表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/61

鈴は英雄である。



幼い時分、鈴はこの国の姫とは乳兄弟で、遊び相手で、影武者であった。


姫は殿様の一粒種である。

それはそれは大切にされていた。


10になったころか、国境の土地を荒らす者達に姫と鈴が攫われた。

先代の三回忌で、出入りの者が雑多になり、油断が生じたのかもしれない。

あっさりと屋敷の奥へと侵入を許してしまった。

法事が終わってから、手薄になっていた奥の女中が殺され、姫がいないと大騒ぎになった。


平和も、時として仇となるのだ。





さて、攫ってきたはいいが、二人のうちどちらが本物の姫か、見当がつかなかった。


日頃から、背格好がよく似ているのに加え、同じ着物、同じ髪型、同じ物腰のため、判断がつかない。


本物はどちらかと何度も問うた。


その度に二人は黙っていた。


閉じ込められた納戸で二人だけになると、「助けがきっと来ます。鈴がきっとお守りしますから。」と、姫を励ましながら、鈴は不安な顔を必死で隠した。


焦れた輩が、手を上げ、二人を引っ叩いたこともあった。


だが、二人は幼くとも武士の娘。

泣きわめくことなく黙って震えていた。


聞こえてきたこの度の狼藉は、この者たちが主張する土地に加え、その向こうの山里までを我がものとしたい故の、交渉の道具とするために、姫を人質にしたということだった。


山里は、このあたりよりも日当たり良く土地が肥えている。

小川は清涼で、野草も豊富だ。




だが、ここは国境。


決して渡してはならない重要な土地なの

だ。


ーーー


姫がようやく眠った。

鈴の手をしっかとにぎり、寄り添っていた。

鈴は自らの腕を噛み、傷をつけた。

傷は3つめ。

そう、ここへ連れさらわれて、3日目の夜だった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