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学校日和2  作者: めろん
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第20回 恋毒日和

 二限目の授業中、頬杖をついて窓の外に目を向けてみた。

そこには、雲一つない青い空が広がっている。

今日も誠にいい天気。


(……はあ……)


ところがどっこい。

金髪ポニーテールとボディーラインが眩しい美少女、チロルは小さく溜め息をついた。


(空は晴れているのに、アタイの心は曇り空……)


なんてベタな。


(ああ、アタイ、満たされていないわ!! 心も体もバッチリ花マル百点満点パーフェクトなアタイに足りないものは、何?! 一体全体なんなのよおお!?)


現在、心の中でスポットライトを浴びている悲劇のヒロイン、チロルは、よよよと涙ながらにハンカチを噛んだ。


(……なんて古風な……)


それが表にも出てしまい、隣の席の女の子が若干引いている。


(ああ、このままではアタイの美しさが二パーセントオフしてしまうわ! そんなことになったら、もしそんなことになってしまったら、アタイ、ミントきゅんに嫌われ―…)


が、そんなことはアウトオブ眼中。

チロルは、何か微妙な割引きのようなことを口走りながら独走している途中で、


(――ミントきゅん?!)


自分の心を曇らせているものにハッと気付いた。


「オウ、アイシー!! チロルちゃん、分かっちゃったわあああ!!」


ので、チロルは椅子を派手に鳴らして弾けるように立ち上がった。


「もう出来たんですか? 凄いですね。では、この問題はチロルさんに答えてもらいましょうか」


はははと笑いながら、黒板に問題を書いていたブロンドヘアの社会学のフェイ先生がチロルを指すと、


「今のアタイはズラにも止められないいいいい!!」


チロルはそう叫びながら、教室を飛び出していった。


「「……」」


暫しの沈黙。


「……先生、ズラなんですか?」


「そそそ、そんなわけ―…やっ、やめなさい!! 風魔法はやめなさい!! って、浮遊魔法もダメええええ!!」












バァン!!


「ミントきゅん!!」


 チロルは魔科学室の扉を勢いよく開けて叫んでみたけれど、そこには誰もいなかった。


「うっ……全部の教室を回ってみたけど、何処にもいない……」


チロルはそう言うと、へなへなと床に膝をついた。


「……こんな……こんなのって……」


そこで止まると思いきや、へなへなと体も床につけるチロル。


「うう……アタイが綺麗だからって、神様も嫉妬して意地悪してるのね……!」


何故そうなる。

どこまでもナルシストなチロルは、その場で完全に横になった。


「ん?」


横になったチロルは、何かが床に転がっているのに気が付いた。


「……?」


不思議に思ったチロルは、匍匐(ほふく)前進してそれを手に取った。


「!」


そのクリスタルの小瓶のラベルを見て、チロルは驚いて目を見開いた。

そしてそれをそっと握ったところ、


「惚れ薬の使用は犯罪ですよ」


「ドッキー!!」


後方から女の子の声が降ってきた。


「なな、何言ってるのよ、アロエ!? これは〜、落ちてたから拾っただけ〜みたいな?」


チロルは慌てて起き上がって振り返り、自分の後ろにいつの間にか立っていた茶髪の眼鏡少女、"アロエ"にそう言った。


「思っ切り"ドッキー"とか言っといて、何を言ってるんですか? 無駄ですよ」


呆れたように小さく溜め息をつきながら、すぐ近くの机の中にあったノートを取り出すアロエ。

どうやら授業はとっくに終わっていて、彼女は置き忘れたノートを取りに来たようだ。


「……それにしても、ミスおサルさん寮のチロル=チョコさんが惚れ薬をくすねようとしていたとは、驚きですね?」


再びチロルに向き直ったアロエは、眼鏡を直しながら言った。


「……だって……」


彼女から逃げるように、視線を下に向けるチロル。


「おやおや、駄々っ子大作戦ですか? 可愛らしいですね」


何故か悪役っぽいアロエ。


「……」


 そうして、チロルが何も言わなくなったところで、


「……いいですか? 惚れ薬というのは、スプーン一杯だけで相手を一生奴隷にさせることが出来る程危険な薬なんです」


アロエは先程より柔らかな口調でそう言った。


「!?」


それを聞いて、驚いたように顔を上げるチロル。


「そう。貴方が思っている程、毒性の低いものではないのです」


彼女に右手を差し出しながら言うアロエ。


「……ごめんなさい」


今にも泣きそうな震えた声で謝りながら、チロルはその手に小瓶を乗せた。


「はい。よく出来ました」


小瓶を受け取ったアロエはふわりと微笑んだ後、彼女の頭に左手を置いた。


「ふえぇん!! ごめんなさいごめんなさいごめんなさいいい!!」


堪え切れなかったのか、チロルはアロエに抱きついて泣き出してしまった。


「……まあ、惚れ薬を数滴使ってしまったら危険ですが、一滴だけなら――」


チロルの頭をよしよしと撫でながら、アロエは彼女に同情してか、そんな話題を切り出した。


「――面白そうですね」


違った。

ただの好奇心だった。

――この日、昼食でチロルから貰ったコーラを飲んだミントは、


「ふふ〜♪ チロルたん、だ〜い好きV」


と、人が変わったかのようにチロルにべったりし出したとかしなかったとか。

その日の夜。


プリン

「む? ミント、顔が真っ赤」


ミント

「うわーん!! なんか知らないけど今日オレ、ポトフ化ちゃったよおお!!」


ポトフ

「ええェ!? 俺みたいになるのがそんなに嫌?!」


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