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追憶の探偵  作者: 兎束作哉
第2章 逆恨みの探偵
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case07 気分屋



「ホテル、マンション……いや、まだ廃業して間もない施設とかかな。考えられるのは」

「それは俺も思った」



 人通りの多い道の端っこに身を寄せながら、俺と神津は誘拐された少女達が監禁為れているであろう場所の特定を開始した。神津の闇雲に探すなの助言の通り、まずは頭を使って考えることにした。



 これまで誘拐されたのはこの間の少女と、今朝の依頼人の娘を合わせて合わせて五人。

 まだ八歳で身体は小さいことからそこまで大きな場所を要しなくても、ある程度のスペースがあればいい。しかし、いくら人が多くてもこれだけの人数の子供が行方不明になれば、ニュースにもなるだろうし、誰かしら気がつきそうだ。それも、下校中というピンポイントで狙われるなら、誰かしら目撃していても可笑しくはない。警察だって動いていないわけがないだろうし、それでも見つからないのは何故か。



(ただ、最近立て続けに事件が起きているせいで人手が足りないのか?)



 捌剣市はとにかく事件が多い。

 電車やその他施設の爆破事件の爆弾魔も未だ捕まっていないし、宗教絡みの事件や、ヤクザの闘争……呪われているのかというぐらい事件が起きているのだ。そのためか、捌剣市から隣町の双馬市に移動する人も年々増えていっている。立地としてはそこまで悪くはないと思うので、そこは問題ではないとは思うが。



「……」

「どうしたの、春ちゃん」

「いや、そうだな。これだけ誘拐されているのに警察が痕跡一つ見つけられないっていうのが引っかかってな。もしかすると、警察が犯人……若しくは、警察の力が何かしら悪い形で働いているのかも知れねえなと」

「考えすぎじゃない?」



と、神津は少し呆れたようにいった。


 確かに、正義の象徴である警察がそんなことをするわけがないと思っているし、疑いたくもない。

 だが、倉庫で見つけた少女の事もあり、一つ引っかかる事、もっといえば心当たりがあった。間接的に今回の事件とは関係無いし、犯罪を手伝っているというわけではないが、裏で手を引いている人物に心当たりがあった。俺の予想が間違っていなければという話だが。



(執着心の塊だな……)



「春ちゃん、何笑ってるの?」



 無意識に笑っていたらしく、神津が不思議そうに見つめてきた。そんな彼に俺は何でもないと首を振って答えたあと、辺りを見渡してみた。

 平日の昼間ということもあり、人の往来は激しく、さすがにこんな所を通って誘拐した子供を連れてあるかないだろうとは思った。連れて行くなら人気のないところを通る。それが犯罪者が考えることだろう。



「でも、春ちゃんすっごく熱心だね。今回の事件、何かあるの?」



と、神津は俺の方を見ずにそんな質問を投げた。


 目を合わせないところを見ると、凡そ見当がついているといった神津の態度に俺は小さくため息をつく。

 この名探偵には敵わない。俺の考えなんて全てお見通しなのだろう。どうやって調べたかは知らないが、こそこそと勝手に人の過去を調べないで欲しいと思った。それが、恋人であってもだ。

 俺に直接聞いてこないところを見ると、そのやり方を俺が好かないことを知ってわざと何も知らないように遠回しに話を投げたのだろう。だから俺は、あえてそれに乗っかって返してやった。



「いいや、何もねえよ。ただ、今月の依頼の中で一番高い金額を提示されたからな。これを解決すればちったあ、生活が楽になるだろう」

「春ちゃん……」

「そうだ。うどんでも食いに行くか? いい店知ってるぜ」

「…………僕、パスタがいい」



 嘘に気づいたが、気づかないフリをして神津は何も言わなかった。

 俺はその期を逃さず、話題をすり替える。ちょうど昼時だったため、この話題には何の不自然さもない。ぐぅと、神津の腹の音がなるのが聞えた。俺が、うどんを食べに行こうと誘えば、神津は少し嫌そうにパスタがいいと答え、それを曲げる気がないというように俺のを方を見てきた。



「んだよ、その目。今日は俺、カレーうどんの気分なんだよ」

「僕はカルボナーラ食べたいの」

「なら、一人で食いに行けよ」

「じゃあ、僕が奢るっていったら?」



と、神津は意地悪に笑う。


 奢るの一言を聞いて俺は一瞬揺らいでしまった。金がないから安く済ませようと、また本気でカレーうどんを食べたいというのもあったが、神津が奢ってくれるというのなら。

 神津に高いパスタを奢らせることも可能なのではないかと、邪な考えが浮かぶ。



「で、どうなの? 春ちゃん」

「ぐっ……う、ペペロンチーノ食べたい」

「だよね。じゃあ、決まり行こうか」



 俺はあっさりと負けてしまった。

 神津は嬉しそうに笑って、早速スマホを取り出して検索を始める。それを見て、俺は悔しいような嬉しいような複雑な気持ちになりながら、後について行った。




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