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創作仲間さんと恒例 (になったらいいな)の書き合い小説です。じっくりお楽しみいただければ幸いであります。

白い本の作者さんへ


 初めまして。いつもあなたのお話、楽しく読んでいます。本当は直接会ってお話ししたいのですが、顔も名前も分からないあなたをどうやって探せばいいのか分からなかったので、こうやってお手紙をこの本に挟むことにしました。きっとこの手紙があなたの元に届くと信じて、精一杯、私の気持ちをここに書きます。

 私があなたの本と出会ったのは、結構前の話です。小学4年生の時、この学園の図書館になんとなく入ってみた時なので、もう2年も前の話になります。そのころの私は、読書になんか全然興味がなくて、毎日ピアノのレッスンばかり受けている女の子でした。小さな時から両親に行かされて「将来はピアニストね」なんて言われながら、毎日毎日ピアノのレッスンを受けていました。

 だから、私の将来の夢はピアニスト。その時はそう思っていました。ピアニストになれば、両親がよろこんでくれると思って、よろこんでくれるから、それが私の夢なんだって。でも本当は私、ピアノのレッスンがあんまり好きじゃなくて……。

 今思うと、私は二人にきらわれたくないから、ずっとレッスンに行っていたのかもしれません。

 そんなある日、私はなんとなくレッスンを休みました。レッスンを休んで、図書館に行ってみたのも、ただなんとなくでした。目的もなく図書館を歩き回って、本棚に並ぶ背表紙を眺めて……、そして、あなたの本と出会ったのです。タイトルも何もない真っ白な本。それが5冊も並んでて、なんだこれって思って、読んでみたらおもしろくて。その日じゃ読み切れなかったから、また明日、ゼッタイ読みに来よう!って。

 その日から、ピアノのレッスンの前に少しだけ、あなたの本を読むのが私の楽しみになりました。

 ちょっとずつちょっとずつ読んでいくうち、私はすっかり読書が好きになっていました。

 そうやって2年。

 今、私には夢があります。本に囲まれた生活を送りたいって、心から胸をはって言えるのです。きっと将来は司書さんになって、大きな図書館で働くのが私の夢です。そしてその図書館の一番いい場所に、あなたの真っ白な本のコーナーを作るのです。あなたの本をもっとたくさんの人に。

 私はそのために、たくさん努力しようと思います。

 だからあなたも、これからたくさんのお話を書いてほしいです。書きたいものを、書きたいように。いつでも楽しみにしています。


 どうか、この気持ちがあなたに届きますように。どうか、どうか……。

 本当にありがとう。


   夢見る少女より


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