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四話

 俺は意味も理解出来ずに夕紀に拉致された。授業中に一体何の用事があると言うのだろうか……俺は機械学の勉強以外には興味が無いので、他の授業を受けるくらいなら夕紀と一緒にいた方が楽しいってのはあるが、後々の言い訳が非常に面倒なのである。

「おい夕紀……授業中に俺を連れ出したからにはそれなりの理由があっての事なんだろうな?」

「理由……? そんなのお兄ちゃんと一緒にいたかったじゃダメ?」

「ダメって事も無いが……そんな理由じゃ無いだろぅ? お前は自分のワガママはダメだっていつも言ってるじゃ無いか」

「バレたか……あ、あのね……ちょっと相談があって呼んだの……」

「授業が終わってからじゃダメなのか?」

「時間が無いの……これ、なんだけど……」

 夕紀が俺に手渡したのは小さな機械だった。とっても小さくて冷たい機械だった。

「この子生きてるの……さっきまで動いてて……意味は理解出来なかったけど言葉もしゃべってたの……夕紀じゃ助けてあげられないよ……この子……死んじゃうの?」

「……そうか、こんな小さな自律行動型があるならオーバードライブも自律行動型だった可能性もあるな……こいつを解析すればオーバードライブの謎にまた一歩進展が……夕紀、コイツは絶対に助けるっ!」

 俺は夕紀をその場に放置して教室まで走り去って行った。

「あ、お兄ちゃん待ってよぉ〜っ! もう……夕紀と機械のどっちが大切なのか判らなよぉ……でも、そんなお兄ちゃんを好きになっちゃったんだから仕方無いよねぇ〜そうだっ! 機械以上に夕紀の事を好きになっちゃう様にしてやれば良いんだっ!」

 俺はその頃、誰もいない技術室で夕紀に渡された機械の解析及び修繕に取り掛かっていた。

「くそっ! こんな教室程度の工具じゃ直せねぇよ……家に帰る時間もねぇし……どうしろってんだっ」

 その時、技術室の扉が勢い良く開いたが、俺は機械に夢中だったので、特に気付かなかった。

「やっぱり夢中になってる間は誰にも気付かないんだ……」

 夕紀は透弥の部屋に行って取って来た工具を机の上にそっと置いた。

「頑張ってね、大好きなお兄ちゃん……」


 俺は技術室の工具だけで悪戦苦闘していた。あまり技術専門の学校では無いので技術室と言う物があっても基本的な工具しか揃っておらず、専門的な工具は全く存在しなかったのだ。

「こんな物で直せるかよ……」

 俺はふと、机の上にある工具を見つけた。工具箱と何やら便箋が添えられていた。

「これは……俺の工具箱? それに便箋……」

 内容は、『夕紀が勝手に頼んだ仕事なのに頑張ってくれてありがとう。頑張ってね。夕紀の大好きなお兄ちゃんへ』だった。

「夕紀……」

 俺は使い慣れた自分の工具で夕紀に渡された機械を修復していった。


 そして時間は放課後……授業は良いのかと自問自答しながら、結論は、『夕紀の為だ、仕方無い』に辿り着いた。

「ふぁ〜終わったぁ〜もう五時かぁ……俺も帰って夕紀にコイツを渡すかな」

 俺が立ち上がって帰る準備をしていると、夕紀が椅子に座りながらぐっすりと眠っていた。

「コイツ……いつからいたんだ……」

「@:;・:@・:;@:;@・@:;¥・」

 意味の判らない機械語を話し出した。

「あぁ……パッチを当てないとな……」

 詳しい事は省くが、何とかパッチを当てる事によって、機械にも日本語が話せる様になった。

「寝てるー寝てるー」

「見たら判るよ……静かにしてやってくれ」

「黙る?」

「そ、黙るか静かに会話……お前、俺の言う事聞いてくれるのか?」

 俺の言う事を聞いてくれる様だ。何とも嬉しい事では無いか……

「お前、俺、修復した……スゴイ奴、恩人、恩人」

「そっか、恩人か……お前じゃ無くて、透弥って呼んでくれるか?」

「透弥……判った」

「あと、あそこで寝てるのは俺の妹だ。壊れたお前を拾った奴だ。アイツも恩人だぞ?」

「判った」

 さて、面白い奴がペットになったな……しかし、いくら小さいとはいえども機械なら多少の重さはあるはずなのだが……コイツからは重さなんて感じられない。だいたい野球ボールくらいの重さだろうか。

