてる

それじゃあ始めようか」


男は近くに立てかけてあった木刀を構え


「どこからでも、かかってこい」


達喜は男を間合いに入れる為、ゆっくりと、動き始めた






達喜は男を間合いに入れると一気に木刀を振り下ろす


しかし、男はそれを横に小さくステップして回避する


そして横振りの一撃


「くッ――」


とっさに地面に付いた木刀を軸に横転する


脇腹に少し当たったが今は反撃だけを考える


達喜は間合いをとると


(……さっきはただ一直線に振り下ろした

反撃を許さない為には二撃打つ)



「なかなかやるみたいだな」


男は木刀を両手でくるくると回している


(……でも勝つためには………)



そして達喜は動き始める


走って一気に間合いを縮め、武器を構える


―――男まで後10歩、9歩、8歩



男は不適にニヤリと笑う


―――7歩、6歩、5歩


まだ打たない


―――4歩、3歩、2歩


男に焦りの表情が浮かぶ


―――2歩、1歩、0歩



間合い0の攻撃、即ち体当たり


男の体が後ろに吹き飛ぶ


達喜はそれを狙って追撃をした



「甘く見るなよ」



はずだった


達喜の喉元には木刀が突きつけられ、男は背後にいた


「ッ――!?」


「どうする?続けるか?」


「………参った」


このまま続けていても、あのスピードに反応出来なかった時点で勝ち目はない


達喜は床に木刀を落とすと

「この世界で強くなることに意味があるのか?」


「………この村の外にはいろいろなものがいる

妖怪、妖魔、妖獣……他にもまだまだいる

護りたい奴がいるなら、強くなった方がいい」


「俺に武術を教えてくれないか?」


エルがニヤリと笑う


「昔、大切な人を護れなかった

必死に、手を伸ばしたのに護れなかった

だから、俺に人を護る力を下さい」


「………」



「あれっ!?俺、なに言ってんだろ

何も覚えてないのに」


「いいだろう

明日の昼、またここへ来い」


「え……?」


「明日から早速鍛えてやる」



男はニヤリと笑った


「え……?」


「明日から早速鍛えてやる」



男はニヤリと笑った





「あ、達喜」


「よう、リン

どうしたんだ?こんなところで」


「夕飯の買い出し

達喜も食べる?」


「お、行く行く!」




達喜がこの世界に来て3週間が経った


初日、教えられた部屋があったのはリンの家の隣だった(達喜もリンも一人暮らしだが)


10歳で一人暮らしとかどんだけ凄いんだ、と達喜は思う


いろいろと不自由なこともあったが、その度リンが教えてくれたのだ


面倒見はいいのかもしれない


「達喜は?」


「何が?」


「道場の帰りならこっちの道じゃないはず」



「ああ、エルに借りてたものを返してきただけだよ」


「ふぅん」


借りたもの、内容はまたの機会に話すとしよう


「はぁ〜、なんか3週間早いな、リン」



リンはその言葉を聞くとビクリ、と震える


「確かに早いね」


「どした?リン」


「何でもない」


「そう、か」


達喜は不思議に思う


達喜が3週間、と言ったとき、リンはまるで何かに怯えるように震えたからだ


何故だろう、と達喜考えていると



「やっほー!!」


「ぐげっ」


エルが後ろから覆い被さってきた


「なんだよエル」


エルは達喜の背中から降りると


「いやぁ、達喜に言うことがあったから慌てて追いかけて来たんだけど………お邪魔でした?」



「私と達喜はそんな関係じゃないッ!!」


リンは顔を真っ赤にして叫ぶ


(違うんだけど、そこまで全否定されるとキツい……)


リンはそんな達喜を横目でチラチラと見ている


エルはニヤリと笑うと


「9時、お前だけに話すことがあるからさ

家の前に出ていてくれない?」


「分かった」



その言葉を聞いてエルは満足そうな顔をすると、振り向いてもと来たであろう道を引き返し始めた


「今日夕飯肉じゃが」


「肉じゃがか〜

楽しみにしてる」


「うん、頑張る」


リンは嬉しそうに微笑むと、自分の家の方向へ歩き始めた


達喜も黙ってリンの後を追った




***


9時


達喜はエルに言われた通りに自分の家の前に出る


「遅かったね、達喜」


「来てたのか、エル」


「うん、30分前くらいから」


「それ時間決めた意味ねぇよ」


「ん?盗み聞き楽しいよ?」


「盗み聞きしてんじゃねぇよ!」


「冗談はさておき」


「冗談じゃねぇだろソレ!」


「最近リンの様子が変じゃないかい?」



いつの間にか、エルのニヤニヤとした笑いがなくなり、戦闘中のような顔になった


「ああ、なんか変だな」


「理由はね」


そこでエルは一度口を閉じる


そして彼は告げる


最悪の、言葉を



「彼女は一週間後、死ぬんだ」



辺りの空気が死んだ、気がした





ラストが気になるような感じにしました



結構わっかりやすい伏線を敷いてたんですが分かりましたかね?


さて、次は番外編です


2.5話となっています


つまり本編は放置プレイでs(ry



こんな拙い作品ですが、読んでくれている人に感謝です♪

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