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学校日和2  作者: めろん
214/235

第214回 ひま日和

 外は穏やかに晴れた休みの日。

部屋の中は、暖かな陽射しに照らされていた。


「ごろごろォ」


そして、ポトフは床に転がっていた。


「……何してんのさ?」


先刻よりごろごろと転がり始めた彼をしばらく観察した後で、ミントはようやく質問した。


「暇だからゴロゴロしてるんだぜ!」


すると、無駄に爽やかなスマイルと無駄に爽やかなアンサーが返ってきた。


「あー、そう。じゃあ、ついでにそのまま部屋を一周してくれる?」


綺麗になるから、と言ってミントは再び本に目を落とした。


「……、……」


ポトフは、爽やかなアンサーをしたままの状態で固まっていた。


「俺、ぞうきん?!」


「ツッコミが遅い」


そしてツッコミを入れてみると、ミントはぴしゃりと言い放った。


「いや、だって俺がゴロゴロしてるのにあまりにも反応が淡白だから」


「他にどう対応しろと?」


「俺と一緒にゴロゴロするとか俺と一緒に出掛けるとか俺と一緒に遊ぶとか!」


「ホントに暇なんだね」


 なんかぷんぷんし出した彼を見て、ミントは読んでいた本を閉じて立ち上がった。

遊んでくれるの? と、目を輝かせたポトフの目の前にやってきた彼は、


「おすわり」


「わん♪ って、いやいやいやいや」


従順な態度を示したポトフに、激しく首を横に振られた。


「そうじゃない。そうじゃないんだぜミントくん」


「おて?」


「わん♪ いや、おてでもなく」


「よーしよしよし、お利口さんだね〜」


「あっはっはっ、聞いてねェ」


わしゃわしゃと頭を撫でてくるミントに、ポトフは取り敢えず笑っておいた。


「さ、行こっか」


「? 朝のお散歩?」


「ううん、保健所」


「野良犬設定?!」


「執行猶予は一週間」


「しかも引き取り手が見つからなくて処分される感じの!?」


 そんなやりとりをしたポトフは、とあることに気が付いた。


「……れ? そォ言えば、枕は?」


それは、今までなら聞こえてくるはずの、寝言のようにも聞こえなくもない単調ないびきがないことに。


「マクロス=ボナムエル?」


「どちらさま!?」


どうやらミントは、今日はボケの日らしい。


「プリンなら出掛けたよ」


 ミントがいるのにツッコミで忙しいポトフは、プリンが最近よく一人で出掛けることがなんとなく気になっていた。


「まあ、朝の散歩じゃない?」


「え、犬ネタつながり?」


「軍手と袋持ってたし」


「セルフ"フンは飼い主が持ち帰りましょう"?!」


トイレ行けトイレ!! 小分けせずに!! と、簡単に注意を逸らされてしまう彼ではあるが。


「とまあ、冗談は置いといて。ちゃんと起きられるようになったことは良いことだよねぇ」


一応プリンの名誉のため、もちろん、冗談である。


「だなァ」


 日が沈むまで寝てたころと比べたら、文字通りにめざましい進歩である。

しかし、そんな彼にもまだ成長していないところが。


「でも、なんでまだ枕は枕を抱えてるかな?」


それは、初めて彼と出会ったときに、誰もが思うであろう謎。


「うーん、そうだね。相変わらず眠そうだけど、授業とかはちゃんと聞くようになったわけだし。って言うかそもそもなんで持ち歩いてん?」


いつものことで感覚が薄くなっていたが、改めて言われてみれば、それは気になる。


「……」


「……」


二人は、何か企てるような顔になった。


「目標は枕!!」


「ノット枕ァ!」


そして変な合図をしたあとで、彼らは早速行動に移ったのであった。


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