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学校日和2  作者: めろん
167/235

第167回 出題日和

 筆記試験が終わって実技試験。

毎度のごとくワープさせられた彼らは、珍しいところにやってきていた。


「わあ……!」


そこは、薬草学と植物学の併用の教室。

ガラス張りの大きなハウスの中の、様々な種類の薬草が育てられている薬草園であった。


「む? ここは?」


「なんだか不思議なにおいがするねー」


「珍しく森じゃねェのな」


と、言うからには、


「薬草園だよ!」


一番喜んでいるのは、瞳をきらきらに輝かせているミントなわけで。


「「薬草園?」」


「そう! オレも植物学でまだ一回しか来たことなかったんだけどさ」


友人たちの聞き返しに、辺りをきょろきょろ見渡したりパタパタ行ったり来たりしながら、ミントはそう教えた。


「……。嬉しそうだねー」


「だなァ」


「うむ」


わーとか言いながらあちこち見て回っているミントをほのぼのと眺めつつ、


「ふむ、今回の課題はなんだろうな?」


「さー? 魔物を倒すとかではなさそうだけどー」


「まァ、ここに来たってことは、薬草に関係したことなんじゃねェ?」


プリンとココアとポトフは、課題について考えた。


「む。それなら」


「今回は楽勝だねー」


「そォだなァ」


ポトフの言葉を受けて、彼らは、再びミントに目を向けた。


「「こっちにはミント――が?!」」


 ――瞬間、彼らは驚きに目を見開いた。


「「ふ」」


何故ならば、植物に夢中になっている彼らの友人の背後に、


「「不思議仮面っ!?」」


いつぞやの、謎の悪役が立っていたから。


「? なんか言っ」


遠くから聞こえた気がした友人の声に反応し、ミントが後ろを振り向くと、


「た」


彼は、不思議仮面と再会した。


「……」


「……」


紫色の仮面で鼻から上を隠しているものの、黒が似合う銀髪長身の細身な彼はやっぱり、


「セ」


「不思議仮面だ」


セから先は断じて言わせない不思議仮面。


「み、ミントっ!」


「一旦逃げてー!」


「びよレンジャーに変身だぜェ!」


苦ーく笑ったミントに追い打ちをかけるように、彼の耳に友人たちの声が届く。


「「打倒! 不思議仮面っ!」」


「だからなんで気付かないのさ、みんな?」


不思議仮面を謎の悪役だと信じて疑わない学年トップの成績を誇る彼らが、甚だ疑問であるミント。


「ったく、何をもってセ」


「不思議仮面だ」


「を認識してるんだか」


どんな小さな呟きも見逃さない不思議仮面。


「……」


(まあ、確かに授業中と比べたらキャラ違いすぎだけど? でも、あの悪戯好きなルゥ様のオリジナルなんだよ? ついでにルゥ様と同じでお子様メニュー大好きなんだよ? こないだなんてアレだよ? 食堂の隅っこで国旗が刺さってるハンバーグとエビフライがついたスパゲティセットをニコニコしながら食べて)


「ミント=ブライト」


ミントの思考を遮るように、心なしか顔の赤い不思議仮面が口を開いた。


「……コーラやるから黙っていろ」


不思議仮面、贈賄の疑い。


「合点承知です不思議仮面!」


ミント、収賄の疑い。


「いただきま〜す♪」


彼がどちらについて黙っていろと言ったのかは定かではないが、ミントはいただいたコーラをありがたく一気飲みした。


「?! ミント!?」


「知らない人からコーラもらっちゃダメだよー!?」


「ミント、ぺってしろ、ぺって!」


その光景を見て、プリンとココアとポトフは慌てて叫んだ。


「――っ!?」


からんっ


が、時すでに遅く。

ついつい一気に飲み干してしまったミントの手から、空のコーラのビンが滑り落ち、


ドサッ……


ミントはその場に倒れこんだ。

超即効性である。


「「――!? み、ミント?!」」


「ふっ、ブライトには毒を飲ませた」


「「な、何っ?!」」


「なんですとー!?」


不思議仮面の言葉に、三人の友人は衝撃を受けて思わず仰け反り、


「お前たちの課題は、この薬草園の中から解毒薬を見付けることだ。ここから外に出る必要はないぞ。危ないからな」


謎の悪役は、マントを翻すと同時にかっこよく消え去った。


「「し」」


そんな彼を見て、三人は取り敢えず一言。


「「親切……っ!」」


ですね。

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