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第壱幕 第壱章 第弐節『住民との出会い〜一階編〜』

<あらすじ>

突如として十三の妖怪が住まう館・魔館の主人となった妖怪オタクの僕・怪道 妖一。

朧火さん曰く僕は「館の妖怪を一つにするための新たな主人」と言うことらしい。

彼を支える九尾の狐・朧火さんと番人・鎧塚さんによって迎えられ、朧火さんの助言もあり、まずは館内と住民を見にいくことに。

まずは一階の様子を見に行くことにした。

                       〜1〜

 突如として妖怪が住まう館、『魔館』の主人となった平凡で妖怪マニアの僕、怪道 妖一。

 門番の鬼のお兄さん…鎧塚さんからとりあえず許可を得て、今はとある人物に館の案内をお願いしているところだ。

 門をくぐり、重そうで厳重な大きな扉を開けた。

 光で一瞬目がくらむ。

 再び目を開けると、そこに広がっていたのは、まるで異世界のような空間だった。

 そこは、まるで旅館のよう。日本特有の文化、和の溢れる空間が広がっていた。

 至る所に高そうな壺に綺麗な花が生けられており、書道の掛け軸もある。

 奥からほんのりと畳の優しい匂いがする。

 この場所は今でいう玄関、と言ったところだろうか。

「旅館みたい…!僕、旅館好きなんです!」

 思わず、笑みをこぼす。

 すると横に狐の尻尾が見えた。

「ふふ、そうだね。私も大好きさ。

 ここはね、先代主人様が作ったんだ。

 きっと君と同じように好きだったんだろう。」

 楽しそうな僕をみてか、狐のお兄さん…朧火さんも笑った。

 彼が僕に館を案内してくれる人物だ。

「さて、そろそろ館の愉快な仲間たちに会いに行くとしようか。

 まずは一階から見てみようか。」と朧火さんが言った。


                       〜2〜

 玄関から離れ、真紅のカーペットが導く長い廊下を歩いているとドタドタと奥から何かが急接近してきた。

 ものすごい勢いでとてとてーとかけてきたのは()だった。

 だが朧火さん同様普通の人間ではなさそうだった。


 クリクリとした栗毛。バッテンの上半分を消したような、顔にある獣の模様。

 頭に葉っぱと動物のような丸い耳ともふもふとした大きなしっぽ。狸のようだ。

 獣人、と言った具合で背丈は小さく、外見は年長さんぐらい。


「きつねのおにーさんだー!もーどこ行ってたのさー!

 んー、あれれー、おにーさんだあれー?」

 その子はこちらにやってくると朧火さんを見た後僕を見て首を傾げた。

「やぁきぬ太。今日も元気だね。

 紹介するよ主人様。こちら狸ヶ原 (たぬきがはら)きぬ太くん。

 きぬ太、この方は怪道 妖一くん。我々の新しい主人様となられるお方だ。」

「おにーさんが?そーなの?」

「そうらしいよ…」と僕は自信なさげに言った。

 すると目をキラキラと輝かせて、手をバタバタと動かしながら話し出した。

「そーなの!?おにーさんが新しい主さまなの!

 わああ!あのね、ぼくきぬ太!ここのね、()()()()()()()()なの!

 ねーねー!おししょーには会ったー?」

「こ、こびじゅつしょー?おししょー?」

 情報量と質問の多さで混乱する。 朧火さんがこそっと補足してくれる。

「古美術商…壺とか絵画とかそういった芸術品を管理する職さ。

 お師匠…言うならば彼の先生だね、一階にある売店の店主さ。…胡散臭いから関わらない方がいいよ」

 僕のそばに顔を近づけ、顔の横に反対の手の甲を当て、顔を(しか)めていう。

 最後の部分だけボソッと小声だったのは彼なりの彼らへの配慮と本当にやめとけ、と言う警告だろう。

 僕は「うん」と静かに頷いた。

「もー!きつねのおにーちゃん!そんなこと言わないでー!

