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学校日和2  作者: めろん
184/235

第184回 同族日和

 青い空の下、緑色の芝生の上で、


「ミっント〜ォ!!」


「わは〜なんか久しぶり」


温かな陽を浴びていたミントは、ポトフに久しぶりにガバーッと飛び付かれた。


「どしたのさ? 今日はココアとデートしてくるんじゃなかったの?」


ミント相変わらずほっそいなァ! とか言いながらひっついている彼に、何事もなかったようにコーラを飲み飲み質問するミント。


「の、筈だったんだけど、ほら、女の子にもいろいろあるだろォ?」


そんな彼を文字通り振り回しつつポトフが応えた。


「ああ、女心と秋の空?」


「え、何俺フラれちゃったの?」


その言葉に、ミントを後ろから抱えてぐーるぐーる回っていたポトフはぴたっと停止した。


「そうだったら面白いかなと」


「人の不幸は蜜の味?!」


 おにィさんそんな子に育てた覚えはないぜェ!? とか、いや育てられた覚えはないけど、とか会話している彼らの横には、


「仲良し、ですね」


「そうだねぇ」


「む、ミントが弟……」


「……。万更でもなさそうだな」


「いやいや、アンタよりもミントの方が上なんでしょ? 誕生日的に」


プリンと異世界フレンズが。


「む? ミントがお兄さん?」


「おにィ……」


ウララの発言に、立ち上がったプリンと、もともと立っているポトフはミントを見下ろす。


「……」


そう、見下ろす。


「「やっぱり弟」」


「うっさい!! これでもちゃんと伸びてるんだからね?!」


180もある彼らに挟まれたミントは、やっぱり小さく見えてしまうようで。


「む? 伸びたのか?」


「3ミリ!」


「変わんねェって」


「うむ。靴下か帽子でどうにかなるぞ」


「ちっげーし! 変わったし! 伸びたんだし!!」


「そかそか。おっきくなったなァミント?」


「っにゃあああああ!!」


慈愛に満ち溢れた顔でよしよしと頭を撫でられ、怒りのあまり猫化するミント。


「言われてみれば、プリンとポトフって背ぇ高いわよねぇ?」


「頭、ごっちんしそう、です」


敷居を跨ぐ時に、とほのぼの言うウララとリン。


「あのね、僕も3ミリ伸びたんだよ!」


「そ、そうか。3ミリも大きくなったのか」


きらきらした顔でアオイに訴えられ、気付かなかった上に彼よりも高いユウは反応に困っている。


「あらま。じゃあ私の方が高くなったのね?」


「ええ?! ウララ何センチ!?」


「163.6」


「ええ、僕より3ミリ……!?」


「き、気にするなアオイ! 3ミリくらい、あってないようなものだっ」


「ユウ、さっきと言ってること違う、です」


3ミリ議論、伝染。


「て言うかそもそもさ?! 兄弟決めるのに身長関係ないじゃん!」


「て言うか、もともと兄弟じゃない、です」


リンの冷静な突っ込みは流されて、


「それもそうねぇ。現にプリンとポトフは同じ身長だし、私のお姉ちゃんも私より低いし」


ウララは双子を見比べながらそう言った。


「あ、そう言えばプリンとポトフって、どっちがお兄さんなの?」


それを受けて、アオイが首を傾げると、


「僕」


「俺」


二人は、同時に同調子で答えた。


「……や、ゼリーさんが言ってたじゃんか。ポトフがプリンの双子の弟だって」


きょとんとしたアオイたちの隣で、手を横に振りながら言うミント。


「いーや、よく考えたら、俺のが断っ然お兄ちゃんだぜ」


それを真っ向から否定するポトフ。


「何を言うか、僕が兄に決まっているだろう」


更にそれを真っ向から否定するプリン。


「て言うか、双子ってのは認めるようになったんだね?」


火花を散らし始めた今の二人に、ミントの声は残念ながら届かず、


「んだとテメェ、運動能力は遥かに俺の方が上じゃねェか!」


「貴様こそ、頭で僕に勝てたことなど今まで一度もないだろう!」


「うっせェ! 頭は一位と二位だけどな、体は一位と最下位だ!!」


「煩い! その分僕は貴様より魔力が断然高いんだっ!!」


「テメェより料理がずっと出来るぜ?!」


「貴様よりずっとずっと器用だ!!」


「テメェよりいっぱい食うぞ!」


「貴様よりいっぱいいっぱい寝るぞ!」


プリンとポトフの熾烈な口喧嘩が始まった。


「レベルが高いんだか低いんだか分かんないわね」


「大丈夫。低いんだよ」


「……ご苦労様、です」


呆れたように肩をすくめたウララの隣で肩を落としたミントの肩に、リンはぽんっと手を置いた。


「仲良しだねぇ」


「そうだな」


そんな二人を見て、楽しそうにくすりと笑いながら言うアオイに、お前が原因だろうとは絶対に言わないアオイ贔屓、ユウ。


「おお、喧嘩か? ふわふわ」


 そこへ、大鎌に乗った死神が、言葉通りふわふわとやってきた。


「大喧嘩だよ」


突然現れた彼の言葉に、すんなりと頷いてみせるミント。


「フッフッフッ、仲良しだな。オレ様とゆうこりん程ではないが」


「いつ俺と仲良くなったんだアホ神」


不適に笑って言う死神に、ユウは表情一つ変えずにさらりとそう返した。


「わは〜、何? ユウとワタルもこんな感じなの?」


「うん、仲いいよねぇ」


「アンタはいつも平和だわね?」


「て言うか、ゆうこりんは否定しない、ですか?」


何か違うが、プリンとポトフと同じようなにおいを感じ取ったミントと、いつもの調子で喋るアオイとリンとウララ。


「お互いニックネーム呼びだし」


「いい加減あの呼び方はやめろアホ神」


「バレンタインデーにオレ様にたくさん手作りチョコレートくれたし」


「俺が作ったわけじゃないし単に甘いものが嫌いなだけだアホ神」


「フッフッフッ、ツンデレだな」


「お望みならぶっ飛ばしてやるぞアホ神」


なんて、淡々とした会話を聞いていると、ミントはふとあることに気が付いた。


「そう言えば、ワタルって変なニックネームつけるよね?」


注意、悪意はない。


「ん、よく気付いたな。みんとんにプリッツ、ポッティーで、うららんにりんりんにゆうこりんに」


「だから誰がゆうこりんだ?」


死神も、ユウに釵を突き付けられながら、発言の途中であることに気が付いた。


「……、アオイ?」


アオイだけ、ニックネームを付けていないことに。


「そう言えば、アオイはアオイって読んでる、です」


「そ言えばそうねぇ」


「僕はプリンだっ!」


「ポッティーて……なんか懐かしいなァ?」


そのことに気付いたリンとウララと、ニックネームに反応するプリンとポトフ。


「でさ、アオイもアオイでワタルには"さん"付けだよね?」


「え? あ、そう言えば、死神さんは死神さんだね」


ミントとアオイは、アオイの呼び方についても気が付いた。


「それは、ワタルが初め、"死神"として現れたから、ではないですか?」


「ああ、苗字じゃなくて、職業の方ね」


詰まり、"死神さん"の"死神"は、名前じゃないということ。


「そっか、気が付かなかった。ごめんね? えっと、……わ、ワタル」


と、アオイが照れながら名前を呼んでみたところで、


「フッフッフッ。気にするな、あおむ――」


「《暗雲の閃光は破滅をもたらす》」


やっぱり吹っ飛ばされた死神。

彼の付ける安直なニックネームは、どうやらユウのお気に召さなかったようだ。


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