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学校日和2  作者: めろん
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第59回 叫日和

後書きにお知らせがあります。ちなみに、サブタイは叫び+日和で叫日和です。

 星が綺麗に瞬く夜。

パーティー会場から漏れ出た淡い光が照らすバルコニーで、彼はその手をすっと差し出した。

驚いたような表情で彼女が彼の顔に目を向けると、彼は綺麗な顔に麗しい微笑みを浮かべ、彼女だけに向けて恭しくこう言った。


「……俺と一緒に、踊っていただけませんか?」


≫≫≫


ぱちっ


「はうにゃあっ?!」


ガバーッ!!


 というところで目が覚めたココアは、赤い顔で布団の中に潜り込んだ。


「あーもー、なんであの日の夢をって言うか、よくあの時普通に踊れたわね私ーっ!」


枕元に置いてあった、四十センチ大のペンギンのぬいぐるみを巻き添えにしながら。


「……そ、それで……あの後……」


そう呟き、右手で自分の唇を覆うココア。


「って! 何変なこと思い出してんのよキモイ私ーっ!!」


その後、ココアはそう叫びながら、ペンギンのぬいぐるみにボスボス八つ当たりした。


「おっはようマイシスター!!」


そんな時、元気な声が聞こえてきたので、


(かえ)れ!!」


土に!! と付け足しながら、ココアは布団から飛び起きて、ペンギンのぬいぐるみをココア兄に思い切り投げつけた。

ココアからの酷い扱いに、床に転がったペンギンのぬいぐるみは、どんよりと哀愁を漂わせ始めた。












 瓦屋根の、巨大で豪勢な旅館にて。


「よし、此処だねー」


涼しげな配色の着物に身を包んだココアは、襖の前で正座をし、それを静かにすーっと開いた。


「失礼いたしま―…」


襖を開き、お客様に挨拶しようとしたところで、ココアはハッとして、


「―…せん」


トン、と襖を閉めた。

が、しかし、


すっとーん!!


「ひっさしぶりィココアちゃんV」


部屋の中にいた客、ポトフによって、襖は再び開かれてしまった。


「あはは、久しぶりー」


「うむ。久しぶり」


「やー!! なんでまた此処に来てるのよー!?」


にっこり笑っているポトフと、彼の後ろでのほほんと挨拶をしてきたミントとプリンを見て、ココアがそう叫んだところ、


「あ、ごめん。やっぱオレら邪魔だった?」


「ふむ……では、僕たちは帰るか」


と、ミントとプリンが申し訳なさそうに言った。


「違っ、そういう意味じゃないって言うか黒いの残して帰っちゃダメーっ!!」


ので、ココアは慌ててそう言った。


「……黒いの……」


 ココアに黒いのよばわりされて落ち込んでいるポトフはほっといて、


「どうしてまたこんな高いとこにー?」


ココアはテーブルに三人分のお茶を置きながら彼らに尋ねた。

ちなみに、高いとは、値段のことである。


「ミントのお誘い」


すると、プリンが嬉しそうに枕で顔を隠しながら答えた。


「ふえ? ミントがー?」


それを聞いて、ココアが小首を傾げながらミントの方に顔を向けた。


「うん。お店でコーラ買った時に福引出来るって言われたからやってみたら、なんか一等が出て此処の宿泊券もらっちゃって」


すると、どこか残念そうな笑みを浮かべながら、ミントはさらさらと質問に答えた。


(……本当は五等のコーラセットが欲しかったんだけど……)


ミントは、一等賞よりも五等賞、宿泊券よりもコーラが欲しかったようだ。


「なーる。キミたちは運がいいようだねぇ」


「「?」」


「!?」


 するとそこへ、桜色の髪の青年がやって来た。

彼の突然の登場に、ミントとプリンとポトフは疑問符を浮かべながら、ココアは何しゃしゃりでてんのよテメー?! という顔で、そちらに振り向いた。


「えと……ココア、この人は?」


しばしの沈黙の後、ミントが小首を傾げると、


「はじめまして、ココアの友達にして可憐なお客様。私は"ショコラ=パウダー"、以後お見知りおきを」


ココア兄、ショコラは、ミントの右手を取ってその甲に唇をつけた。


ぞわあっ!!


ので、ミントは一瞬にして全身に鳥肌が立ち、顔が真っ青になった。


「……キミが、ポトフくんかな?」


そんなミントに気付くことなく、ショコラは笑顔のままポトフに顔を向けた。


「……はェ? あ、はい」


ミントにちゅーした……! と、びっくりしていたポトフが我に返って、ぎこちなく頷くと、


「うん、そっか。ブラッドショット」


ドカアアアアアアアン!!


ショコラは、ポトフに向けて爽やかに闇魔法をぶっ放った。


「って、何してんのよバカ兄ー!?」


ポトフを攻撃したことと、旅館の壁に風穴を開けたことに対して勢いよく突っ込むココア。


「貴様よくも俺の可愛い妹に手ぇ出しやがったなテメェこのクソ野郎おおおおお!!」


が、聞く耳持たず。

何か良からぬものが切れたショコラは、吹っ飛んだポトフを追って外に出て、再び魔力をぶわっと高めた。


「なっ?! ココアちゃんのお兄様!?」


「貴様にお兄様とか呼ばれる筋合いはねえええ!!」


ドカンバコーン!!


と、何やら戦いが始まった時、


「うえーん、プリンー!」


「ぴわわっ! ミント、水道こっち!」


気持ち悪くて泣いてしまったミントを、プリンは慌てて水道のある場所に連れていった。


「あーもー、なんなのよあのバカ兄ミントを女の子と間違えるし父親気取ってポトフと戦ってるしー!!」


その場に立ったまま、綺麗にまとめた頭をぐしゃぐしゃにして叫ぶココア。


「くたばれえええええええ!!」


「テメーがくたばれよバカ兄ーーー!!」


「妹さんをっ!! 俺にくださいお兄様ァァァ!!」


「て、いや何言っちゃってるのよポトフーーー?!」


「ブラッディーハウリング!!」


「キラキラァ!!」


ちゅどおおおおおおん!!


こうして、綺麗に手入れされたココアの家の庭が派手に破壊されていったのであった。


「いやなんで今庭にポイント置くのよーーー?!」



皆様こんにちは!

今回のお知らせは、44話という微妙な回から始まった『学校日和2キャラクターズ人気投票』についてのことです。


投票の結果とキャラクターへ質問の答えは、次回の60話に発表します。

ので、まあ、もういらっしゃらない気もしますが、締め切りは8月12日にさせていただきます。


もし投票や質問がございましたら、お一人様二票で、学校日和2の感想欄、または、メッセージにてご投票くださいませ!

めろんは、あなたのご参加を心よりお待ちしております!


毎度ご愛読ありがとうございます!

それでは、また次回!!


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