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学校日和2  作者: めろん
187/235

第187回 旅行日和

 修学旅行でやってきたのは、定番の古都。

歴史を感じる街で自由行動が始まってからしばらくして、


「……」


ミントは、ぷくーっとむくれていた。


「……」


そんな彼を見て、隣を歩いているプリンは、


「えいっ」


「ぷふ」


人さし指で、ミントの頬を破裂させた。


「って、何するのさ?!」


「む。つい」


「いや何テヘッて謝ってるのさ、テヘッて!!」


テヘッと謝ってきた彼にミントが突っ込みを入れたところ、


「まーだ気にしてるのー? いい加減認めちゃいなよー?」


ココアが呆れたようにため息をついた。


「いや断じて認めねえしって言うかオレのどこが女なんだよって言うかいい加減しつこいと思うんだよねこのネタ!?」


するとミントは、激しく突っ込みながらそう訴えた。


「しつこいって、いや実際ここで会った人はみんな今日初めてミントを見たわけだしー」


ネタってなんだネタって、とか思いながら、ココアは彼の目の前で人差し指でくるくると円を描きだした。


「ほーら、ミントはだんだん女の子になるーミントはだんだん女の子になるー」


ザ、催眠術。


「なるかぁ!?」


催眠術、失敗。


「あは、大丈夫。ミントは男だぜェ?」


その時、思いもよらぬところから慰めが。


「! ポトフ……!」


それに驚きながらも感動したミントが顔をそちらに向けると、ポトフは何もかも分かっているかのように頷いた。


「ぎゅってしたとき、ホネホネしてるからな」


ココアちゃんと違って。


「ダークネスサクリファイスー!!」


と、いつも通りポトフがココアにぶっ飛ばされている間、


「……はあ……」


ミントは再び意気消沈。


「どう考えてもその判断基準はおかしいでしょこの変態ー!!」


「や、でも実際女の子は誰でも比較的ふわふわして」


「何その女の子は誰でも素敵になれる的な発言、って言うか、誰でもって、さ、最っ低ー!! やっぱり女の子なら誰でもよかったのねー?!」


「へえ?! い、いやいやいやいや、決してそういう意味じゃァなくて」


「何よ別に男の子でもよかったって言うのこの無差別タラシー!!」


「何故に!? ちちち違うって、ほっ、ほら、女の子は男より体に脂肪がつきやすいから、って言うか、真面目に俺が好きな女の子はココアちゃんだけで」


「ええい、問答無用じゃ女の敵め! 成敗いたすーっ!!」


「ってだから誤解だってばァァァァァ?!」


まるで浮気がばれたときのような言い訳をするポトフと、せっかく古都にやってきたということで口調に変化が生じたココア。


「む。ミント」


そんな残念なバックグラウンドミュージックを聞き流しながら、プリンはミントの袖を引いた。


「……?」


何? と顔を上げたミントに、


「お寺!」


前方に見えてきたお寺を指でさす。

どうやら彼は、修学旅行をしっかりまっとうしていたようだ。


「……。ん、そうだね」


言われて思い出したミントは、笑顔を取り戻して頷いた。

そうだ、ココアが見たいと言って入った着物店の店員に素敵な振り袖を薦められたからってご機嫌を斜め58度にしている場合ではない。


「よーし、あのお寺まで競争だよプリン!」


「うむ!」


もとを正せば自分が原因でダークネスサクリファイス衝撃の20ヒットを記録したポトフをよそに、ミントはお寺に向け、競って走りだした。


「テレポート!」


「うおおい?!」


勝てるわけがなかった。










 ばっちり観光した後向かった先は、風情あふれる温泉旅館。


「やっぱ風呂上がりはコーラだよね!」


効能書きまくりな温泉から上がり、浴衣に身を包んだミントは、お得意のコーラ一気飲みを披露した。


「うむ。お風呂上がりはプリンに限るな」


それに同意しながらも、まったくもって内容の異なることを言うプリン。


「あっは、鹿肉最高だぜェ♪」


ポトフにいたっては、この地では神聖とされている鹿の肉を気持ち良く頬張っている。


「わは〜、布団っていうのもなんかいいよね」


部屋割りもいつも通りだったらしく、畳に並んだ布団三式を見て言うミント。


「あ」


彼は、そこで何かに気が付いた。


「む?」


「はェ?」


そそそと枕元に移動したミントに、プリンとポトフが疑問符を浮かべると、


「そう言えば今までなんでやらなかったんだろう!」


彼は、三つの枕を持ち上げて友人に向き直った。


「やらなかったって、何をだミントォ?」


それでも分からないポトフは、更に疑問を深めた。


「旅館と言えば」


ミント、大きく振りかぶって、


「枕投げだよ!」


投げた、投げた、投げた。


「ぴわ!?」


「おォ?!」


判定、デッドボール。


「むう、お返しっ!」


「あはは、まだまだぁ!」


当てられた枕をプリンが投げ返し、それをまたミントに投げ返され。

彼らの部屋で、楽しい枕投げ大会が始まった。


「む、枕がない」


「いやいやプリン持ってるじゃんか」


「むう。これは、め」


ちなみに、プリンは間違っても自分の枕は投げないようだ。


「……」


そんな二人を見て、ポトフはおもむろに参戦した。


「でりゃァァァ!!」


枕投げに。


「ってその枕じゃないからねえええ?!」


見事な一本背負いを仕掛けたポトフに、ミントは慌てて突っ込んだ。


「ぴわあ?!」


が、時すでに遅く、もちろん受け身なんて心得ていないプリンは畳にビターン。


「あっはっはっ! 楽しいなァ、枕投げ?」


完全に主旨を履き違えているポトフが愉快そうに笑うが、


「っき……貴様……!」


それを快く許すプリンではなく。


「わ、わは〜……」


始まっちゃったよとばかりに、ミントは苦笑い。


「枕の綿にしてくれる!」


「あっは、上等だァ!」


こうして、楽しい枕投げ大会は、壮絶な枕投げ大会へと化したのであった。


「……"枕の綿"?」



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