 おししょーはちょーっと性格悪いだけだもん!」

 尻尾を揺らし、頬をプクーと膨らませてポカポカと朧火さんを叩きながら狸の少年…きぬ太がいう。

「はは、ごめんよ。それじゃ、そろそろ他の人にも会いに行くから失礼するよ」

「うん!わかった!じゃあ、主さままたねー!」

 ブンブン手を振り、サッと消えてしまった。

笑顔を一瞬で崩し、先ほどの嫌そうな顔でこちらを振り返り、嫌そうに聞いた。

「…やっぱり行くの嫌だから後でいい?」

「いいですよ(そんなに嫌なんだ…)」


                       〜3〜

 そのあと僕らはとある場所に立ち寄った。

 道場、と呼ばれる場所だ。

 面や胴、コテといった剣道の防具を身につけた防具立て、刀や袈裟斬りの練習に使う緑の太い棒、奥の上座には習字で書かれた黒い文字で、『明鏡止水』『忠勇義烈』『切磋琢磨』と書かれている。

 僕らが入ると、重々しい圧を感じた。

 強者による恐怖の圧。

 圧を感じる方向を見ると、左の壁際で虎柄のズボンを履きこなす血気盛んな少年がサンドバックをボコボコにしていた。

 殴り、蹴り、潰し、抉り、引っ掻き…。

 様々な技でサンドバックをボコボコにしていく。

「う、わ…」

 思わず怯んでいると、攻撃に耐えられなくなったサンドバックを吊るしていた紐が千切れ、拳の反動でものすごい勢いで僕らのいる方向にサンドバックが飛んできた。

 僕は「わ」と言う声を出すだけで精一杯だった。

 細身の朧火さんに止めることは不可能だ、思わず目を閉じる。

 風圧が顔に押し寄せる。

 恐る恐る目を開けると目の前に動きの止まったサンドバックがあった。

 朧火さんは煤しげな顔で受け止めていた。

 それを地面に下ろし、やれやれと首を振り、虎のお兄さんに声をかけた。


「ちょっと大鵺くーん、急に来るなんてひどいじゃないか。」

(わり)(わり)ィ。わざとじゃァねえんだぜ。

 てかよォ、俺様の打撃が篭ったのを受け止めておいてよくいうじゃねェか朧火の旦那ァ。

 よかったらァ、いっちょ俺様と手合わせしねェか?」

「うーん、今忙しいから、お断りしておくよ。

 それより君に紹介したい人がいるんだけど、いいかい」

「あァ、いいぜ。

 …ところで誰だよ、テメェは」

 とぼきりと首を曲げ、僕をまじまじと見る。

「…今?まあ、いいか。

 彼こそ、我らが新しき主人様となられる怪道 妖一様だよ〜!」

とパンパカパーンと大袈裟に僕を紹介する。

 虎のお兄さんがポカンと目をパチクリとさせながら僕を見る。

「…コイツがァ?マジかよ…」

 信じられないものを見るような顔をしている。そりゃそうだ。

 だが、すぐに納得したような顔で言った。

「ほォ、テメーが俺らの新大将か。

 俺様はァ、天地も揺るがす偉大なる守り(じゅう)ゥ、大鵺 風魔(おおぬえ ふうま)様だァ!!」

 握り拳を掌で包み、己を鼓舞するかのように虎のお兄さん… 大鵺が起きな声で行った。

 腹から突き出した声に空気がビリビリとふるえ、僕は思わず怯む。

「虎の力!獅子の勇ましさ!白蛇の頭脳!猿の円滑さ! 

 この最強の混合が俺様だァ!ダァーハッハッハ!!」

 と拳を握りしめ、胸を逸らし、天に向かって笑い声を上げた。

「ははは、今日も元気だね。そういやこの前の傷は癒えたかい?」

「あァ!先生のおかげでなァ!

 あの”馬鹿力のチビ”のせいで軽ィ怪我負っちまったけど、今じゃ完・全・復・活!!

