第壱幕 第壱章 第壱節 『新たなる主人』
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皆さんは、”妖怪”をご存知だろうか。
ここ日本において古くから伝わる伝説。
炎や水の自然現象や大地に天候、天変地異をも動かすと言われる、まさしく神のような存在。
周りから馬鹿にされることも多いが、僕は妖怪が大好きだ。
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燦々と輝く日に照らされて、僕はそこに立っていた。
「あれ、ここは…?」
学校の帰り道だったはず。
なのに見知らぬ場所に立っていた。
「どうなってるんだ…?とにかく、状況を整理しよう」
_深呼吸。
僕の名前は怪道 妖一。
中学2年生。男子。好きなものは、妖怪やモンスターなどのオカルト系。
それのせいで周りからは嫌われている。
僕はいつも通り家に向かって帰っていたけど、こけてしまって、気づけばここにいた。
いつも通りの道路ではなく、周りは綺麗な野道になっており、奥には神秘的な森が広がっている。
小道、というか獣が歩いた後のようないわゆる獣道のようなものだ。そこのど真ん中に立っていた。
「何してるんだ、早く帰らなきゃ」
顔をブルブルと振るい、前を向く。すると見知らぬ建物が見えた。
「あれは…お屋敷?」
和風の大きなお屋敷が少し先ににそびえ立っていた。
後ろに戻ろうにも道がない。黒い霧がある。諦めて先に進むことにした。
少し歩いてみると、大きな門が目の前に立っていた。
少し開いている。
「ここの人にどうやったら帰れるか聞こう…」
そう僕はそう考え、先に進むことにした。
小道に沿ってお屋敷を目指して歩く。
そうして大きな門の前に差し掛かった。
すると…
「おい貴様…何者だ。」
と怖く厳しい声が正面から聞こえた。
全く気づかなかったが、門の前に仁王立ちで立っている人物がいた。
鬼のようなツノを生やし、牙のようなマスクをつけた筋骨隆々の大男が刀を携えている。
和服と鎧も相まって侍のようだ。
(刃持ってる!?ほ、本物!?)
僕が半ば驚きと恐怖に駆られているとなお一層漂う怖さがさらに増す。
「もう一度問う。貴様、何者だ」
ドッとプレッシャーが僕に降り注ぐ。
鬼のお兄さんに強く聞かれ、絞り出すようにして、僕は慌てて答えた。
「え、えっと、その、道に迷ってしまって」
「…ここらは一方通行。間違えるほどの道ではないのだが?」
「え、えっとその…」
冷や汗が止まらない。ドキドキしてしまう。
「…もう一度問う。何者だ。答えられないのなら、切り伏せる。」
(き、切る!?そんな殺生な…!)
「ぼ、僕は…」
わからない。どうしよう。正直にいうか、誤魔化すか…。
俯き、戸惑っていると優しい声がした。
「我らが未来のご主人様に何をしているのかな?」
ふわりと風が吹き、僕の肩に優しい手が置かれていた。
見上げると背丈の高い狐面といった風貌の美人な男の人が僕のそばに立っていた。
鬼のお兄さんが睨み、低く呟く。
「…何の真似だ?」
「何って、主人を守る従者だけど?」
(主人…?)
狐耳のお兄さんは笑みを崩さず、サラリと言いのけると、鬼のお兄さんは焦ったそうに聞いた。
「主人、だと?」
「君も分かってるんでしょ?
彼は僕らの救世主。
彼は普通の人間じゃないってさ。」
「…」
「それに普通の人間がここに来れる訳ない。
…ここまで言えばわかるでしょ?」
そして不意に声が冷たくなる。
「それに、『蒼炎の灯火』が燃えた。
信じない訳じゃ、ないだろう?」
「…」
ようやく僕を無害だと認めたのか、無言で刀を鞘に収めた。
僕は胸を撫で下ろした。
少し悲しそうな顔をしながら狐のお兄さんが謝罪する。
「やれやれ、ごめんね、ご主人。彼は悪い奴じゃないんだ。
では改めて自己紹介を。」
と言うと胸に手を当て、一礼し、赤く真っ直ぐな瞳をこちらを向けて名乗った。
「私の名は朧火 九炎。主人に使える十三の妖怪の総主将。
九尾の狐でここの医者でございます。
…よろしくね。」
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「妖怪…!?九尾…!?」
目の前に現れた医者はそう言った。
妖怪、という言葉に妖怪マニアの僕は驚き、興奮した。
実在したんだ。嘘じゃないんだ、と。
「きゅ、九尾の狐!?あの、九つの尾を持つ伝説級の妖怪…!!」
僕は特に好きな妖怪の名前が出てきて、大興奮で捲し立てる!!
