夏の火
真夏の夜に空高く、打ち上げ花火が咲き誇る。
大気を震わせ、暗闇を影を色とりどりな光が染めゆく光景は美しい。
矢継ぎ早に打ち上げられ続々弾ける綺麗な花火。
咲いて散るは一瞬、されどそんな儚さを微塵も感じさせぬ力強さを湛えていた。
また一つ打ち上げ花火が夜を染める、閃光と炸裂音を伴って。
そして大輪の残滓を追い越し、連発花火が弾けゆく。
祭りの喧騒さえも掻き消してしまう、躍動する夏の火。
その鮮烈な色彩は蒸し暑ささえ忘れさせる。
誰もが空を仰いで夢中になって、花火の宴の虜になっていた。