第3話 城塞都市ハインズ
王都から半日近く馬車に揺られてやって来た城塞都市ハインズ。
カイリーン王国の国境近くにあるこの都市は城壁に囲まれており敵国に攻められた際の最初の防衛地点となる重要な街である。
騎士団駐屯地へと到着しドタバタしていた日々が過ぎ、落ち着きを取り戻してきた。
俺は朝食を終え、食後のコーヒーを堪能しながら新聞を読む優雅なひと時を過ごしていた。
そしてとある記事が目に入った。
若き英雄ライカ・ミルナード、『イージス』に認定!!
流石だな…どんどん置いてかれてる感じだぜ…
悔しくもあり嬉しくもある親友の活躍。
「ボケーッとして、なんか気になる記事でもあったの?」
既に食事を終え食器を片付けに行っていたエルが不思議そうに問いた。
「ん、別になんでも…」
「どれどれ…」
言葉を遮りながら背後から覗き込んでくる。
耳元にエルの顔が接近し背中には柔らかい感触。
こいつあんまこういう事気にしねーよな…
「ええ!ライカ様が『イージス』に!?」
「ぐはっ…耳元ででけェ声出すんじゃねェよ!!」
耳がぶっ壊れるかと思ったわ…
「だ、だってイージスよ!?世界最強の称号よ!?」
イージスとは世界に数いる騎士の中でも数名にしか与えられない最強騎士の称号で未だにその称号を持つものは5人と少ない。
「凄すぎる…流石はライカ様ね…♡」
完全に惚けている…どうもライカの熱狂的なファンらしく、めんどくさくなりそうなので俺とライカの関係は伏せている。
「朝からなーにイチャついてんだよー俺様嫉妬しちゃうなぁ。」
二階席からニヤつきながらカイルが降りてくる。
「別の男に目を輝かせてる女とどうイチャつけってんだ。」
「あぁ…期待の新プリオンナイト様の話ね、街のお姉ちゃん達の話じゃ帝国との紛争で一役借ったらしいよ、同世代とは思えない実力に俺様自信喪失。」
「…ライカ君は…別格…。」
「うおっ、アミィ…居たのか…」
後ろからの囁く様な声に思わず驚いてしまった。ほんとにこいつは心臓に悪い。
「最初から…いたもん…。」
口を尖らせ拗ねてしまった様だ、悪いことしたな…。
「そっか、アミィちゃんは騎士学院上がりだから顔見知りなんだね。」
カイルの言うとおりアミィは騎士学院からの仲で俺やライカとの面識がある、が、影が薄すぎて覚えてるかは怪しい所だ。学生時代からの知り合いにも拘らず気づけない時はさすがに申し訳ないとも思う。
エルは違う都市の騎士学院から王都に、カイルは入団試験を受けて入団した為ライカとは面識がない。
「いいなぁアミィちゃん…あたしもカイリーンに入学すればよかったぁ…アスカには勿体無い友人よねほんと。」
「悪かったな…。」
「そうそう、アイン隊長が準備を整えて城門広場に集合してくれだってさ、ハインズに来てから始めての任務。」
話が一段落したところでカイルは思い出したように切り出した。
「またペット探しやらどぶさらいじゃないだろうな…。」
拠点が変わってもやる事が同じと言う地獄は見たくないな。
「詳しくは聞いてないけど街の外に出るみたいだぜ、結構ワクワクするよな。」
「本当か?そりゃ楽しみだ。」
少しはやる気が出たところで食堂を後にし城門広場へと向かった。