僕がそうしていると、耳がぴょこっと立った。
頭の上にある、黄金色の狐の耳が。
「わぁ!」可愛いという思いの混じった驚きの声が出た。
「ふふ、可愛いだろう?狐の耳。九尾の狐だからね。
そしてここには十三人の妖怪が住んでいるんだよ。」
とニコニコで語る。
「十三人も!?」
さまざまな妖怪を思い浮かべて胸を弾ませ、興奮気味で聞き返す。
「…一人いないがな。それより、お前が新しい主人だと?本当か?」
声に遮られ、不機嫌になりながら狐耳のお兄さん…朧火さんが言い返す。
「もう、しつこいなぁ。
怪魔でも妖怪でもない。怪しい雰囲気がしない。
その上、『蒼炎の灯火』も再び燃え始めた。
だから君も出てきたんでしょ?」
「…あの方の力を感じなかったが?」
「だーかーらー、新しいご主人でしょ!
あの方に変わる新しい人材!主人なの!」
プンスカと床をトントン踏み鳴らしながら(大人気なく)暴れて言った。
「…そうか」
「わかってくれた!?もういいでしょ、僕らには彼が必要なの。
バラバラの僕らを繋いでくれる大将が、ね。」
「…」
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「さて、そろそろ門番さんの了承も得たことだし、ここのことを紹介しようかな
いいよね?」
「_________」鬼のお兄さんはまだ何かブツブツと呟いているようだった。
「ねぇ、君も自己紹介してあげなよ。ご主人様にさ。」
とぶつぶつと呟く鬼のお兄さんに声を掛ける。
「… 俺の名は鎧塚 鬼座右衛門。ここの番人をしている。」
「え、終わり?!いや短っ、もうちょっとあるでしょ〜好きな食べ物はおにぎりとか」
ちょいちょーいと横から朧火さんがいう。
(お、鬼なのにおにぎり(鬼斬り)好きなの!?)
と思いつつ鬼のお兄さん…鎧塚さんを見る。
「…俺はまだこの人を主人と認めたわけではない。
敵かも知れぬやつに情報は流すものではないからな」
「ケチだなー、もう。
あ、そうだ。一応ご主人様も自己紹介してもらえるかな?」
頬を膨らまし、僕をみる。
深呼吸。
「あ、はい。
僕は怪道 妖一、です、よろしくお願いします」
と一礼した。
「うん、よろしくね。
取り得ず、ご主人様に屋敷の中の案内と各住民に挨拶するから。
じゃ、また見張りよろしくね」
「…」
そっぽを向いた鎧塚に声をかけ、朧火さんは先導し、館に入った。
そして、館の前で立ち止まり言った。
膝をつき、僕の目を見る。
「突然ごめんね。
急なことでびっくりしたと思う。
でもね、今から言うことは事実なんだ」
そう言ってうつむき、この館について語り出した。
「ここにはさっき言った通り、十三人(今は一人いないけど)の妖怪たちが住む館。
魔館、と言うんだけど。今、僕たちは色々あって、バラバラになっているんだ。
ここの前のご主人様は色々あっていなくなっちゃって。
一応僕が従者代表だからなんとかしようと思ってるんだけど、うまくいかなくて。
新しく僕らを先導してくれる主人として、君に、助けてほしいんだ」
としたから真っ直ぐ僕の瞳を見る。
「なっ、なるほど…そうなんですね。
まぁ、僕にできることなら…」
といつもの、誰が受け取ればいいのかわからない謎の責任を受け取った。
「うん、話が早くて助かるよ。」
と門に手をかけた。
「さてご主人様。怪しくも美しい魅力的で恐ろしい妖怪たちに会う準備はいいかな?」
と朧火さんが手を差し出す。
もう元の生活に戻れなさそうな気がした。
それでよかった。
僕は頷き、手を取った。
_今宵、魔館の門が開く。
そんな声が聞こえた気がした。
初めまして、こんばんわ、作者のノフです!
6月6日に出したいなと思い、いろいろしてたら寝不足で発熱、腹痛、下痢、嘔吐を引き起こし、大惨事の末に完成した第一話ですね。(みなさん体調管理は注意してくださいね、ほんと。)
さて、次回では13人の妖怪たちがぞろぞろと姿を表しますよ〜!
美男美女、少年少女、色んな属性の妖怪がバンバン登場します!
次回は6月20日予定です!
ぜひお楽しみに!




