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こたつ

作者: 漆黒豹

俺んちの家族は俺も含めて4人。(+猫1匹)。そんでもって机は四角でひとつひとつの数学でいう辺の部分に一人ずつ座っている。事件はそんなこたつがある休日に起きたのだ。




朝、目が覚め下にいけば家族全員がこたつに入りねっころがっていた。母は雑誌を読み、父は寝て、妹は携帯を弄ってる。



「よっこらせ…」



今日は日曜日。そりゃまあぐーたらしたくもなるだろうよ。そんなことを俺も思いながらこたつに足を突っ込んだ。あったけー。



「おかーさん、お昼まだぁ?」



そう携帯を弄ってる妹が母に尋ねた。母は雑誌から目を離すことなく答えた。



「だって寒いものー。一食ぐらい抜いても死なないわよー。」


そう呑気に笑う母。一度入ったら抜けられない、それがこたつ。気持ちは分かるが飯ぐらいはつくれよ。



「そっかぁ、じゃあいいわ」


「いいのかよ!?」



思わず口に出してしまった。こんなんでいいのか俺んち…。そのときだった。



キィ…。



戸の開くおとがした。そこから風が俺たちのいるリビングに入ってくる。どうやらどこかの窓が開いていたらしい。風は容赦無くせっかく温まった部屋を簡単にこおらせた。



「母さん、しめてきてくれないか」


「いやよアナタ。自分でいきなさいよ。」



起きた父にむかって母は笑う。



「兄ちゃん、しめてきてよ」


携帯から目を離すことなく妹は言った。母に似たなコイツ。



「お前が行ってこい」


「んじゃお父さん」


「わしゃ知らんー」


そう言って近くにあった新聞に手をのばした。どうやら誰も閉めに行くつもりはないらしい。そんな中。風はピューピュー入り身体を冷やしていく。寒い。



「まじ誰か行けよ」


「お母さんはいやよー」


「私もむり~」


「わしゃ知らん」


「親父行ってこい」



誰ひとり動こうとしない。日曜日とこたつのコンビは最強だ。人間をここまで堕落させるのだから。



「そんなに言うんなら兄ちゃん行ってきなよ~」


「はあ!?お前がいけよ、この携帯中毒者」


「うるさいよ面倒臭がり屋め」


「こらこらやめなさい。じゃあここは平等にじゃんけんといきましょうよ。」



相変わらずバカっぽいしゃべり方の母。まあじゃんけんでいいか。そんな流れでじゃんけんが開始された。



「ふふっ、じゃあいくわよー。じゃーんけーん」



ぽんっ



俺はパーで親父はチョキ、妹とお袋がグー



「あーいこーで」


しょっ



「うわ負けた~最悪ぅ~」


今の勝負で妹がチョキで負けた。俺もチョキで負けた。親父とお袋はグーで勝ちやがった。



「やっぱ夫婦で気があうのねぇ~」


「そうだなー」



ほわほわしている親を他所に俺と妹がさいごの勝負を繰り広げようとしていた。



「兄ちゃん、勝っても負けても恨みっこなしだよ!」



「あたりめーだろ!いくぞ、じゃーんけーん…」



ぽんっ!!



「ぬああああああああ!!」


妹はパーをだし、俺はグー…。

つまりこれは俺の負けを意味する。



「じゃあ兄ちゃんよろしくー」


「ったく、しゃあねえな」


渋々立ち上がり戸の前にたつ。足が、身体が寒い。外なんかこおってんだろってほどだ。

ガチャリと戸が閉まった。ものの3秒で。さっきまでの勝負はいったい…



「はあ、兄ちゃんありがとー」


「ようやく部屋があったまるなー」


「ふう良かった良かった」


「確かにな。はあ、さみい」


家族が俺を称える中こたつに足をいれる。正に天国。



「さて寝るか…」



そう思い身体を横にした時だった。


ガチャ


嫌なおとがした。音のしたほうを見ると…



「にゃ~ん」



飼っている猫が扉をあけていた。もちろんのこと閉めやしない。


このあと家族で再び誰が戸を閉めにいくのか口論になったのは、言うまでもないだろう。行けば3秒で済むのにな…。




「にゃ~?」





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