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プロローグ
かつての英雄は花がない棺で燃やされた。
かつての英雄に花を添える者は誰もいなかった。
かつての英雄は毒で命をたった。他人の手で。
かつての英雄は五人の子供がいた。
いまのろくでなしは五人の子供にペンダントを託した。
それぞれの母親と自分の血を混ぜて。
いまのろくでなしは子供たちに遺言を残した
「ーーーしなさい」 と
「これで兄弟全員か?」
大柄だが、髪が長い人が言う。
「まだだよ。カーシャ。自然はそろそろって言ってるけど。」
杖を持った男がそう言う
「ウッドのその勘は当たるのかな?」
揶揄うように凛々しく、上品な女が寄り添って応える
「流石に道には迷ってないんじゃない?ミカナ姉ちゃん。」
小柄な子が応える
杖を持った男が言う
「あ!ほら、そろそろ来るよ!」
まるで、自分たちの父がしんだ死んだのが嘘かのようにこの場は明るかった。
彼らの首元には混色のペンダントがあった。
しかし、後から来た青年には単色だった。
これは、 なものがたり。