五十五
本日3話目の投稿です。
すごい。
一応、濡れ場もどきかなあ。
でもなろうさんだから、オブラート3倍です。
どちらからかわからないが、二人は身を寄せ合った。
欲しいのは体温ではない。
欲しいのはお互いの全部だ。
安心するあたたかい体は、いつ熱くなったのだろう。
汗ばむほどにその熱さを互いに感じ、包み包まれて、奪い合うようで与え合う。
ーーー
ーー強い目を持つ臆病で愛おしいこの女子を驚かさないように。
怖がらせないように。
手にする幸せのように温かく柔らかいその身体を、丁寧に開いていく。
脚の傷跡を初めて間近に見て、触れて、その痛々しさと、鈴という人間の強さを改めて知る。
そんな恐ろしい体験をした幼い鈴に。
出来ないことに打ちのめされながらも、それでも一生懸命生きてきた今までの鈴に。
何もかも背負って、いつも張り詰めた気持ちでいた鈴に。
全ての鈴に限りない愛おしさを込めて口づけをする。
そして、今ここにいる妻となった鈴にも、優しく、でも深く、熱く、口づけを繰り返す。
小さな体、細い手足、幼子のようなあどけない笑顔、でも、今日、この女子は匂い立つほどの色香に包まれているように、大人の表情を見せている。
ーーこの女のこんな顔を見るのは、私だけなのだ。
そう思えば思うほど、開いた身体の隅々までを手で目で身体で感じて、益々愛おしさで脳が沸騰しそうになっていた。
ーーー
ーー静かで優しく、体も心も大きなこの男にすべてを預けて。思い返してみれば最初からこの身も、心も、預けていたのだ。
ーーだから、なにをされても怖くない。
大きな手で頭を頬を身体を大切に触れてくる。
思ってもみない痛みや、自分ではどうにもできない感覚の襲来に怯えると、安心するように抱きしめて、耳元で名前を呼んでくれる。
時折苦しそうな顔をしたり、吐息が甘く、切羽詰まったような声、慣れない触れ合いの中でおずおずと手を伸ばすと、思っている以上に汗をかいた背中や額。
ーーこの男に、こんな顔をさせるのは私だけなのだ。
そう思うと、普段はそうは思えないのに、なぜか可愛らしさを感じる。
男らしく、こんなに逞しい男に対しての言葉ではないことは分かっているが、どうしても、可愛らしいと思ってしまう。
熱い時を共に過ごす。
優しく、激しく、果てしない愛を渡しあう。
今までは体を触れていてもなんでもなかった。
だが、夫婦とは、これほどに秘めやかで、これほどに明らさまであることを、お互いに初めて知った。
ーーー
時など、どれほど経ったのか、どうでもいい。
今が何刻であろうが、ここがどこであろうが、どうでもいい。
何故、身体が二つに分かれているのか不思議に思う。
魂の片割れを見つけた本能を強く感じる。
何もかもが緩やかな波間に漂うような気だるさを、幸せと言うのだろう。
いつしか二人とも眠りについた。




