六
残酷なシーンがあります。
ご注意ください。
まさか上から姫が転がり落ちてくるとは思わなかっただろう。
丘下に配備されていた兵たちは驚き、狂喜した。
策は全く別にあったが、こんなに安全に姫を救出できたことに、拍子抜けるほどだった。
怪我は擦り傷と打ち身のみ。
転がり落ちて、皆に助け起こされると、すぐに状況を察した。
血のにじむ手のひらを抑えながら、気丈にも
「なんぞこれしき、大事ない。
すぐに知らせを。
鈴をたのむ。」
と、命を発した。
姫は、より早く無事を知らせるため、用意されていた籠ではなく、伝令役とともに馬に乗せられ、出発した。
交渉の場では、少女たちの突然の行動に驚いた者たちも、すぐに我に返った。
こちらが本物の姫だったかと得心し、さらにはこの交渉が有利に運ぶと口の端が緩んだ。
鈴を縛る縄を引き寄せ、
「さて、この姫様を少々侮っていた。
こんなに元気とは。
いつ逃げられるかいやはや心配でならぬよ」
と穏やかに言った後、前に突き飛ばし、うつ伏せに転げたところを、キラッと白刃が翻った。
悲鳴が上がった。
鈴の足の腱が容赦なく切られた。
血がどくどくと流れた。
鈴は痛みで歯を食いしばり、乳歯が二本折れたが、その瞬間気を失った。
佐渡川の歯がギリギリと鳴った。
娘の元に駆け寄りたい。
刀の柄を折れるかというほど握りしめた。
ーだが、まだだ。
ーまだ動けぬ。
一瞬遅く、狼煙が上がった。
姫救出の合図だった。
待ちに待った合図に、佐渡川と、後に控える2名が刀を抜くのと同時に、丘下に隠れていた武装兵がワッと一斉になだれ込んだ。




