思いついたのをそのまま。
突然始まります。
世界観は、現代・路地裏・サイコクール?
がんばってついてきてください。
男は、引っ張るように理久を路地裏に連れ込んだ。
んー、んー、と否定の声を上げるふりをして、男に見えないようにほくそ笑む。
すべてが狙ったとおりだ。
女装した自分を狙ってくることも、欲にまみれて路地裏に引き込むのも、理久のことを女と勘違いしているのも。
しばらくして、男が立ち止まって振り返る。馬鹿みたいにニヤニヤと笑いを浮かべ、理久の着ている服に手を伸ばした。
理久は怯えている表情を引っ込め、不遜に笑った。そして、間髪入れずに、伸ばされた男の腕を逆に引き寄せ、鎖骨の間に肘を入れて反対の壁に押し付ける。
「ぐぇっ」
息はできるものの、圧迫感は尋常じゃない。男は無様な声で呻く。
「6月24日」
あの日の日付を告げながらウィッグを取る。
「お前が横領の罪を押し付けた」
メイクを乱雑に手で拭い取る。そもそも、素の顔に近いくらいだったのを、女性的なフォルムに下だけだ。そんなに広がることもない。
「彼女は誰にも信じてもらえなくなって、自分すら信じられなくなって、ゆっくり精神を死なせていったよ。知ってたか?」
さっきまでの高めの声を地声に戻し、ことさらゆっくり告げた。
「お前が実行するのは、決まって彼女が残っている日だけ」
男の喚き声がゆっくりと、しぼんでいく。
「そうやって自分の疑いを消し、彼女に疑いが向くように仕向けた」
「違う…」
男はきつそうに否定した。
「どこが違うんだよ。言ってみろ」
聞き返すと、男は軽く理久のひじを叩いた。どかせと言うことらしい。
このまま抑えを外して逃げられやしないか。ほんの少しの不安は、目をやった行き止まりに解消された。入ってきた大通りに抜ける方に、邪魔するように立てば十分だろう。隙きを抜けられるほど、理久は単純ではない。
そっと腕を退けると、男はわざとらしくむせた。バレバレなんだよ。とは言わない。
「で?」
「私は横領なんてやってない」
「へー、そう。いきなり何も言えない女性を、用意周到に路地裏に連れ込んどいて、信じてもらえると思ってんの?っは、しゃらくせぇ」
今しがた男がやったことを突きつけたやると、黙っていればいいのに、それは…だの、その…だの、言い訳じみたことしか言わずに、何が言いたいのかわからなかった。それに、その行動が、余計に己を胡散臭く見せていることに気付いていないのか。
「女性だなんて嘘だ!お前は男じゃないか!」
「でも、路地裏に連れ込んだよな」
「うっ……お前だって、騙したじゃないか!」
あまりに必死で言うものだから、つい笑ってしまった。
男は、この笑いをどう捉えたのか。一瞬そんなことを思ったが、すぐにどうでも良くなってしまった。
「騙した?よくいうね。むしろそうなら、このことを言っただけでお前の人生転落だって、まだ気づかねぇの?たとえば、ここに誰かの携帯電話があります」
誰かの、と言っておきながら、理久はそれが誰のか知っているし、男もすぐわかったのだろう。青ざめたように携帯に手を伸ばした。
「それは私のだ!返せ!!」
「えー?そうなの?知らなかったなぁ」
この上なく棒読みである。
それもそのはず、この携帯は、ついさっき、男が路地裏に連れ込むことに夢中になっているときに、拝借したものだ。
「まぁ、話を続けるとさ、この携帯にある連絡先に、俺があんたと写ったそれっぽい写真を送ったらさ、周りの人はどう思うだろうなぁ?」
「なっ!」
「女装した男と、薄暗くて人の居ない路地裏で、アヤシイことしてる写真、ばらまかれたら、この携帯の持ち主さん、すっごくこまっちゃうかもね」
男の動きが止まった。理久は携帯を持った腕だけを伸ばして遠ざけ、みぞおちに拳を突きつけ牽制する。「それでも、まだしらを切るか?」
「し、仕方なかったんだ…!!こうしないといけなかったんだ!」
「それで?」
理久は表情を殺したまま、男に言う。
ヒィッ、と情けない声を上げる男が心底鬱陶しい。
「だから、あいつがちょうどいいところにいたから、利用した!!仕方なかったんだ!」
男はやたらと「仕方なかった」を連呼する。動かされる口も、慌てる様子も、何もかもが惨めで、もはや憐れみすら感じた。
「んなことはどうでもいいんだよ。なにが仕方なかったの?」
無理やり口角をあげてみせると、男の目に自分の姿が写った。お世辞にも笑ってるなんて言えない表情の自分がいる。だが、今更直そうとも思わない。
男は、あうあうとうちを動かし、懸命に言い訳を考えている。
「ねぇ、早く言えって。仕方なかったんだろ?何が仕方なかったんだ?言えるだろ?ん?」
