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僕とひと夏のルペ  作者: 高庭 千
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第23話 恋愛は頃合か

「作戦会議だぞ!」


朝にイヤホンに変えてから、ルペは全く動きを見せていなかった。だが家に帰って来てから急変し、以前に咲良に見つかった時のように姿を次から次へと、ぐにゃぐにゃと変形していた


「ルペ、とりあえず落ち着けって」


「わかったぞ」


人に姿を形作るのに、多少時間を掛けて、ルペは同年代の男の子の姿になった


「それで、どんな作戦でいくんだ?」


ベッドの上で胡座をかいて、勇人は自分の太腿に頬杖をついた


「勇人、ルペに丸投げは良くないぞ。勇人のことなんだから、ルペと一緒に考えてこその作戦会議なのだぞ」


ベッドの下で同じく胡座をかいて座っているルペは頬を膨らませて、しかめ面をした

わかってるよ、とルペをいなすように、勇人は笑った


「今日チサト先生が言ってた、タイミングの話覚えてるか?自分でタイミングを作るってやつ」


「あー、ルペは寝てたかな」とルペは歯切りの悪い返事をした。そうか、と特に気にもせずに勇人は続けた


「それでだ。花火大会が終わった後に、デートするわけなんだが、終わったはずの打ち上げ花火が告白の時だけ、もう一発上がったら、なんか良くないかって思うんだけど」


「ロマンチストだな、勇人は」


目を細めて、ルペはにんまりと口角を上げる。うるさいな、と勇人は照れ隠しに言った


「けれど、そう簡単に打ち上げ花火を上げることは出来ないのではないか?」


「それもそうだな」


二人は思案に耽る。ここで、ルペが閃いた


「渡部に頼めばよいのではないか?渡部のおじいさんはこの地区の総代だ。花火の予備の打ち上げくらい頼めそうじゃないか」


「いやだ」と、すぐさま勇人は却下した


「なぜだ」


視線を天井へ泳がせてから、勇人は答えた


「…渡部とは気まずい」


あのだな、とルペは説明する


「渡部はこの前の会話を勇人せと挑発と自覚して、行ったわけだから、勇人が怒るのも想定内だと理解しているはずだぞ。明日、話し掛ければ心良く話を聞いてくれるとおもうのだが」


「それでも、渡部に頼るのはなんか負けた気がするから」


頑固として意見を曲げる気のない勇人にルペが仕方なく折れた


「わかったぞ。ただ、渡部とは後でちゃんと仲直りしておくんだぞ」


「気が向いたらな」


勇人は明後日の方向を向いていた。勇人の機嫌を逆撫でしないように、ルペは次の案を述べた


「それでは、クオリティは落ちるが市販の打ち上げ花火を水辺で打ち上げるのはどうだ?花火大会の会場の周辺には神隠川(かんながわ)が流れているぞ。反対側の岸でルペが花火を打ち上げれば、そこそこ情緒的になると思うぞ」


「いいじゃん、それ。そうしよう」


勇人はベッドの上で立ち上がった


「だったら、ちょうどいいタイミングで、打ち上げて欲しいから、合図したら打ち上げて欲しいんだけど」


「それならルペが分身して片方は通信機に、もう片方を人間にすれば解決だぞ」


「完璧だ、明日はその作戦でいこう!」


作戦が決まると、勇人は足早に「じゃあ、お風呂入ってくるな」とご機嫌そうにルペを残して部屋を出ていった


雨は止んでいた。窓ガラスから雲に隠れていた月が顔を出す。昨日よりも欠けた月を認めると


「ルペと同じだ」ルペは一人、そう呟いた


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