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学校日和2  作者: めろん
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第65回 復讐日和

 学校に辿りつくと、いつもの大食堂で、二学期最初の課題お疲れ様会という、なんともそのまんまな会が開かれていた。


「ぷはあ♪ やっぱコーラは最高――」


そこで例のごとくミントがコーラを飲んでいると、


「ミントきゅ〜んっ!!」


「――デストロイ?!」


右側から走ってきたチロルにガバーッと抱きつかれ、彼はミラクルな悲鳴をあげる羽目になった。


「ち、チロル?」


コーラが溢れないようにテーブルの上にそれを置いた後、ミントがチロルに目を向けると、


「ふえぇ、ミントきゅん、怖かったよ〜」


彼女は彼に抱きついたままふえぇと泣き出した。


「!! ななな泣かないで!? どうしたのさ?!」


ので、ミントはわたわたと両手を上下させながら焦り出した。


「ううっ……フォレストでミントきゅんそっくりのモンスターが襲ってきて」


すると、チロルは涙ながらに語り出した。


「ミントきゅんにあまりにもそっくりだったから、アタイ、攻撃出来なくって……アタイもうダメかと思ったよ〜!」


「ご、ごごっごめんね!? 大丈夫だった?! ケガとかしなかった!?」


謝る必要があるのかどうかは分からなかったが、ミントはチロルを泣き止ませようと必死になっていた。


「あれー? ブドウ、チロルと一緒だったんだー?」


そのすぐそばで、ココアを手に持ったココアが、紫色の髪の少女、ブドウに声を掛けた。


「あ、ココア! うん。あと、パフェちゃんとミルクちゃんも一緒だったんだよ〜」


すると、ブドウはふんわりと笑ってそう言った。


「あ! それでね、ミントくんにそっくりさんな敵さんが出てきたんだ〜」


「ふえ? ブドウのとこにもー?」


彼女の言葉を、驚いたように聞き返すココア。


「え? ココアのとこにも出てきたんだ?」


「うん」


同じく驚いたブドウは、彼女が頷いたのを見てから、


「そうなんだ〜。あっ。でも、すごいんだよ〜? チロルちゃんがね、ミントくんの真似するなーって言って、なんかいっぱいトゲがついた鉄の入れ物にバチンって閉じ込めてすぐに倒しちゃったの〜!」


