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番外編: 長男は大変です。

完結しましたが、少しだけ、番外編です。


ここからは、どちらかといえば、コメディタッチになりますから、本編とはすこし雰囲気が変わります。


それでもよかったら、、、

よろしければ、読んでくださいませ。


今年、十になった。


弟たちはまだ幼く、私の側を走り回り、騒ぐことも多々ある。


犬みたいに転げまわる様子を見ていると、かわいいなあとも思うが、もう少しおとなしくできないものかと疑問にも思う。


二人は一つ違いでよく似ているから、泣きわめくとどちらがどちらかわからない。


父は二人が喧嘩してもめったに叱らない。そのため私が叱らざるを得ない。兄は大変なのだ。


妹は弟たちよりもっと幼く、言葉も通じてるのか通じていないのかわからない。


時々私に差し出す物は、遊んでほしいのかどうなのかもわからない。


ただ、私の側に来て、ペタッともたれて、指を吸いながら寝てしまう様子は、かわいいなあ、と思う。


少しずつ重くなり、少しずつ髪が伸びてきて、なんとも愛らしいのだ。


もう一人の妹は、まだ乳飲み子だ。


だから、細かな世話のできない母に代わり、私が抱っこしてあやして、ときどきは襁褓も替えてやる。


じっと私の目を見て、あ~う~と何かを言うのを聞いていると、赤子とはいいものだなと愛おしくなる。


ただ、私には乳はやれない。襟元を握りしめてねだられても、無理なものは無理だ。


本当に。

長男に生まれてしまうと大変なのだ。



―――


父は商いをしている。


ときどきは都まで荷を卸しに行ったりする。


今度年が明けたら、私も連れて行くと約束してくれた。


私が跡継ぎだから、商いのことをそろそろ教えてくれるというのだ。



父はときどき私の頭を撫でながら、


「変なところが似てしまったなあ」とほほ笑む。


変なところ、とはどこなのか聞いても、笑って教えてくれない。


私は、体つきはどちらかと言えば父に似て大柄だけど、性格はどちらかといえば母に似ていると思うのだが・・・


「私は母上に似ていると思っていますが」


「母上に?」


失敗した。


なぜなら父は母のこととなると、すわ一大事とばかりに目の色が変わり、いつもの穏やかさなどかなぐり捨ててしまうのだ。


案の定、父は、さきほどまでののんびりとした雰囲気を一転させ、私に詰め寄ってきた。



「母上は強く、可愛らしく、そしてけなげな方だ。

そのように男らしくなってきたお前とは似ていない」


「強い?可愛らしい?けなげ??」


「私にとって何物にも替えられない、宝物のような女子だ。初めて会ったときから何も変わっていない。


 お前にも心から大切と思う女子と夫婦になってもらいたいものだ」


父のこの大人げない言動にため息がでるが、結局、私が似ているという「変なところ」はなんなのか聞けずじまいだった。



父が商いのため出かけたので、今度は母に、


「父上様が、変なところが似たと言うのですが、どこでしょうか?」


と聞くと、


「そうね。あなたは父上様によく似ているから、あえて『どこ』とは言い難いですよ」


と返ってきたので、ますますわからない。


「父上は、変なところと・・・」


「父上は変わっていますから」


「どこがですか?」


「そうですねえ。

父上は、私などを娶ったほどの変わり者です。

私の父の命で、仕方なく面倒を見る事になり、命を懸けて助けてくれ、挙句にはこんな私などと夫婦にならざるを得なかったのです。

今もこうして私を生かし続けてくれています。

感謝してもしきれません」


なるほど、と思うが、私の持つ要素に母の言われる父のような面は思い当たらないため、やはり、わからなかった。


父が帰ってきて、母から聞いたことを伝えると、父は血相を変えて母の元に走って行った。


それほど慌てるようなことを言ったつもりはないのだが、とりあえず、その大きな背を見送った。





翌朝、父は私を呼びつけて、


「母上が言ったことは、一世一代の世迷言だから、忘れなさい。」


と言った。


忘れなさいと言われて忘れられたら苦労はしない。


それに、母のあれほどの感謝の念が、世迷言とはとても思えない。


それが父には伝わっていないのだろうか?


そうなると、やはり、父は変わり者なのだろうか。


とにもかくにも、このことは私の胸の内にしまっておくことにした。






朝からむずがる末の妹をあやしていたが、ようやく、うとうとと私の腕の中で眠りにつこうとしている。


ゆらゆらとゆすり、庭を眺めていると、よく餌をねだりに来る猫が私の足元にすり寄ってきた。



「よしよし、屋根。後でなにか見繕ってやろうな」


と言うと、餌がもらえるとわかったからか、縁側に飛び乗って、日向ぼっこを始めた。




この猫はこの屋敷の屋根に陣取ってよく日向ぼっこをしているのだ。


だから私は「屋根」と呼んでいるのだが、それを聞いた父上が苦笑いをしている。


「ああ、変なところが似てしまった」


と言って。
















弥勒の、ペットなどへの名付けはセンスがありません。

そのセンスのなさを皆に指摘されて、子どもへの名付けは鈴と茅野が引き受けています。


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