「あ、あ、あ」
じわりと、男の目に涙が浮かんだ。ここで叫んだって意味が無いのは、この男こそよく知っている。なにせここを選んだのは、男なのだから。
「もしかして、自分の子供が重い病気で、治療費が必要だったとか?」
餌を垂らすように、例え話を吊るすと、男はこれまたアホみたいに食いついた。
「そ、そうだ!娘の病気を治すのに、金が必要で…」
「へぇ、なんの病気?もしかしてランドラート肝臓炎?」
「ああ」
男が落ち着いたような、安心したような顔でこちらを見ていた。つくづく馬鹿だ。
「ふーんそれは大変だったね。ところで、ランドラート肝臓炎ってなに」
理久は、無理やりあげた口角が、自然に上がるのを感じながら拳に力を込める。対象的に、男は青ざめるを超えて、白くなっていた。
本当に、馬鹿という人種は扱いやすい。そんなことを思っていると、男がプルプルと震えだす。
「騙したな…!よくもこの俺を…!」
「騙す?何いってんの?騙されたのって、むしろ俺の方じゃないか。居もしない哀れな少女に、有りもしない病気を煩わせている男の話を、信じろって言われてんだから。違う?違わないよね。…ねぇ、ねぇってば!もう嘘とかいいからさぁ、俺だってヒマじゃないんだって。プルプルプルプルプリンみたいに震えてないで、答えてって」
男は、追い詰められたプレッシャーと、どう言い逃れればいいのかわからないのと、ヘラヘラしてる理久に対する恐怖だろう。息すら、ままならなくなっていた。
「何が、仕方、なかったの?」
ことさらゆっくり告げた。
たっぷり40秒。男はついに崩れ込んで、ぽつりぽつりと、話し始めた
「何も、仕方なく無いです…」
聞いた瞬間、思わず体が動いた。踏み潰すようにして、垂れ下がる男の手を踏みつける。ためらいはなかった。
「があぁぁっ!」
「もういいよ、何も言わなくて。というより、何も言わないで?このままじゃあ、俺はあんたのこと殺しちゃうからさ。助かろうとしてほざく言い訳も、本当に彼女を追い詰めて、精神的に殺したのも、あんたを前にして、あんたの口から聞いたらさ…本当に許せなくなっちゃうでしょ?」
このまま、許してくれるのか。そんな男の考えが手に取るようにわかった。
でも、だからと言って。一言だって許すなんて言ってないんだなぁ。これが。
「だからさ、そこにいる俺の友達に話してあげて。一言一句、保身に走らずに、あったことだけを、全部」
そこにいる友人が、実は警察官で、理久から証拠付きですべて聞いているなんて、男は知らないんだろう。
理久は男に、とびきりの笑顔を向けてから去っていった。いつまでも忘れられないような、そんな最高な笑顔を向けて。
ー終わり?
ありがとうございます!
はい、フライング気味に言ってみました。でも、これだとなにがありがたいのか分かんないね。じゃあ、最後に書くよ。
とりあえずまぁ、タイトルのとおりだったりするわけですね。これが。
なんか急に、「何が仕方ないの?」って台詞が浮かんできて…
だってかっこいいじゃん!!とことん追い詰める感じで、形勢逆転とかさ!なんかイカれた感じのサイコクールってキャラクター、大好きなんだよねwwあと、頭いい感じの知能犯とか。
でも、もとが頭悪いから、なにやったってアホみたいな作品になるわけですし。
そもそも作品なのかもアヤシイですし。
しかも、作中の設定、グッダグダだしねww
簡単に作った設定は、
理久:職業不定、年齢23歳、男、知り合いがやられたから、犯人にやり返す。倍返しだ!
男:多分変態。過去に会社の金を横領して、理久の知り合いに罪をなすりつけた。普通に犯罪者。
彼女:別に理久とは付き合ってない。本当にただの知り合い。現在、病院通いの自宅療養中。
警察官:なんやかんや、いつも理久に手柄もらってる相棒のような、モブのような、悲しい存在。本当に友達だったりする。
みたいな感じかね。うふふ!へーんなのww 書きたくなったのをそれっぽくまとめて、それっぽくした自己満足型小説もどき、お楽しみいただけたでしょうか。
きこえなーい!つまんないなんて言葉、ワタクシのご都合なお耳にははいってこなーい!
はい、最後になりますので、あとがきの冒頭でいった感謝の言葉が何に向けてなのか書きたいと思います。
ここまで、このようなわけのわからない作品にお付き合い頂き、本当に有難うございます!
なんか、切りが良い終わり方がこれくらいしか思い浮かばなかったんです。
いつか、最初から最後まで設定固めて書ききってみたいと思います。いつになるかね?
ヘドバンはこの前やったから、反復横跳びでいいや。のんびり反復横跳びをやって考えときますw