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33話 インタビュー

――ここではあなたは自然と本心を語ってしまいます。

  そしてそれを含めてこの状況を不思議にも思いませんが、深く考えなくて大丈夫です。


「え?あ、はい」


――あなたのお名前と年齢を教えてください。


「アリス・ウェーバー、5歳です」


――『先生』に対する印象を教えてください。


「優しくてかっこいい、私達を助けてくれた命の恩人です。

 貴族様なのに怖くなくって、いつもニコニコ笑ってて……お兄ちゃんがいたらあんな感じなんだと思います」


――なにか『先生』にお願いしたいことや、欲しいものはありますか?


「…………お人形がほしいです。

 ソフィちゃんがママに作ってもらったって言ってた、赤毛の可愛いお人形みたいなのがほしいです」


――今の生活をどう思いますか?


「まだ慣れないけれど、先生は優しいし、ユーキくんもノゾミちゃんもいるし、ベッドはフカフカだし大丈夫です」


――今の生活に不満点はありますか。


「……ママとパパに会いたいです……。

 それと………………」


――それと?ここでの話は誰にも聞かれないので遠慮しなくていいですよ。


「…………先生……ユーキくんを取らないでほしいです」


――…………な、なるほど。

  インタビューにご協力いただきありがとうございます。

  それでは、おやすみなさい。


「ふぁ……」




――ここではあなたは自然と本心を語ってしまいます。

  そしてそれを含めてこの状況を不思議にも思いませんが、深く考えなくて大丈夫です。


「?はい、分かりました」


――あなたのお名前と年齢を教えてください。


「シャルロッテと申します。

 12歳……そろそろ13歳になります」


――『先生』に対する印象を教えてください。


「…………物語の王子様かと思いました。

 私の危機に空から颯爽と現れて……まるで英雄譚の勇者様のように鮮やかに魔物を退治してくださって……。

 多分あのときのあの方の笑顔を一生忘れることはないと思います」


――なにか『先生』にお願いしたいことや、欲しいものはありますか?


「…………い、いえませんっ!そんなこと言えませんっ!!」


――……なるほど、それが『本心』ということですね。

  これ以上突っ込むのはやめておきましょう。

  では、今の生活をどう思いますか?


「母が亡くなったばかりで色々と環境が変わってまだ戸惑っていますが、あの方がいらっしゃるのでなんの心配もしていません」


――今の生活に不満点はありますか。


「…………まだこの生活を始めたばかりですし、これと言って思い浮かびません。

 あ、もっとあの方にかまってほしいです」


――なるほど。

  インタビューにご協力いただきありがとうございます。

  それでは、おやすみなさい。


「…………あふぅ」




 ――ここではあなたは自然と本心を語ってしまいます。

  そしてそれを含めてこの状況を不思議にも思いませんが、深く考えなくて大丈夫です。


「はいっ!わかりましたっ!」


――元気でいいお返事ですね。

  あなたのお名前と年齢を教えてください。


「カミシロ・ノゾミですっ!三歳ですっ!!」


――『先生』に対する印象を教えてください。


「かっこいいっ!やさしいっ!大好きっ!!」


――な、なにか『先生』にお願いしたいことや、欲しいものはありますか?


「結婚してくださいっ!!」


――……で、では、今の生活をどう思いますか?


「…………お母さんとお父さんに会いたい……。

 でも、せんせえもおにーちゃんもおねーちゃんも、あ、シャルちゃんもいるから大丈夫ですっ!!」


――良い子ですね。

  今の生活に不満点はありますか。


「ふまんてん?」


――失礼しました。

  今の生活で嫌なところはありますか?


「…………お母さんとお父さんにも一緒にいてほしかったです……。

 あとせんせえにもっといっぱい遊んでほしいですっ!」


――なるほど。

  インタビューにご協力いただきありがとうございます。

  それでは、おやすみなさい。


「はーい♪」




――ここではあなたは自然と本心を語ってしまいます。

  そしてそれを含めてこの状況を不思議にも思いませんが、深く考えなくて大丈夫です。


「……あなたは何者ですか?」


――インタビュアーです。


「……知らない人とは話すなと言われていますので……」


――……すみませんが、警戒心を消去させていただきます。


「え?」


――あなたのお名前と年齢を教えてください。


「カミシロ・ユーキ、そろそろ6歳になります」


――誕生日は来たばかりだったと思いますが……?


「もう一年を切ってるのであっという間です。

 すぐに大人になります」


――そうですか。

  では、『先生』に対する印象を教えてください。


「嬉ションが出そうです」


――はい?


「ご主人さまの顔を見ると嬉ションが出そうになります」


――……………………。

  な、なにか『先生』にお願いしたいことや、欲しいものはありますか?


「特にありません」


――あれ?意外ですね。色々としてほしいことがあるかと思ったのですが。


「ご主人さまはなんでも思うようにやってもらえばいいです。

 僕は求められたものを捧げるだけです」


――………………………………。

  で、では、今の生活をどう思いますか?


「そうですね……ご主人さまが良くしてくださるので幸せに過ごさせてもらっています。

 ノゾミとアリスのことを心配しなくて済むようになって、ちょっと気が抜けています」


――今の生活に不満点はありますか。


「生活ではなく僕自身の不満点ですが、もっとご主人さまのお役に立てるようになりたいです」


――なるほど。

  インタビューにご協力いただきありがとうございます。

  それでは、おやすみなさい。


「…………」




 なんか変な夢を見た気がする。


 よく覚えていないけど、今日は子供たちと一緒にお人形でも作って遊ぼうかな。


 あと…………ユーキくんとの距離感には気をつけよう。


 なぜかそう思った。

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