第15話 味方は特異か
家に帰って、ルペが真っ先に勇人のタイプの女の子の姿に変わってからテレビに張り付いた
「ニュース5(ファイブ)の次は、小学生は名探偵だ。勇人!三つ葉サイダーも冷蔵庫から持ってきてくれないか」
ご機嫌なルペに対し、勇人の表情は未だに浮かないものであった
「ああ、持ってきてやるから。大人しくしてろよ」
学校でずっとイヤホンの状態のまま、缶詰にしておいたことに、ルペの性格を慮ると家くらい自由にさせてやるかという気持ちになったので、飲み物くらい持ってきてやることにした
一階に降りた時に、ポケットの中のスマホがSNSの通知を振動で知らせた
通知は咲良からのものだった
「今日はごめんね」
「明日からちゃんと行くから」
「私も謝るから、勇人も謝ってよね!」
こういうところは昔と何も変わってないな
「私がこうするから、勇人もこうしてよね理論」が咲良の中では昔から自然に展開されていた。ずっとこれは姉と弟みたいなものだと勇人は常々感じていた
僕にとって咲良はとても遠い存在だ
恋愛は対等な立場であるから成立しやすい。僕と咲良では立場が違いすぎるのだ
僕もごめん、と短く返信をしてから、冷蔵庫からサイダーを取って、二階に上がった
部屋に入ると、ルペは食い気味にテレビに顔を貼り付けている
「ここ置いとくぞ」
勇人はルペのすぐ横にサイダーとコップを置いた
サイダーを持ってきた勇人にルペは気づいた
「ありがとう、超サンキューだぞ」
妙に機嫌の良いルペの返事が勇人は気になった
「えらく機嫌がいいな。どうしたんだ」
するとテレビに背を向けて、ルペは身体を勇人に向けた。そしてルペは不気味に口角を上げた
「ふふふ、ルペはもうチェックメイトへの構想が出来つつあるぞ。勇人のほうもそろそろルペの正体探しを開始してみてはどうだ」
「どういう意味だ?」
何を言っているのか、と勇人は首を傾げた
「勿論、勇人を幸せに出来るという意味だぞ」
「はあ?」
「まあ、勇人から見れば少し気づきにくいかもしれないな。しかし幸せとはそういうものかもしれない」
何かを悟ったようにルペは目を細めて遠くを見つめた
「さっきから意味が分からん。適当なことを言ってると今日の晩飯はやらないぞ」
「待ってくれ、ご飯を人質に取るとは卑怯な」
ルペは慌てふためいたから、姿勢を正して咳払いを一つした
「そうだな、例えばそれは勇人の言葉であんなにも咲良が激昂したことや、渡部が嘘を付いていることにあるといったところだぞ」
「待て。前者は分からんでもないが、渡部が嘘を付いてるってのはどういうことだ」
にやけ顔になっているルペに気付いて、前のめりになっていた自分から我に返って、勇人は冷静さを取り戻す
「夜ご飯にルペはなにを食べられるんだろうなー」
「わかった、何でも好きなものコンビニで買って来てやるから。今日は叔母さん達居ないから」
そんな物では釣られないとばかりに
「うなぎ」とルペは呟いた
「お前〜」
さすがに堪忍袋の緒が切れた
勇人はルペに飛びかかった。美少女相手に喧嘩するのは初めてだった
なにを、とルペも応戦して、家がドタバタと暫く騒がしかった
格闘の末、スーパーのうなぎの蒲焼で無理矢理手を打たせて、話してくれることになった
「明日から反撃の狼煙を上げるぞ。ルペに任せなさい」
えっへんと蒲焼のタレを頬に付けたまま、ルペは踏ん反り返った
この生命体が心配でならない、とルペを見た勇人は呆れ返っていた
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