 今度こそチビをどつき回してやらァ!」

 と拳と拳を打ち鳴らし、牙を噛み締め、悪い笑みを浮かべた。

「あの…」

 僕が恐る恐る声をかける。

「オーッと、まだ俺様はテメェを主と認めたわけじゃァねェ。

 せめて、俺様よりも強くなけりゃァ、認めらんねェな!」

 と固く腕を組み、フンと鼻息荒く豪語した。

「じゃあ、僕らはこれで。

 …あ、あとあんまり威圧的だとあの子に振り向いてもらえないよ」

 とウインクしながら歩いていった。

 その後僕の後ろを、う、うるせェー!!との怒号のあと扉がぶっ壊れる勢いで扉が閉められた。


「やれやれ、昔気質のああゆう頭の硬い子は困っちゃうね。

 でも、わからなくもないかもね。

 君の凄さが発揮されること、信じてるよ」

「は、はい…」

 僕は自信はないけど、とりあえず、返事をした。


                       〜4〜

 その後、道場の先にある中庭に向かった。

 そこは和の自然を感じられる場所だった。

 紅葉や桜の木、柳などの様々な木が植えられており、川があり、その上に朱色の橋がかかっている。

 その下には色とりどりの鯉が泳いでいた。

 それを眺めながら歩いていると、

「…お、いたいた。」

 箒を持って中庭を掃いている小さな女の子がいた。

 着物の上に珍しいフリフリの小さなエプロンをつけている。

 髪をおかっぱのようにし、前髪が歪なほど短い。

 おかっぱの女の子に朧火が話しかける。

「やあたたみ。今時間いいかな?」

「お、朧火、と誰じゃその(わっぱ)は」

「童って…」

 目つきの悪い金色の瞳に見つめられ、少し慄く。

 明らかに年下の女の子(小三ぐらい。きぬ太より小さい)に年下扱いされて、不満に思う僕。

 それに気付いた朧火がまぁまぁ、と僕をなだめ彼女の紹介をする。

「ここのお手伝いさんの裏座敷(うらざしき) たたみちゃんだよ。」

 座敷童子(ざしきわらし)って分かる?」

「ふん、腑抜けたことを申すな!妾のこと、知っとるに決まってるじゃろ!

 …知ってるよ、な?」

 と僕が考え込んでいるところを見て知らないと思ったのか、おかっぱの女の子…たたみがズイズイと詰めてこられた。

「し、知ってるよ、座敷童子だよね?

 あの、家にいたら幸福が舞い込むって言われてる…」

「そうじゃ!それじゃ!そうなのじゃ!

