第一章5話
◆【強襲の森】◆
「ねーねーアルさんとやら強襲の森は初めてくるのかい?」
「アルさんは今回初めての依頼って言ってただろ。初めてに決まってんじゃん」
「いや、前一度だけ来たことがあるな」
「ふーん?何しにここへ?」
「あぁそれはだな...」
待てよあれは言っていいものなのか....いややめて置こう
「えーなになに?」
「.....別に珍しいものではない」
「えー気になるんだけど〜」
「ハハハ。そこまでにしたらどうだ?」
「カインが連れてこなければここまで気になることはなかったのに」
「う、うるさいなぁ!しょうがないだろ!」
「.....お喋りをしている余裕はないようだな」
「へ?」
「まずい!逃げたほうがいい!グリーンドラゴンだ!」
「嘘でしょ!?」
「はぁ!?グリーンドラゴンって言ったら強襲の森のもっと北東にある龍星座ストームっていう所に住んでいるんじゃねぇんかよ!」
「普通ならそうなんだけど...」
「.....『普通』ならね〜まぁ普通じゃないからここにいるんだよね〜」
「......普通はここに居ないのか?」
「いるわけ無いっす!」
「いるわけ無いじゃない!」
「うんーいるわけないね〜」
「ならな....逃げないでいいのか?」
「こ、腰が抜けて動けないっす.....」
「ままま、魔石でどうならないかな?」
「そんなことでいいのならBランクじゃないわよ!」
「だ、だよね〜」
「うううう....セシル、リム、アルさん今までありがとうございました.....」
「あ、諦めるんじゃないわよ!」
「そ、そうですよぅ」
「.......多分。大丈夫だぞ」
「なんでそんなことが言えるんですかぁ」
ここは森の中だ。恐らく気づかないだろうグリーンドラゴンならばな。
「あ、アルさん?聞いてるっすか?」
「ん?あ、あぁ」
ギャオオオオオ
「ひぃ!」
「.....はぁ声を出していたら気づかれるんじゃないのか?」
「そ、そうっすね....ハハハ...」
「......ここで待っていろ。倒してくる」
「ちょ、ちょっと待って!無謀すぎだよ!まだ最初の依頼なんでしょ?ここに隠れていようよ!」
「残念だがそれは出来ないようなのでな。」
「ま、まさか気づいてるの?」
「あぁ恐らくな。」
んーここが襲われる可能性もあるか。ならば。結界を張っておくか。
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《やぁ久しぶりだなエメラルドドラゴントール》
《龍語を喋れるものなど久しぶりに見たものよ。貴様は何者だ?》
《それはそのうち分かるんじゃないか?》
《何?》
《さて、俺から姿を出した理由は貴様に巣に帰ってもらおうと思ってな。》
《帰るものか。あそこは人間を恐れている無能しかいない。》
《無能.....ね。》
《人間よ。貴様は面白そうだ。我が直々に遊んでやろう》
《......すまないがこちらにそんな余裕はないのでな。》
《ならば死ねぇ!!》
新龍のEXスキル【龍の息吹き】
《話は通じぬようだな。》
水上級魔法【即刻凍土】
《な!?貴様!何をした!?》
《何.....馬鹿な人間が使った゛上級゛魔法だよ。》
《凍ってゆく.....》
《俺もまだ“こちらの世界”には慣れていなくてな。それは止められん。ずっとそこで凍りついていろ。》
《こちらの世界.....?まさか貴様はあの.....》
ドラゴンにも知られているとは厄介だな。まぁ様子を見ることにするか。下に行って報告だな。
✡✡✡✡✡
「アルさんあんた一体何したんすか!?」
「はーアルさん......常識知らずのアルさんにいいこと教えるわ。あのドラゴンは普通じゃ倒せないの。私達が今Eランク。その3個上よ。アルさんにしたら4つ。おかしいわよ?」
リムがここまで言うとなると本当のようだな。まぁ俺にとっては雑魚だが。
「そうだったのか。今回俺は運がよく、魔法が上手にできたってことだな。」
「あ、なるほど!なら魔石でもできたかな?」
「セーシールー?」
「あ、リム姉ごめんって!」
「まずはこの事をギルドに報告したほうが良くないか?」
「アルさんの言うとおりっすね。一度街に戻りましょう。」
ドラゴンの出没か.....あの時に似てるな。
15年前のあの日にな.....