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出会い
ある日、僕は、小さな家に呼ばれた。
場所はわからなかったけど、ペンダントに書かれていたから、迷いはなかった。
それは、生前、父が僕にくれたものだった。
生前、父がくれたものは2つ。ゼカという僕の名前と、ペンダントだ。
僕は父に育てられた。
母は、僕を産んで、魔力を託して、死んだらしい。
らしい、というのは、
……父以外に話す人がいないからだ。
もちろん、それもそうか。
花を添える人も、いないのだから。
父は優しかった。
誰よりも優しくて、強くて、
だから――英雄だと思っていた。
ろくでなしと呼ばれる理由なんて、気にしなかった。
兄弟がたくさんいることも、父が旅をしていたことも。
父は言っていた。
『私が死んだら、あの子たちと旅をしなさい。』
でも、僕は、そんな日なんて来ないと思ってたんだ。
だって……父は英雄だから。
――なのに。
父は、
“毒”で殺されていた。
英雄なのに。