現世との別れ
皆様初めまして!小説家になろう初投稿です。文体や書き方自体がおかしい所も多いと思いますが、アドバイスとかして貰えたら幸いです!
~とある病室~
「思えば俺も長く生きたものだ。」そうぽつりとつぶやく男性は今年90歳を迎えた老人だった。
彼の周りには沢山の男性が立っている。気丈に振る舞ってはいるが皆表情は暗い。
「先生!先生のおかげで警察官になれたんですよ!」
「師範、皆師範のことは忘れません!」
「師匠のような強い男になります!」
「不死身の先生が死ぬ訳ないですよね先生!」
など別れの言葉を老人と交わしている。
老人は自分の死期を感じ、弟子たちを呼んでいた。自分のことを、覚えていてほしいと思ったからだ。
彼にはもう親戚も兄弟もいない。弟子以外に繋がりはもうない。
40をすぎた辺りから妻を迎えることも考えたが、如何せん遅すぎた。
言い寄ってくる女たちは皆自分の財産目当ての者ばかりだったのだ。
男からの評判はとても良かった、だが女運は無かったようだ。
さて、もういいだろう。女運こそ無かったが、こうして多くの弟子たちの見守られて逝くことができる。
「皆、集まってくれて感謝している。俺に習ったことは生かすも殺すも自分次第だ。がんばれよ。」
そう言い残し老人の瞼は閉じていく。
「先生!!師範!!」
周りの声もどんどん遠くなっていく。
意識が遠い。
すると、頭の中に映像が流れてきた。
子供の頃のこと、戦時中瀕死になりながらも奇跡的に生き返ったこと、戦後敗戦を聞き涙を流したこと、また戦争が起きても自衛くらいできるように剣道場を開いたこと、彼の弟子たちが次々に大会で優勝し、二刀の宮本流として現代の宮本武蔵だと騒がれたこと、老年期に病に侵されても何度でも復活して弟子たちに不死身の先生と呼ばれたこと。
「ああ、これが走馬灯か」
思えば何度も死にかけたのにことごとく生き延びたものだ。
まあ、そのおかげで弟子たちを沢山持ち、多くの者に慕われたのでよかった、そう思うことにしよう。
しばしの間の後、声が聞こえてきた。弟子が何か言っているのか?そう思い聞き耳を立ててみる。
「おまえこそが待ちわびた最強の不死鳥だ。」なに言ってんだこいつと思い、目を開けてみる。すると見慣れた病室はなく見知らぬ天井を見つめていた。