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学校日和2  作者: めろん
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第42回 ぶっ飛日和

「!! デスティニー……!!」


 朝っぱらから運命を感じちゃった彼女、チロルは、お喋りしていた友達を置いて、一目散に走り出した。


「ミントきゅ〜〜〜んV」


ミントの元に。


「!? ち、チロ―…うわあ?!」


ドシーン


もう少しで愛しのコーラが手に入ると油断していたのか、食堂で並んでいたミントは、飛び付いてきたチロルと共に倒れるかたちになってしまった。


「あうち……ごめんね、ミントきゅ―…」


上体を起こしながらミントに謝っている途中で、


「お、重―…」


「やぁん! ミントきゅんをプッシュダウンしちゃうだなんて、アタイったらなんて大胆なの〜〜〜っ!」


彼の聞き捨てならない言葉を掻き消すように、頬を赤く染めてエキサイトした。


「い……いや……だから重い―…」


「……あンV ミントきゅん、アタイ、ゾクゾクしてきちゃっ―…」


「って、あああああ?!」


お色気たっぷりのチロルの言葉を無視し、彼女を自分の上から退かしつつガバッと起き上がったミントは、


「列詰まっちゃったじゃん!! また最初から並ぶしかないじゃんかもーチロルのバカ!!」


いつの間にか自分の並んでいたところを詰められてしまい、彼女に怒りの言葉をぶつけた。


「え……? "バカ"?」


目を見開き、彼の言葉を聞き返すチロル。


「バカだよバカ! チロルが来なければコーラまであと二人だったのに、キミのせいであと三十八人になっちゃったんだよ!? ああもう、最低最悪ありえない!!」


彼女に遠慮なく怒鳴り散らすミント。


「そ、それでそれでっ?」


どこか嬉しそうにミントに身を近付けるチロル。


「ああもう煩いなあ!! どっか行っちゃえよバカチロルーーーっ!!」


バッシーン!!


そんなチロルを、ミントは薔薇の鞭でぶっ飛ばした。


「っきゃはーV」


……。

本当にどこかいっちゃっているチロルであった。










キーンコーンかーンコーン


「ポトフポトフ!」


「? なんだァ?」


 生物学の授業が終り、席から立ち上がったところをミントに呼ばれ、ポトフは彼の元へ移動した。


「これ見て!」


「?」


ミントが指さした、分厚い教科書の一ページを見てみると、


「"犬科の混合種は、しばしば犬のような行動を取ることがある"」


と、書かれていた。


「……」


「……」


間。


「ふっざけんなァァ!!」


「プリンはこれを知ってたんだね……」


数秒の間を置いて、ポトフは頭を抱えて叫び、ミントは顎に手を当ててしみじみと言った。


「犬科って……例え犬科だとしても俺は狼だぞォ?! 狼と犬は違うよなァ、ミントォ!?」


髪の毛をぐしゃぐしゃにしたまま、必死に同意を求めるポトフ。


「え? うーん……」


ミントは顎に手を当てたまま少し考え、


「取ってこーい!」


と言って、消しゴムを遠くに投げた。


ポーン


「わァい♪」


ポトフはそれを追い掛けて見事にキャッチし、再びミントの元へ戻ってきた。


「あははは♪ よーしよしよし、良い子だね〜」


面白そうに笑いながら、わしゃわしゃとポトフの頭を撫でてやるミント。


「あっはっはっ! 照れるぜェ、って、ミーント?」


にこやかに怒るポトフ。


「ごめんってば」


両手を挙げて透かさず謝るミント。


「……なんだよなんだよ」


「だからごめんって。うーん、でも、混合種にこんな面白―…困った秘密があったなんてねぇ?」


すねて座り込んでしまったポトフの頭を再び撫でながら、ミントはしみじみとそう言った。


「……。この手を払えないのも犬だから?」


嬉しいような悲しいような複雑な表情をするポトフ。


「何してるのー? 早くお昼にしようよー」


「よー」


「「!」」


 すると、ココアとプリンが教室のドアからひょこっと顔を出したので、


「?!」


「!!」


ポトフは口の前で人さし指を立て、ミントはそれにこくこくと頷いた。


「……待たせてごめんね、ココアちゃん」


ミントが頷いたのを確認すると、ポトフはサラッと髪を掻き上げながら彼女の元まで移動した。


「出た。爽やかモード」


とかミントが呟くと、


ととと


空気を読んだのか、プリンがこちらにやって来た。


「ミント、何してたの?」


ぴこっと小首を傾げてこそっと質問するプリン。


「え? えっと、実験?」


そんな彼に、小首を傾げ返すミント。


「実験?」


反対側に小首を傾げるプリン。


「べ、別に待ってなんかないわよー!」


 すると、ココアの声が聞こえてきた。


「「……」」


小首傾げ大会を中止し、無言で彼女たちに目を向けるミントとプリン。


「ええェ?! さっき早くお昼にしようって言ったのに!?」


「言ってないわよー!」


聞き返してきたポトフに、ココアが透かさず言い返すと、


「……そォんな嘘を言う口は、塞いじゃうぞ?」


彼女の顎に右手を添えて、彼は魅惑的に微笑んだ。


「……ひ……ひと……人前で何変なこと言ってるのよー?!」


一瞬にして顔が真っ赤になったココアが声を絞り出すと、


「じゃァ、人前じゃなかったら、何してもいいのかな?」


ポトフは妖艶な笑みを浮かべてそう言った。


「……け……」


「け?」


弱々しい声を、余裕げに微笑むポトフが聞き返すと、


「ケダモノーーーっ!!」


バッシーン!!


彼はココアの強烈な平手打ちによってぶっ飛ばされ、彼女は風のように走り去っていった。


ガラガラガッシャーン


「ケダモノだって」


「まあ、狼男だからな」


「……動物虐待……」


飛んできた彼をミントとプリンは無表情で見下ろし、ポトフはうつ伏せのまま何か呟いた。

皆様こんにちは!

びよってますか?!


プリン

「……学校のテストと塾のテストと受験勉強はどうした?」


いやぁ、たまには現実逃避もしたくなりますじゃん?


「……。これからも、作者の不定期な現実逃避に付き合ってくれると嬉しいぞ」


以上、意志薄弱な作者でした!


「うむ。ばいばい」


無表情でバイバイした?!

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