八
「大きいな」
主となった鈴からかけられた初めての言葉だった。
弥勒は、これでも縮こまって、畏まっていたのだが、やはり、体の大きさは隠せない。
「お鈴様、この者が、常に側に侍ります故、どうぞご安心くださって、なんでもお申し付けください。」
「・・・わかった」
鈴が小さな声で言った。
外にて地面に手をつき、頭を下げ続ける弥勒は、ようやくホッと胸をなでおろした。
御前を下がろうとしたその矢先、弥勒の肩にどしっと重たいものが乗っかった。
「っっロクっ」
弥勒の大きな肩には、猫が乗っていた。
喉を鳴らして、弥勒の顔に擦り寄った。
弥勒が大きな手で猫を掴んでぶら下げても、嫌がることなく大きな目で弥勒を見て、甘えた声で鳴いていた。
ー寺からついてきたのか。
「申し訳ありません。この猫は、」
と、説明しようとした次の瞬間には、ガシッと足元に飛びつく物体が。
振り返ると千切れんばかりに尾を振る黒い犬だった。
ハッハッハッと嬉しそうに弥勒の周りをグルグル回って、飛び跳ねている。
ークロ、おまえもか。
「申し訳ありません。この犬は、」
「ふふふ、あは、あははははは」
高らかに笑う主の声に思わず視線を向けた。
ほっそりとした、可愛らしい、まるでお姫様のような少女が、部屋の奥からこちらを指差して笑っていた。
弥勒は猫と犬に好き勝手されながら、鈴の笑い声を聞いていた。
鈴はひとしきり笑うと、ちょうどそこにやってきた佐渡川にこう言った。
「父上様、弥勒は私の足になってもらいます。」




