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学校日和2  作者: めろん
189/235

第189回 体験日和

 お馴染みの学食の隣にある売店にて、


「うーむ」


ミントは、財布を片手に両面閉じ、いつになく真剣に悩んでいた。


「『草食系植物』と『肉食系植物』?」


すると、彼が買おうか悩んでいた本のタイトルを読み上げられ、


「へ?」


ミントはそちらに目を向けた。


「草食系植物って。共食いではありませんの?」


「って言うか、それって完全に草食系男子とかのパクりだよねー?」


そこには、黄色の髪をくるくる縦ロールかつツインテールにした女子生徒と、桃色の髪をゆるゆるウェーブにした女子生徒が立っていた。


「……」


したがって、ミントはおめめをぱちくりさせた後、


「ココアの友達?」


知ってる方だけの名前を口にした。


「って、いつも会っているでしょう!?」


すると、ツインテが何やら食って掛かってきたので、


「え、や、知りませんけど?」


新手の詐欺か何かだと思ったのか、ミントは財布を背に回して三歩後退。


「いやいや多少イメチェンしましたけれど知ってるはずですわ!?」


「いやいやお嬢様口調の知り合いはムースでツインテの知り合いはウララしかいませんから」


「チャームポイントだだかぶり?!」


ショーック! と両手で頭を抱え始めた彼女から目を離し、ミントは助けを求めるようにココアを見た。


「レモンだよレモン。ウサギさん寮の委員長さんだよミントー?」


ココアは、苦く笑いながら名前を教えた。


「ああ、……ハジメマシテ?」


が、検索エンジンに引っ掛からなかったようで。


「だからいつも会っているでしょう?! レモン=グラス! あなたの寮のレモン=グラス! ついでにチロルと親友のレモン=グラスですわ!!」


それがよほど悔しかったのか、ツインテ、もとい、レモンは、選挙カーばりの自己紹介をかました。


「で、なんの用ですか、ココアとレモン=グラスさん?」


なんかめんどくさくなったのか、ミントはそれを適当に流す。


「うん……ちょっとねー? 女子のみんなからミントにお願いがあるみたいなのー」


キィーっとツインテを吊り上げたレモンをどうどうとなだめつつ、ココアはやはり苦く笑う。


「は? 女子の、"みんな"?」


聞き返すと同時に、ミントは後方に控えていたウサギさん寮の女子生徒たちに気が付いた。












「……詰まり、一日オレに成り済ましてみたいと?」


 話を聞いたミントは、呆れたように肩を落とした。


「何? 美人は三日で飽きるんじゃなかったの?」


「う、うん、違ったみたいだねー?」


彼女たちの目的は、いまだに絶大な人気を誇るプリンとポトフ。

その人気は、三日どころか三年以上続いている。


「って言うかさ、ポトフも含まれてるんだよ? 何協力しちゃってんのさココア?」


彼氏も対象にされているのに、とミントが尋ねると、


「だ、だってココアパフェおごってもらっちゃったんだもんー!」


仕方ないじゃないか、とココアが切り返してきた。


「ココアパフェ……」


それは、最近学食に現れた、期間限定の新メニュー。

だがしかし、ワンコイン。

そんなんでいいのか、とか思いつつ、ミントは盛大な溜め息をついた。


「……別に。やってみればいいんじゃない?」


その後、レモンとその他大勢に向き直って了承した。


「「! ほんとう!?」」


彼の言葉に、ぱっと顔を明るくする女子のみなさん。


「本当本当」


「「きゃーっ!!」」


超適当に肯定してみせたミントと、それを見てきゃいきゃいはしゃぐレモンとその他大勢。


「い、いいのミントー?」


すると、最終確認してきたココア。


「うん、いいんじゃない? 一回体験してみれば」


ミントはコーラのフタを開け、


「まあ、すぐに終わるだろうけど」


くぴーっと飲みながらそう言った。


「ふえ?」


 というココアの疑問は、すぐに答えが返ってきた。


「む。ミントお帰り」


――手始めに、プリンの微笑みビーム。


「おっ帰りィミントォ♪」


続いて、ポトフの飛び付き攻撃。


「むっ、ミント離せ!」


「はァ? ミントは俺のだ!」


「違う、僕のーっ!」


後、取り合い。


「む? ミント顔真っ赤」


「はェ!? どしたミント熱でもあるのかァ?!」


とどめに、顔急接近。


「……。……なるほどねー?」


ふらふら倒れてプリンとポトフにめちゃくちゃ慌てられている偽ミントを眺めながら、心底納得したココア。


「確かにあれは心臓に悪いねー?」


「憧れてるなら尚更ね」


後ろに控えている女子たちもくらっときているところから、もうこんなことは頼まれないだろうと一安心するミントであった。


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