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対立①
「旅をするって、どこに旅をしに行くんだよ」
ようやく、ムシュルが口を開いた。低く、湿った声だった。
確かに、父さんは場所を示したことはない。
「それは、わからない……」
「だったら、なんのために行くんだ?」
間髪入れずに、ムシュルの問いが突き刺さる。
「ねぇ、自己満足じゃないのか? ムシュルたちの父さんが英雄だったからって。……お前が一番、父さんと長くいたからって、その影響を受けすぎなんじゃないのか?ムシュルは英雄だと思ってないから。」
――胸をえぐられるような言葉だった。
自分の父親なのに英雄を否定するのか
対立は割と分割して描きます