名探偵登場!その弐(四百文字お題小説)
沢木先生のお題に基づくお話です。
「おしゃべりな九官鳥」をお借りしました。
明け方前にやんだ雪を照らす朝日が眩しいある日、推理作家の西野安吾が殺害された。
容疑者は三人。
一人は西野の妻のあさ美。
もう一人は西野の秘書の桂小雪。
そして最後の一人は編集者の平井卓三。
三人共西野を酷く恨んでおり、動機は十分あった。
刑事達が聞き込みをする中、また私立探偵が現れた。
捜査陣は苦々しそうな顔で彼を見た。
「またあんたか!」
刑事の一人が言った。すると探偵は九官鳥が入れられた籠を高く掲げて、
「殺人現場にはこの九官鳥がいて、一部始終を見ていました。今から犯人を指摘します」
と言った。刑事達はギョッとして九官鳥を見た。
「バカらしい」
あさ美が呟いた。
「さあ、教えてくれ、犯人を!」
探偵が言った。すると九官鳥は忙しなく羽を動かして、
「ハンニンハカツラ、ハンニンハカツラ」
と叫んだ。刑事達がどよめく。皆が一斉に秘書を見た。
「申し訳ありませんでした!」
平井がカツラを外して土下座した。
事件はこうして解決した。
お粗末さまでありました!(敬礼)