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学校日和2  作者: めろん
139/235

第139回 解答日和

 天気のよろしい本日は、日の当たる中庭に出てお昼ご飯。


「おいしいね、ユウ」


「ああ、最高だな」


の、きゅうりをポリポリ。


(いやいやいや。何故に近頃では滅多にないお天気のよろしい日にわざわざ中庭に出てきゅうりをポリポリせにゃならないのさ?)


ほのぼのときゅうりを食べているアオイとユウの向かい側で、きゅうりを齧りながらミントがそんなことを思っていると、


「むう……」


「んー……」


輪になって座っている彼らの真ん中に堂々と置いてあるきゅうりがいっぱいなカゴを見て、プリンと死神が同時に口を開いた。


「僕、プリンの方が」


「オレ様、プリンの方が」


「うっわあ!! このきゅうりめちゃくちゃ美味いよプリン、ワタル!!」


ふっと微笑んでいるユウの機嫌を最悪にする(おそれ)のある彼らの言葉を掻き消す為、ミントは彼らの口にきゅうりをそれぞれ突っ込んだ。


「ふう……、て、あれ?」


 その後でユウをチラ見して、彼のご機嫌を損ねなかったことに安堵したのもつかの間、


「……はァ……」


ミントは、隣で溜め息をついている元気のない眼帯くんに気が付いた。


「ポトフ? どうしたのさ?」


ついでに彼がきゅうりを食べていないことに気が付いたミントは、ポトフに声をかけながらきゅうりを差し出した。


「はェ? ……あァ」


彼の声に反応したポトフは、ありがとな、とお礼を言いながらきゅうりを受け取った後、


「俺、最近思うんだ」


それを握り締めた右手を額に当てて、うつむき加減にこう言った。


「"嫌よ嫌よ"は、ホントに嫌なんじゃないかなァ、って」


念の為言っておくが、彼は至極真剣である。


「……あー……ココアの話?」


突然そんなことを言い出したポトフの話題についていく為の確認に、


「んーと、そんなことはないと思われるよ?」


小さく頷いた彼を見て、ミントは控えめな笑顔でそう答えた。


「でも、ココアちゃん、俺が抱き付いたり抱き上げたり抱き締めたりすると必ず"嫌"って」


すると、ポトフが切り返してきた。


「いや、それはキミがTPOをわきまえないからだと思われるのですが」


ので、ミントは的確な突っ込みを入れた後、


「それかあれだよ。ポトフは押しがちょっと強すぎるんじゃないかな? ほら、よく言うでしょ? 押してダメなら」


それでも元気の出ない、何やらスキンシップが激しい友人を励ますように笑いかけた。


「諦めろ」


「うん。ちょっと潔すぎるかなプリン?」


 すると、ポトフとミントの会話に、きゅうりを齧っていたプリンが参加し、


「えーと、開くまで待ってる?」


「うん。ちょっと気長すぎるかなアオイ?」


きゅうりを食べ終えたアオイが続き、


「……。蹴破る」


「うん。ちょっと力技すぎるかなユウ?」


きゅうりをお代わりしながらユウも続いて、


「すりぬける」


「うん。何が起きたのかなワタル?」


チョコレートフォンデュできゅうりをいただいている死神まで繋がった。


「あーもう、押してダメなら引いてみるでしょ?」


「「ああー」」


「いやなんなのさそのわざとらしい反応は?! つか何このみんなしてきゅうり食べてる光景!? そんでもってワタルそれフォンデュになってないよ! それきゅうりが刺さった溶けたチョコレート飲んでるだけだよ!!」


「今漬け込んでるの」


「チョコレート漬けえええ?!」


ミントが正解を言うと、ああー、と言いながらポンと手を叩いたプリンとアオイとユウと死神に、ミントは思い切り突っ込んだ。


「押してダメなら、引いてみる……。! そうか!」


そんな彼の隣で、ポトフはぱあっと顔を明るくした。


「……あ、解決した? よかったよかっ」


元気を取り戻した彼に、ミントはホッと一安心、


「詰まり、攻め方を変えればいいんだなァ!?」


「た……って、あれー? ポトフさーん?」


出来なかった。


「む? 貴様に頭脳戦が出来るのか?」


「え、何? ボードゲーム?」


「えっと、じゃあ、ロブを上げて相手を左右に振ってみるとか?」


「あの、テニス?」


「……ディフェンスに回るか」


「いや、バスケ?」


「フッフッフッ。最初にグーじゃなくてパーでいく気だな?」


「ジャンケン? しかも反則? て、ああもう……。まあ、ユウのが一番本文中の主旨に沿った答えだね」


突っ込みを入れる相手が複数名いると流石に疲れるのか、頭を抱えながら諦めたようにミントが言うと、


「ありがとな、みんな! おォし、決めたぜ!」


ポトフはきゅうりを一気に食べ終えた後に立ち上がった。


「ここは敢えて、チョキでいくぜェェェェェ!!」


どぴゅーん!!


そして、そう叫びながら、彼は彼女の元へどぴゅーんと駆け出した。


「フッフッフッ。成程、チョキでいくか」


「……。チャレンジャーだな」


「頑張ってね、ポトフ」


「ふむ……敢えて負ける気か」


ポトフを見送りながら言う死神とユウとアオイとプリンをよそに、


「……」


何故に敢えて死神の意見を採用したのか、とか、何故に最初はグーの段階で負けるつもりなのか、とか突っ込まずに、もう何も言うまいと心に決めたミントであった。






まったく、ボケの割合に対してツッコミ役が少なすぎるんだよあーもー……。

……。

……?

! あ、み、みなさんこんにちは!

えっと、何やらレポートやら試験勉強やらで、今後、更新が遅れはじめるそうです。

……まあ、お恥ずかしながら注意散漫な作者なので、ちょこちょこ更新すると思われますが。

そこで、学校日和2では、只今読者様参加型の企画を実施中です。

参加すると、もれなくコーラが! ……ついてくればいいんですけどね。作者が喜ぶ以外何もないんで申し訳ないのですが、お暇なときに是非参加してみてくださいね!

詳しくは、132話の後書きへどうぞ!


では、また次回お会いしましょうね!


……ん? 何この紙?


"問題。今喋ってたのは誰でしょう?"


いや、そんなん分か―…え? あ、あの、分かってましたよね? ね?! いやあのオレですよオレ(了

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