「さて、夕紀を連れて帰るか……お前は俺のバッグにでも入ってな」

「俺、透弥って呼ぶのに、透弥は俺の事をお前か?」

「そうだなぁ……さすがにお前ってのはマズイか……よし、明日、お前の名前を考えてやるよ……」

 偶然にも明日は夕紀の誕生日だ。修復したコイツを渡したら喜んでくれるだろうなぁ……

 俺は夕紀を背中にかついでから技術室を出て家に向かった。


 そして家について……

「ふぅ……お前は軽いのに夕紀は昔より少し重くなったな……」

「成長してるって事だ……機械は成長しない。機械はずっと同じ形だ……成長はパーツを変えられた時だけ……」

「そっか……お前機械のクセに結構ややこしい事を考えるんだなぁ? たまには『人間とは違うから難しい事判りませぇ〜ん』って開き直ってみるのもアリなんじゃ無いのか?」

「参考にしておく……」

「明日は夕紀の喜ぶ顔が目に浮かぶ……」

 そして、俺はその日は早く寝る事にした。


 そして翌日……夕紀の誕生日本番。

「夕紀、朝だぞ〜起きろぉ」

「あ、お兄ちゃん……今日はお兄ちゃんの方が早く起きるなんて……何か良い事でもあったのぉ?」

「まぁな……朝飯も少しマズイかも知れないが俺が作ったんだぞ〜」

「え、ホント!?」

 俺は夕紀を連れて朝食を取る事にした。夕紀が俺の作った飯を口に運ぶ。

「ど、どうだ?」

 夕紀の顔が一瞬だけ鬼の様な形相になってから、いつもの可愛いキラキラの笑顔を俺に見せてくれた。

「さ、最初は誰だって……こんな物だよね? 今度料理を教えてあげるから……ね?」

 遠まわしに不味かったって事か。そんな遠慮は余計に傷つけるだけだぞ……

「あぁ夕紀、俺はちょっと用事あるから一緒に帰るのは無理っぽいわ……今日は久しぶりにチャリで行くし」

「そっか……うん、じゃあ今日は鼎ちゃんと一緒に帰るね。あ、行きくらい一緒にいけるよね?」

「お前自転車のニケツOKだったっけ? スカート見えるとか言ってたけど」

「お、お兄ちゃんと一緒なら大丈夫だよぉ〜」

「そっか、じゃあ早く着替えて来いよ。待っててやるからさ」

「了解っ!」

 俺は一度自分の部屋に戻ってから機械に話しかけた。

「俺は今から学校に行くからおとなしくしててくれよ」

「了解、この機械達と遊んでて良いか? 自律ユニットは無い様だが……一様同胞だからな……」

「ん……まぁ良いだろう。壊れたら直したら良いんだしな」

「透弥も他の人間と一緒か……壊れたら直せば良いじゃんって感じなのか」

「違うっ! 俺は自分の所為で傷ついた機械を直してやるのは当たり前と思っている。その機械の寿命が来るまで俺は直し続ける……人間が風邪ひいたら治療するのと同じだ」

「意味は良く判らんが……透弥が機械を愛しているのは伝わった……」

「そっか、なら良かった」

「やっぱり俺も連れて行け……」

「学校にか?」

「うむ、人間の学び舎と言う物を見てみたいのだ」

「しゃあねぇな……」

 俺は機械をかばんに詰めて自分の部屋を出て、一階に降りた。

「遅ぉ〜い。何やってたのぉ〜?」

「悪いな」

 俺は笑顔でごまかして家を出た。


「しっかり捕まってろよ? じゃないと落ちるからな」

「う、うん……」

 俺は夕紀が怖がらない様にゆっくりめに自転車をこいだ。夕紀は最初は俺にギューっとしがみついていたが、だんだん慣れたのか俺と会話出来るくらいにはなっていた。


「はい、学校到着〜!」

「送ってくれてありがとう。あ、夕紀ちょっと用事があるから先に行くね」

「おぅ、俺はだいたい中庭か教室にいてるわ」

「今更言わなくても判ってるよぉ〜」

「じゃあな……」

 俺は中庭に向かって歩いて行った。ここが一番落ち着く……知り合いしか入って来ない聖域みたいなモンだ。

「ほら、出て来いよ」

 俺はカバンに詰めた機械を外に出した。

「全く……機械苛めだ……あんな狭い所に俺を詰め込むとは……」

「ははは、悪いな……他に入れる所が無くてよ」

「なら昨日みたいに肩に乗せてくれればよかろう? 昨日の透弥の肩は乗り心地が悪くは無かったぞ」

「夕紀にバレたら意味ねぇんだよ……」

「ふむ……なら透弥の後ろにいるのは透弥の妹では無いのか? 確か夕紀とは透弥の妹だったな……」

「お兄ちゃん、夕紀に隠し事ぉ?」

「な、何でもねぇよっ!」

「ふぎゅっ」

 俺は機械をカバンに詰め込んだ。変な奇声が聞こえたが気にしてはいけないのだ。

「今、何か変な音しなかった?」

「そ、空耳だろ?」

「何でそんなに焦ってるの? あと、そのカバンのふくらみは何かな? 学校に不要物って関心しないなぁ〜風紀委員として没収しちゃうよぉ〜?」

「お前風紀委員なの? 違うだろ?」

「何でも良いからおにいちゃんは夕紀に隠し事なんてダメぇっ!」

 俺は夕紀にカバンを奪われて、中身を見られてしまった。

 最近思う事が一つ。プロの小説家さんとかは後書きに日常とかをつづったりもしています。

 ですので私こと名倉透弥も日常を語ろうかと思います。最近ラテールと言うゲームにはまっており、スゴク楽しいのです。名倉夕紀と言う名前でプレイしているのですが、このキャラもすごく可愛くて……

 っと、話が脱線したのでここらで終わりと言う事にいたします。

 この小説を読んでいただいた全ての読者様に感謝感謝w

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