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私の名前はエリーゼ・オルディアーナ。
クシュリーナ王国に棲む公爵家の娘。
私には特殊な能力がある。それは死に戻りだ。
一度死ぬとある場面からやり直すことができる。
1度目は奴隷…2度目は娼婦として…私は惨めな思いをしてきた。3度目は復讐を誓う。
もう惨めな思いはしたくはない。
そんな私はアルフォート殿下から婚約破棄をされた場面へと戻された。
「エリーゼ・オルディアーナ! お前との婚約を破棄する!そして貴様をこの国から追放する!」
「なぜ?」
「何故?分からないか?お前はファナをいじめて怪我をさせたではないか!」
3度目とは違う…まったく見に覚えのないことだ?
「私はいじめてませんわ」
「言い訳をするな!ファナがそう言っているのだ!お前がファナを階段から突き飛ばしたと、そして怪我をさせたと!」
「それは本当ですの?」
「はい、私は階段から突き落とされました」
「それはいつですの?」
「三日前です」
「それはおかしいですわ。三日前は私と一緒にお茶会をしていましたわ」
「ふん。そうやって私を騙せると思ったか?」
「騙す?違いますわ!私は本当のことを申し上げているのですわ」
「黙れ!」
殿下が手を上げると護衛の騎士が剣を抜き、私の首に当てた。
「お前がどう思おうと関係ない。ファナの証言が正しいのだ」
「分かりましたわ。では婚約破棄の件は了解致しましたわ。ですが私は無実です!」
「そうか…今すぐ辺境の地へと送ってやる。」
「まつ、」
私はアルフォート殿下の強制転移魔法により辺境の地へと飛ばされた。
「これからどうすれば良いのでしょう?」
私は一人、森の中に取り残された。
「なんで私はいつも…こうなの?」
《スキル『不幸者』を獲得しました。》
「小さい頃からアルフォート殿下の為に尽くしてきたのに…」
《スキル『不幸者』のレベルが上がりました。》
「私は……」
《スキル『不幸者』のレベルが上がりました。》 《スキル『不幸者』のレベルが上がりました。》 《スキル『不幸者』のレベルが上がりました。》 《スキル『不幸者』のレベルが……》
「……もう何も考えられないですわ」
《スキル【魔を統べる者】を獲得しました。》
「待って、これはどういうこと?」
私の目の前には先程の私とは別人のような人物が立っていた。
「私は……誰ですの?」
《スキル魔を統べる者は、魔法やスキルを統べる者。全ての魔法を統べ、全てのスキルを統べることができる。また、その者の魔法やスキルは神をも超える。さらに魔物を従えることができます》
「もう…いいや…アルフォートなんて…あの国なんて…この世界なんて…要らない…無くなってしまえ!」
《スキル【魔を統べる者】のレベルが上がりました。》
《スキル【魔を統べる者】のレベルが上がりました。》 《スキル【魔を統べる者】のレベルが上がりました。》 《スキル【魔を統べる者】のレベルが上がりました。》
「私は……何を……」
私は自分のした事に驚いた。私がいた周りは更地となり朽ち果てていた。
「これは……私がやったんですの?」
《はい、マスターは魔法やスキルを統べて、あたりを消滅させました。》
「そんな……私が……」
《はい、マスターがやりました》
「私は……もう人では無くなったんですわ」
《はい、マスターは人間から魔王へと進化しました。》
「……そうですわね」
私は自分が人間でなくなった事を受け入れた。
そして自分のステータスを見た。
エリーゼ・オルディアーナ
魔を統べる王
魔法の王
元公爵令嬢
元奴隷
不屈の闘志
死に戻り
Lv.(測定不可)
HP99999/99999
MP∞
物理攻撃99999
物理防御99999
素早さ∞
魔力攻撃99999
魔力防御99999
スキル
『魔法王』『魔統者』『全知全能』『神速』『言霊』
称号『魔王』『神を殺す者』
「もう……この世界では私は人間ではないのですね……」
《はい、マスターは人間を辞めて魔王になりました》
「そうですわね…それにあなたは誰?」
《私はマスターをサポートする
為に創られた『全知全能』です。》
「全知全能?」
《はい、私は不幸者が進化したサポートする者です。マスターに命令されない限り活動しませんが、マスターの質問に答えたり、スキルや魔法などを教える事ができます。》
「そう……なら私について来て…マイ」
《了解致しました》
「それで、このスキルの使い方は?」
