聖女だから
私、テンプスは国を守る役職である聖女の家系、アルデンヌ家に生まれた。
幼い頃より聖女としての特訓を受け、国を守る救世主、としての道を歩む、筈だった...
けれど、私はアルデンヌ家始まって以来の落ちこぼれ。
特殊な力が多少使えても、それを使いこなすことができないし、何より嫌なことからは逃げたかった。そんな私は民衆から「アルデンヌ家の恥」、「あんな落ちこぼれが聖女を名乗るなよ」と言われていた。
自分でもそう思う。妹のフェシリアは武術、勉学、美術、あらゆる分野に精通し、常に民衆のことを考えて仕事をしている。「聖女」と呼ばれるのは、彼女のような人が相応しい。
フェシリアがいればアルトワ王国の平和は保たれる。そう思っていた矢先、事件は起こる。最凶の悪魔、クラ二ウムの襲来。
私の部屋に騎士団の使いが報告に来る。
「テンプス様、フェシリア様が...フェシリア様が大怪我を負って意識を失われました。国王陛下と共に最前線に出向いて戦われ悪魔クラ二ウムのエネルギーの大部分を封印することには成功したのですが...」
信じられなかった。フェシリアが大怪我をして意識不明の昏睡状態だなんて。彼女は私の大切な妹なのに...
私のせいだ。私が妹の優秀さに甘んじて聖女としての役割を放棄していたから。
私は騎士団の使いに国王陛下の居場所を聞き出すと、一目散に駆け出した。
国王陛下は騎士団と共に、何百体もの魔物を相手にしていた。これが、悪魔クラ二ウムの残りのエネルギー。
「ホワイトパニッシュメント!」
私は獣に制裁を加える。しかし、倒せたのは僅か1体...私は何て弱いんだろう。
「テンプス、悪いがお主がいても足てまといになるだけじゃ。早く逃げたたまえ。」と国王陛下。
「私、逃げません。こんなんでも、この国の、聖女だから。国を守るために戦います!」
私は目を瞑って、自分の身体全体に魔力を集中させる。
「パニッシュメントファイアー」
目の前の魔物たちが、一斉に静かに燃え尽きる。パニッシュメントファイアーは自分の魂を燃やして発動する危険な技だ。1度使えば、10年分の寿命を縮めることになる。
今まで真面目に聖女の修行に取り組んできた私には、それしか使えなかった。
かくして、アルトワ王国の平和は守られた。
今、私は聖女としての修行に励んでいる。
このアルトワ王国をより良い国にするよう精進し、いつの日かフェシリアの意識を回復させて彼女の幸福を取り戻したい。
だって私は、聖女だから!
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