表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/6

STAGE1 始まりの宴



「リン」


「なに?」


相変わらず止まない雨

そんな中、達喜はリンに話しかける


「ここって日本じゃないよな?」


「ニホン?何それ」



達喜は頭を抱え

「まぁ、いいや」と呟く



「達喜は……」


リンがぼそりと呟く


「ここがどこだか知らないの?」


「あぁ、知らない

ここはどこなんだ?」


「ここは聖グランドビルド共和国って国」


なんだよそれ、と達喜は思う


しかし、目の前の幼女を見ると自分が日本以外のところにいることくらいすぐにわかる


肩まで伸ばした薄桃色の髪、半目開きで濃いピンク色の目

白い肌、整った顔立ち

雨で濡れた髪は肌に絡みついている


(やっべぇ!よく見るとすげぇ可愛い!!)



「どうしたの?」


「えっ?あ、何でもない」


言えない、見とれてたなんて


「そういえば、この近くにリンは住んでるのか?」


達喜はすぐに話題を変える

いちいち聞かれていてはかなり困る


「うん、すぐ傍のリンエルって村に住んでる」


リンは大して気に止めず答える


「リンエル、か」



「来る?」


「とりあえずは、な

行くアテもないし」


「じゃあ一緒に行こう?案内する」


「じゃあ頼む

……まぁ、雨が止んでからだけどな」


達喜は空を見上げて言う


雨はしばらく止みそうにない


「大丈夫」


リンが呟く


「何が?」


「もうすぐ3時、すぐに晴れる」


達喜が、は?と言った次の瞬間、雨が止んだ


「え?あれ?どうなってんだこれ!?」


達喜はいきなり雨が止んだことに対してうろたえている


「別に、普通」



普通じゃねぇだろ、という呟きは口に出さず、達喜は


「まぁ、とにかく雨は止んだな」


「うん、行こう?」


「ああ」


雨の止んだ樹海の中を二人は歩く


空は、まだ灰色に淀んでいた





「達喜」


「どした?」


リンは達喜の顔を凝視しながら


「手、繋ぎだい」


「は?」


思わず声がでる


「ダメ?」


「いっ、いや、ダメじゃないけど」


「変」


リンはクスッと笑うと無言で手を差し出してきた


達喜は戸惑いながらも差し出された手を握った


(お、お、お女の子の手ってや、柔らか!!)


達喜は心の中で絶叫する

前から知っていたことなのにうろたえてしまう

これが運動会のフォークダンスと手を繋いで歩くことの違い



(運動会?)


ふと、達喜は自分が考えたことに関して疑問に思う


運動会という物がある、ということを達喜は知っているが、実際に参加した覚えはない




ならば何故フォークダンスに参加したことを覚えている?




「――き」


「んぁ?」


「達喜」


声が聞こえた気がして、隣を振り向くと心配そうに達喜の名を呼ぶリンがいた


「返事、ないから心配した」


「あ、あぁ、ごめん、少し考えごとしてたから」


「ふぅん

村に着くまで後少し」


「分かった」



(俺、本当に何者なんだろ)



記憶を失った達喜は考える

家族、友人のこと


誰一人覚えていないけれど


(必ず取り戻す!)


達喜は心の中で誓った




「あと、1ヶ月」



リンは達喜に聞こえないように呟く


「あと1ヶ月したら………私は」


どこか寂しそうな表情のまま、リンは達喜の手をしっかりと握り直した





「着いた」


リンエルの村


達喜は村の内部を見てギョッとする


家を貫くように木が生え、木を浸食するように家が建っている


木と家が共存しているのだ



「凄いな、ここ」


「そう?他の都市に比べれば、全然」



へぇ、と達喜は呟く


これより凄い土地を見てしまったらどうなってしまうだろうか?



「リン!離れろ!!」


不意に、頭上からの声


「!?」


達喜は何が起きているのか分からなかったが、危険を感じ真横に飛ぶ


その次の瞬間には、達喜の立っていた場所に別の男が立っていた


見た目は12歳前後

腰まで伸ばした赤茶色の髪

男が女か分からないのに好戦的な顔立ちで目は異様な程ギラついている


手には木刀のようなもの



「避けたか……」


達喜は悟る



(逃げられないッ………!)



「殺しはしない、捕縛する」


故に達喜は覚悟する


「そいつは助かる」


達喜は傍に落ちていた頑丈そうな太い木の棒を拾い、構えながら言った



「いい度胸だ」


赤茶長髪の人間は不敵にニヤリと笑った


瞬間、赤茶長髪人間は自分の間合いに達喜を入れる為に走り始めた




初撃

脇腹を狙う横振りの一撃


達喜はギリギリで棒を滑り込ませる


(重い………)


赤茶長髪人間は一度後ろに飛び


「やるねぇ……

久々に楽しいよ」


ニヤリと笑いながら再び距離を詰める




そのとき



「やめなさい!!!!」



リンの怒号が飛んだ


達喜だけでなく、赤茶長髪人間までビクリと体を震わせ止まる



「達喜は私の大切な友人

手を出すなら許さない」


「分かったよ、リン」


赤茶長髪人間は武器を下ろすと


「ようこそ、リンエルへ!お兄さん」


不敵な笑みを浮かべつつ言った





この小説を友人に見せたら幼女趣味だの変態だの言われました(泣)


槇です



さて、ちょっとコメディの色を濃くしてみました(変態って言われたのはそのせい)



そして1ー3は戦闘色を濃く



いろいろ考えることが出来て楽しいです(笑)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