《そのスキルはマスターの思いのままに発動する事ができます。しかし『全知全能』と『不幸者』のスキルを併用すると今のマスターの体が崩壊してしまうのでお気をつけ下さい。》
「そう……」
私は自分のステータスを見ながら、これからどうするか考えた。
「とりあえず……復讐の為に力を蓄えましょう」
《はい、マスター》
私は魔王として生きることになった。
まず初めに私はこの地を開拓し、人間が来ることができないように結界を張った。
「まず何から始めようかしら?」
《はい、マスター》
「そうですわね……まずは力をつけるために魔物を召喚しようと思うのですが……」
《それなら『全知全能』を使えば良いと思われます》
「……確かにそうですわね」
私は『全知全能』を使い魔物を召喚する事にした。
《マスター、魔物を召喚する為の魔法陣を描きましたのでお使いください》
「ありがとう」
私は『全知全能』に言われた通り魔法陣を描き、魔力を込めた。すると魔法陣が光り輝き、中から魔物が現れた。
「グギャ?」
「あら?ゴブリンかしら?」
《はいマスター、その魔物はゴブリンです》
「そうなのね……ならこの森を開拓してもらおうかしら」
「グギャ!」
ゴブリンは私の命令に従い、森の中を開拓し始めた。
「これで少しは生活できる場所になったわね……」
《はいマスター、この調子でどんどん開拓を進めましょう》
「そうね……次は何をすればいいのかしら?」
《はいマスター、『魔を統べる者』を使って魔物の集落を作りましょう。ゴブリンだけでは心許ないのでもっと強力な魔物が必要になります》
「そうですわね……」
私は『魔を統べる者』を使い、周囲の魔物を呼び寄せた。すると様々な種類の魔物が集まり、私の前に跪いた。
「お前達は私の下僕として働いてもらう」
{かしこまりました!}
「まずはこの集落をもっと大きくしましょう」
《はいマスター、では『魔を統べる者』を使って周囲の魔物を集めましょう。また、その者達のスキルや魔法も全て奪うと良いでしょう》
「そうですわね……でも私一人じゃ大変ですわ」
《大丈夫です。『全知全能』と併用して行えば問題ありません》
「なら早速取り掛かりましょう」
私は『魔を統べる者』を使い、周囲の魔物達を呼び寄せた。そしてスキルや魔法を奪い取った。
私はさらに進化を果たした。
「これで準備は整ったわ……あとは……」
《マスター、この森に人間が入り込みました。》
「あら……そう」
私は『全知全能』を使い、人間達の情報を得た。
「どうやら冒険者みたいね……それにしてもこの森の調査とはね」
《はいマスター、その者達を始末しましょう》
「そうね……まずはこの集落に誘い込みましょう」
私は『全知全能』と併用し、森に誘い込む事にした。そして人間達を誘導した。
《マスター、人間達が集落に誘い込まれました》
私は誘導に成功した。
それから数日が経ち、ついに人間達がこの集落にやってきた。
そして私はゴブリンたちを使い奇襲させることにした。
「グギャァ!」
ゴブリン達は人間達に襲いかかると、次々に切り裂き殺した。
そして私は姿を現した。
「ようこそ私の集落へ」
《マスター、この者達には『言霊』を使って下さい》
「分かったわ」
私は『言霊』を使い、人間達の動きを止めた。すると人間達の中から一人だけ動ける者がいた。どうやらその者は耐性があるようだ。
「お前……何者だ?」
「私?私は魔王よ」
「魔王…ぶっははは!ゴブリンを従えて魔王?冗談も大概にしろよ!」
「本当よ」
「はぁ……もういいや……さっさと終わらせてやるよ!」
男は魔法を使って攻撃してくる。
私は『魔を統べる者』を使い、魔法を吸収した。
「なんだ?その程度ですか?」
「な!……ならこれならどうだ!」
《マスター、『全知全能』を使ってください》
私は言われた通りに『全知全能』を使った。すると私の頭の中に様々な情報が流れ込んできた。そして私は男の魔法を使った。
《業火》
すると男は一瞬で灰になった。
《マスター、この者を仲間にしましょう》
私は『全知全能』を使い、男を配下にした。そして配下の者に命令し、人間達を滅ぼすことにした。
それから数分後には人間は全て殺されてしまった。
「これで終わったわね」
《はいマスター、あとは森を広げるだけです》
「そうね……」
私は再び『魔を統べる者』を使って森を広げた。そしてさらに仲間を増やして行った。
《マスター、『魔を統べる者』を使って人間の集落を攻めましょう》
「そうね……この森の魔物だけでは心許ないし……」
私は『魔を統べる者』を使い続けて復讐の種を植えて行く。