と、言った。


「……」


「……」


「……」


「?」


無言になるミントとチロルとココアと、ふわふわ笑いつつ小首を傾げるブドウ。


「……チロル?」


ミントの声に、びくうっと反応するチロル。


「な、なあに、ミントきゅん?」


「ふふ、嘘はいけないよねぇ?」


「そ、そうだね―…」


「朝顔」


そんな彼女を、ミントは薔薇の鞭で縛り上げた。


「……。えへ〜♪」


「……」


そのままぷんぷん怒って向こうへ行ってしまったミントと、彼に縛り上げられてえへ〜と嬉しそうなチロルと、そんな彼女にジトッとした目を向けるココアであった。


「む。ミントおかえり」


「ただいまっ!」


「? どしたんだァ?」


「なんでもないよっ!」


「「?」」


『はあ〜い、みんなお疲れ様〜!』


 ぷんぷん怒っているミントにプリンとポトフが小首を傾げていると、奥の方からクー先生の声が聞こえてきた。

すると、会場のざわつきが先程より小さくなった。


『うん! 全員いるね! この雨のなか、みんなよく頑張ったね!』


此処にいる生徒の数を全部数えたのか、満足そうな笑顔のクー先生。


『みんな無事、ミントくんを倒すことが出来たんだね!』


「ちょっと待て」


続けて彼女がそう言った直後、ミントの突っ込みが飛んできた。


『? 何、ミントくん?』


きょとんと首を傾げたクー先生に、


「いや何って、みんな無事オレを倒したってどういうことですか」


と、ミントが質問した。


『あれ? ミントくんはミントくんに会わなかったの?』


彼の質問に、質問で返すクー先生。


「いや会いましたけども。会いましたけども、みんな無事オレを倒したってどういうことですか」


それを更に質問で返すミント。


『そっか、よかった。あのね、二学期最初の課題は、四人一組で学園祭で一位だったミントくんを倒せ! ってヤツだったの!』


そうして、クー先生はやっと質問に答えてくれた。


「……はい?」


彼女の答えを聞き返すミント。


『だから、ミントくんを倒せ! ってのが、今回の課題だったの!』


にこっと笑うクー先生。


「……ふむ。詰まり、ミントが三十一人あの森にいたのか」


 話を流れを読み取り、プリンがそれをまとめ、


『うん! うわあ、ミントくんだらけだね!』


「でェ、三十人は先生が作った魔物だった、と?」


ポトフが話を締め括った。


『うん! 上手でしょ? 魔法と技は学園祭の時にミントくんが使ってたのをコピーしただけなんだけど、特にあのくりっとしたライトグリーンの瞳が我ながら会心の出来――』


バキャア


クー先生が楽しそうに語っていると、何かが派手に砕け散った音がした。


「『……っ』」


直後、静まり返る会場。

冷え切る会場。

完全停止する会場。

――それでも、本能がそうさせるのか、会場の皆様の目が、ギ、ギ、ギ、と音のした方に向けられた。


シュパンシュパン


と、同時に、粉々に砕け散ったコーラの大ビンの先に立つ彼の両手に装備されたものは、薔薇の鞭と食人植物の鞭。


ぶわんぶわんぶわんっ!!


と、光輝く魔法陣×七。


「「全員逃げろお!!」」


プリンとポトフが同時に叫び、生徒たちがそれに素早く了解し会場から出ていったところで、


「――燃える赤、染めあげる朱、暮れの橙、大いなる緑、荒れ狂う青、宵の紫、古より来る琥珀――β(ベータ)、φ(ファイ)、γ(ガンマ)、η(イータ)、κ(カッパ)、ι(イオタ)、σ(シグマ)!!」


ミントが、召喚魔法を発動させた。


『わあい、外だー!』


『めんどくさ』


『プリンが食べたいなぁ』


『ギャオース!!』


『オーホホホ!』


『ほえ? 呼んだぁ〜?』


『ふむ』


『……』


『出番なんだなぁ〜♪』


魔法陣から現れたのは、獅子と牡山羊と竜の頭をもつ"キマイラ"と、巨大トカゲの"サラマンダー"と、美しい女性とヘビが合わさった"エキドナ"と、緑の使いの少女"サキュロス"と、海の力を司る"ポセイドン"と、吸血鬼"バンパイア"と、鷹の頭と翼をもった獅子"グリフォン"。


「ちょ、ちょと待て? この課題決めたのは、私だけじゃないよ?」


それらを見て顔を真っ青にしたクー先生が、両手を前に出しながら言うと、


「へぇ、そうなんですか」


ミントは、冷え切った言葉を返した。


「行け」


『『了解』』


――こうして、ミントの復讐が始まったのであった。


「きゃー!! セルくん! フェイくん! ベルちゃん! ポリーちゃん! エルくんにリアちゃんにピッドくううううううん!!」


「「こっちまで巻き込むな馬鹿ああああああ?!」」


ちゅどおおおおおおん!!



うわあ?! 偽ミントの数を素で間違えました!! 百二十一は、第三学年の生徒の数じゃないですか!!


誠に申し訳ございませんでした!!


ええと、以上がちびっこミントと現実逃避用花壇誕生までのお話でした。

い、いかがでしたでしょうか……?(不安


また、学校が始まる為とこの時期的な問題の為、大変申し訳ないのですが、今後更に更新が不定期になると思われます。


ぶぁっと。


気長ーにお待ちしてくださると、私めはこの上なく喜びます!


毎度ご愛読ありがとうございます!

では、また!!

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