 ほれみろ朧火!知っとるぞこの童!!」

 ほれみろ、と言わんばかりに地面をドシドシと踏み鳴らす。

「ははは、彼は妖怪に詳しいからね。よかったね。

 あと童じゃなくてご主人様だからね」

 と人差し指を立てて注意する。

「はいはい、こと細かいのぉ。

 まぁ、少しはお主のこと認めてやらんことはないぞ!たははー!」

 最後にチラリと僕のことを見ていい、胸を張り笑った。

「で、今は何をしていたんだい?」

「ふふん、妾は()()()()()なお手伝いさんだから、お片付けをしてるのじゃ!」

 と箒を持つ反対の手で、落ち葉が落ちている中庭を指差した。

「それは悪かったね。ごめんね、ありがとうね。

 そういや雪花から伝言を預かってるんだ。

 1時間半後に厨房に来て欲しいってさ」

 とさらりと言った。

 それを聞いた途端顔が曇り、焦りながらぶつぶつと呟き始めた。

「い、1時間半後、じゃな、えっと、1時間はえーと、60分だから…」

 手のひらを使い、箒を落としたのにも構わず、計算をする。

 …計算が苦手なのかな。

「1時間半は90分だよ。それじゃあ、また後で。」

 そ、それぐらい、わかっとるわー!!と言う声を置いて、僕らはその場を去った。


                       〜5〜

「さて、この館の運営に欠かせない彼女の元に行こうか」

 先ほどの場所からUターンし、一階の奥の宴会会場に向かった。

 長机に13の椅子が置かれている。

 深い渋茶色の椅子に座席部分に真紅の布が付けられ、とても高級な雰囲気を思わせる。

 だが、普通の高級な椅子と違うのは、異質な紋様が刻まれていることだ。

 狐に、狸、などなどここであった妖怪たちの紋様ということに気づいた。

 そのさらに奥。

 そこには厨房があり、そこで女の人が何やら作業をしていた。

 ざぁざぁと水が流れる音。

 とんとんと野菜を切る音。

 じゅうじゅうと揚げ物を作る音。

 足音に気付いたや否や、驚いて近づいてきた。

 女中さんが着るような白いエプロンを着け、白い雪のような髪を後ろで括りあげている。

 まるでアイドル。とても、かわいい。

「…え、あら、君、迷い込んじゃったの!?」

 その白い女性は僕を見て、とても驚いた顔をした。

「落ち着いて、雪花。

 彼は僕らを導いてくれる新しい館の主、怪道 妖一くんだよ。

「え、君が!?そうなの!?

 まぁ、朧火さんが言うのなら、間違いないわね」

 と服を整え、腹の前で手を重ね、こちらに向かって一礼し、微笑んだ。

 笑顔がとても可愛い…こほん。

「私はここで料理人をしている卯氷天 雪花(うひょうてん せっか)です。よろしくお願いします。」

「彼女はここの料理人さ。彼女の料理は絶品でね、そんじょそこらの料亭とは格が違うんだ。」

「もう、朧火さんったら!またたくさんお稲荷さんを作ってあげますね!」

 …狐だなぁ。お稲荷さんて…。


「え、えっと、その…タメ口で大丈夫ですよ、よろしくお願いします、雪花さん。」

「では、失礼致しますね…よろしくね坊ちゃん。

 私、もう少し年上の方が来ると思っていたけれど、これまた小さな子が…。

 とっても可愛いわね〜!」

 ほっぺたをつんつんされながらそういった。

 指は細く、冷たく、ひんやりとしていた。

 後ろで控えていた朧火がやれやれと言った感じで咳払いをした。


「コホン。雪花、彼が主人であることを忘れちゃいけないよ。」

「あら!そうだったわ、ごめんなさいね」

「全然大丈夫です、むしろ、その、ひんやりしていて気持ちよかったです!」

「え!?そ、そう!?なら良かったわ」

「雪花。後で彼と話したいから、医務室に何かお茶と菓子を用意してくれないかい?」

「ええ、分かったわ。とびきりおいしいお茶菓子とお茶を準備しておくわね!」

 とニコニコしながら言った。

「そうそう、一応()()()にも声を掛けてくれない?

 この後の装飾について話したいの。」

「ああ、了解したよ。」

「よろしくね。では坊ちゃん、またね。」


                       〜6〜

 厨房から出て、階段の前に着く。

 すると朧火さんに声をかけられた。

「さて、ここからは個性の強ーい住民の登場だね。

 改めて聞くけど、恐ろしくも美しい妖怪たちに会う準備はできているかい?」

「うん!」

 期待と興奮と恐怖を胸に返事をした。

「それでは二階へのご案内だよ」

 そう言って僕たちは階段を駆け上がった。

<終>

こんばんわノフですー!

えー最後の更新から1ヶ月経ってますね、時間って早いもんだな、うん。ほんと遅くなってごめんなさい。

それでは皆様にお知らせです!


1つ目!これから先、受験のため、浮上が比較的に減ります。

ごめんね。

2つ目!今度はいい報告です!

一週間に一回程度ランダムで小説の方を投稿していく予定です!

大体金曜日夜〜土曜朝方ですね!

3つ目!夏にぴったりな怖くて面白くてドタバタローファンタジー小説をちょいちょい投稿していきます!

思いついて夜中の二時に描いたものなので伏線もクソもないです。

是非是非ご覧ください!!


以上となります、ここまで呼んでくださった皆様、ありがとうございます!

それでは皆様、おやすみなさーい!(現在1時40分回りました)

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