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学校日和2  作者: めろん
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第6回 復習日和

 東の空に日が登り、再び朝が訪れた。

ワイシャツに着替えて、帽子を被り、ピンクと黒のストライプのネクタイを締めて黒いローブをはおったらさて次は。


「ぐー」


「すかーっ」


「……起こすか」


制服に着替えたミントは、まだいびきを掻きながら気持ち良く眠っている二人を起こすことにした。

まずはプリンから。


「ゲットアップリン」


ミントが謎の複合語を言いながら、プリンが抱えている可愛らしい枕を手慣れた手付きで没収すると、


「枕?!」


プリンは酷く慌てた様子で枕を追うようにガバッと起き上がった。


「おはよ。顔洗っといで」


「うむ。おはよう」


プリンはミントから枕を返してもらうと、冷静さを取り戻し、そのまま顔を洗いに行った。


「ポトフ」


 次は、可愛らしいヒツジのクッションを抱えながら寝ているポトフのベッド脇に移動するミント。


「すかーっ」


「……」


ポトフは、何やらプリンと同じような体勢で眠っている。


(……流石は双子……)


と思いながら、ミントは、それなら、ポトフも没収すれば起きるのでは? と考え、早速それを実行した。


「ゲットアッポトフ」


先程と同じパターンの複合語を言いながら。


パシッ


「へ?」


ミントはヒツジのクッションを没収した直後、その手をポトフに掴まれた。


「……あっは♪」


手を掴んだポトフは、眠ったままにっこりと笑った。

――嫌な予感。

ミントがそう思ったのとほぼ同時に、


ぐいっ


「うわ!?」


ガバッ


「ココアちゃァんV」


嫌な予感的中。

ミントは腕を引っ張られ、そのままポトフに抱き締められた。


「ちょ、ポトフ?! オレはミントだよ!? ノットココア!! イエスミント!!」


「んァ?」


彼の腕の中でミントがわけの分からないことを言いながら暴れていると、ポトフは薄く目を開けた。


「……あれェ? ……ココアちゃんじゃなくてミントだァ」


「! そうだよ! ノットココア!!」


おかしいな、と小首を傾げるポトフと、早く離して、とでも言いたげな顔を彼に向けるミント。


「……まァ、いっかV」


ぎゅっV


ポトフはこの状況をポジティブに受け止めた。


「よくねえええええ!!」


バシーン!!


「ぐはァ?!」


ミントは絶叫突っ込みを入れつつ、先端に真っ赤な薔薇が咲いている、薔薇の鞭を出現させてポトフをぶっ飛ばした。













キーンコーンカーンコーン


「はい。出席を取りますが点呼は面倒臭いので全員いますね?」


「「は……はあ……」」


 三年生になってからの初授業の魔法学の時間。

黒髪で面倒臭がりのポリー先生の質問に、ウサギさん寮の三十人はそう答えた。


「ぐー」


ちなみに、三十一人目の生徒は早速枕に顔を埋めて眠っている。


「全員出席素晴らしいですね。はい。では、ピノキ花粉シーズンが終わって超嬉しい私、ポリーがお送りする魔法学を始めます」


そんな彼を無視して教科書をパラパラと捲り始めるポリー先生。

どうやら彼女はピノキ花粉症のようだ。


「では、授業に入る前にって言うかもう入ってますけどそこら辺は気にしないで今までの復習をしてみましょう」


ポリー先生はそう言うと、たまたまバチッと目が合ったココアに質問をした。


「では、ココアさん。魔法の属性は何種類あるでしょうか?」


「はーい。えっとー、炎と水と樹と雷と地と風と氷と闇と光と無の十種類ありますー」


先生の質問に、いつもの間伸びした口調で答えるココア。


「はい。お見事その通り。では、無属性魔法は物を浮かすことから相手の首を()ね―…おっと失礼。様々なものがありますが、その種類は? サラダさん」


ココアが答えた後、視界の隅に入った猫耳少年、サラダを指すポリー先生。


「は、はいっ。物質魔法と呪魂魔法と回復魔法と召喚魔法の四種類ですっ」


サラダはさりげなく恐ろしいことを口にしたポリー先生に若干怯えていた。


「良く出来ました。それでは、ミントさん。例えば炎属性の魔法なら相手をレアからウェルダン―…おっと失礼。と、いくつかクラスがありますが、全部でいくつありますか?」


またもや危険な言葉を口走りつつ、ミントに質問するポリー先生。


「……初等魔法と高等魔法と最大魔法と最高魔法の四つです」


わざととしか思えないポリー先生の失言に、ミントは頬を引きつらせながら答えた。


「完璧ですね。では、皆さん、魔法の基礎はしっかり覚えているようなので――覚えてない人は授業の後で私に聞いてください。身をもってそのちいせぇ脳味噌に刻み込んでやりますから――今日の授業に入ります」


ポリー先生は爽やかに生徒達にそう告げると、何事もなかったかのように黒板にチョークを走らせ始めた。


「「……」」


体罰? いいえ。教育の一環です、と笑顔で口にしそうなポリー先生に、言い知れぬ恐怖を覚えるウサギさん寮の生徒達であった。


「ぐー」


約一名を除いて。

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