第63話『なんだか良い関係』
「でさ〜かなえ、いつの間にかベッドから落ちてたんだよ」
「えぇ〜、頭打ってたりしなかった? 大丈夫?」
美紀とかなえが楽しく談笑してる様子をそばで聴いてる文音と明。美紀が文音達と会話してる時よりも、かなえと会話してる時の方が笑顔が多い印象を受けた。
「そう言えば、もうすぐ学校祭だけどかなえは今年攻めてみたりしないの?」
「ちょっとそれは、恥ずかしいかなぁ……」
文音は静かに二人の会話を聞いていたが、明が立ち上がって美紀の制服を引っ張って呼び止めた。
「ねぇねぇ、美紀ってかなえと仲がとても良いね。前から知り合いとか?」
「あぁうん、かなえとは中学から知り合いだからね。入学式で再会した時はビックリしたよね〜」
「私も美紀がここに入学してるとは思わなかったからね。バッタリ会った時は本当に驚いたよ」
明が美紀とかなえの思い出話を聞いてる間、文音は少々置いてけぼりを喰らっている。
「ねぇ、美紀とかなえって中学の時何してたの? ボクに教えてよ!」
「良いよ〜、明と文音には特別に教えてあげよう!」
「特別って……」
かなえだけは、自分と美紀の関係を特別に教えようとは思っていなかった。
明と文音と向かい合う様に座り、美紀が最初に口を開いた。
「私とかなえが最初に会ったのは中学の時だよ。入学式が終わってクラスに戻った時の休み時間でついに出会ったんだよ」
かなえに振って、話を続ける。
「それで、すぐに意気投合して毎日一緒に行動する程まで仲良くなったよね〜、美紀」
「ね〜」
見れば見る程、美紀とかなえの仲の良さが分かってきた。そこへ明が、
「じゃあ、ケンカとかまだしてないの?」
とても良い質問をしてきた。
「うん、かなえとはまだしてないね。もしかしたら今後何かをキッカケにするかもしれないけどね」
「でもあんまりイメージが湧かないけどね……」
「へぇ〜」
三人の会話を聴いていただけの文音が、ここでついに動き始めた。
「あのさ、やっぱり過去の恥ずかしい思い出とかあるのかな? 人前で盛大にやらかしたりとか……」
すると美紀がやはり強い反応をして、話の為にかなえの手を握った。
「うんっ、あるよ恥ずかしい思い出! 例えばかなえが中二の時に学校祭の演劇で痛い子の役を任されて––––」
「えっ…… ちょっと美紀、それ話すの恥ずかしいからやめてよ‼︎」
「えぇ〜、だから恥ずかしい思い出なんだよ?」
美紀は質問した文音とワクワクしながら待っている明の為に、かなえを説得して話を再開した。
「当時かなえは厨二キャラを何にも分からなかったから、独学で厨二を学んで演劇に臨んだんだよ。そしたら本番で高評価をもらったんだよね」
これだけだと、特に恥ずかしいまでにはならなそうだが……
「そしたら役に感情移入し過ぎたあまり、その後しばらくはかなえが痛い娘キャラになってたんだよ〜」
文音と明はかなえを見る。かなえは恥ずかしさのあまり、俯いて顔を見られない様にしていた。
『かなえが痛い娘に……?』
「二人で声を揃えないでよ、恥ずかしい……」




