表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追憶の探偵  作者: 兎束作哉
第3章 音楽を捨てた探偵
39/75

case02 大きな買い物



 ガヤガヤと賑わう店内は、事務所より涼しく快適だった。

 電車を乗り継いで、大型の家電量販店まできた俺たちは、広告を頼りに電化製品を見ていく。時期が時期なため、エアコン、扇風機などは多く安く仕入れられているようだった。その種類の多さに、驚きを隠せない。



「春ちゃん、今日は扇風機見に来たんじゃないの」

「分かってんだよ。ただ、このフォルム可愛いなと思って……」

「はあ……お金ないって言ったの一体誰」



 コンパクトで小さいのに風力はそこそこあり、音も無音に近い新型の扇風機を俺は目を輝かせてみていた。欲しいと思うと同時に、その値段を見て肩を落とす。扇風機と言えど安くない。

 そんな俺を神津は呆れたというようにため息をつきながら見ていた。

 だが、神津はアイスが食べれなかったことで少し落ち込んでいたものの、今は機嫌を取り戻して買い物を楽しんでいるようだ。そんな神津の隣で、俺は久しぶりに来る家電量販店を満喫する。別に家電が好きというわけではないが、売り物として綺麗に並べられているものを見ると欲しいと言う欲が湧いてくる。

 家電製品はどれも最新型ばかりで目移りしてしまう。



「これとか凄えな。床を掃除してくれるロボット……」



 丸いフォルムが特徴的な掃除ロボットに俺は目を奪われた。事務所の床をこれが移動していたら可愛いだろうなと想像すると、俄然欲しくなる。

 神津は俺の首根っこを掴んでそれを制止する。



「掃除ロボットとかいらないじゃん。そもそも、とわ君が掃除しにきてくれているのに」

「小林もこういうロボットいたらわくわくするだろ」

「それは、春ちゃんだけ」



 ほんと、子供なんだから。と、神津は小馬鹿にしたような笑みを浮かべた。


 それから俺たちは、二階三階とまわってようやく冷蔵庫が売っているエリアにまでたどり着いた。その間もいろんなものに目移りしてしまい、欲しいと願望を口にするたびに神津に首根っこを捕まれた。あいつは俺の事を本気で猫か何かだと思っているのかと疑問に思う。


 そしてやっと冷蔵庫売り場につくと、俺は早速冷蔵庫選びを始める。最新型から、ひとり暮らしで使うようなそこまでサイズの大きくないものまで様々だった。俺は様々なメーカーが出している最新の冷蔵庫を眺める。ただ、横から神津が出せる金額にしてね。と口を出してきたため、ちらりと値段に視線を落とせば、とてもじゃないが出せる値段ではなかった。0が幾つつくんだと、開いた口が塞がらない。

 最新型は諦めるかと、俺は安めの冷蔵庫を探した。ここは、店員に聞くのが一番なのだろうがそこまで冷蔵庫に何かを求めているわけではないため、自分たちで選んでもいいと思った。収入が少ないせいで冷蔵庫がそこまでぱんぱんになった記憶がないからだ。

 取り敢えず、入れればいい。たまに実家から送られてくる大きなスイカや冷蔵庫に入れた方がいい野菜を入れられればそれで十分だと、俺は野菜室が充実しているものを探すことにした。


 神津はこういうことには詳しくないのか、興味がないのか、自動販売機でジュースを買って座っていた。



「春ちゃんもうどれでも良いから、早く決めてよ~」

「冷蔵庫って結構でかい買い物だぞ? そんなすぐ決められねえよ。つか、お前も手伝えよ」



 俺はそう言って神津の元に行き彼の飲んでいたジュースを取り上げると、神津は渋々といった様子だったが、立ち上がり一緒に冷蔵庫を選び始める。 

 2人でああでもないこうでもないと言いながら、店内を歩き回る。結局1時間ほどかけて選んだのは、機能性重視のもの。選び始めれば神津も乗ってきたのか、俺の意見に口出しするようになり、あっちの方が良いのではないかなどアドバイスもしてくれた。


 冷蔵庫は三日後に届くらしい。

 それまでは、外食だなと思いつつ、この後どうするか神津と相談することにした。わざわざ電車を乗り継いできたのでこのまま帰るのも勿体ないと思ったのだ。



「んじゃまあ、美味しいもんでも食って帰るか」

「そうだね。今日は中華の気分かな~」

「昼間っからがっつりだな。まあ、俺もラーメン食いたいし」



 そう二人で言い合いながら歩いていると、神津がふいに足を止めた。



「どうした?」

「…………いや、何も」



 神津は何処か上の空のように答えが、彼が足を止めた店を覗いてみれば理由が何となく分かった。



「ピアノ、気になんのか?」



 俺の問いかけに対し、神津は頷きもしなかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