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学校日和2  作者: めろん
132/235

第132回 混乱日和

後書きにて、お知らせがございます。

 雲ひとつないほどのいい天気にも関わらず、室内――国立セイクッリド魔法学校四階の、校舎からそれぞれの寮へ行く為の分岐点となっているほどよく広いホールにて、


『そんなわけで、只今からミス・コンテストを開催しちゃうよ〜!』


いつも通り元気いっぱいなクー先生のアナウンス通りに、ミス・コンテストなるものが開催されていた。


『いままではミス寮だったけど、これからミス学校、詰まり、ミスセイクリッド、すなわち、聖女をみんなで決めちゃうよ〜!』


どんなイベントでも、基本クー先生はノリノリで、


『……氏名と背の高さと成績以外で生徒に番号をつけるのは、ちょっとどうかと思うのですが』


基本ポリー先生は冷めている。


「俺もポリー先生と同意見。レディの基準はそれぞれだろォ?」


 ざわざわとざわめく会場の壁に寄りかかりながら、ポトフが不機嫌に呟いた。


「ってェか、そもそも"ミス"ってなんなんだァ?」


レディに順位をつけることが不満らしい彼が、隣に立つ友人に尋ねると、


「え? ああ、ポトフは初めの方はいなかったもんね。えっと、"ミス"っていうのはオレたちが寮分けされたその日に"寮の女子ひとり選んでください"って書かれた紙が配られて、まあ、オレとプリンはココアしか分んなかったからココアにしたんだけど、それで票が多かった人がなったんだと思うよ。で、選ばれた人は、学校案内? みたいなのの一ページを作らされるみたい」


コーラのビンを持ったミントが、さらさらと彼の疑問に答えた。


『それでは、聖女候補を紹介します!』


 ポトフの不満に気付かないまま、クー先生によってミス・コンテストが始まった。


『まずは、料理と裁縫はお手の物、闇魔法使いのミスウサギさん寮、ココア=パウダー!』


彼女がコールすると同時に、薄暗くセッティングされた会場に立つココアがスポットライトに当てられた。


「……腹立つなァ……」


わあっと歓声をあげる観客とは反対に、彼女を見世物にされているようなこの状況にますます機嫌を悪くするポトフ。


『続いて、スタイル抜群金髪ガール、雷魔法使いのミスおサルさん寮、チロル=チョコ!』


コールに合わせてココアの隣にライトが当てられ、チロルが登場する。


「……まあ、確かにあんまりいい気はしないね」


それを見て、ミントもポトフに同意した。


『続きまして、セイクリッド魔法学校一の情報屋、炎魔法使いのミスヘビさん寮、アロエ=ヨーグルト!』


彼らを構うことなく、スポットライトは増えていく。


『植物魔法使いのミスヒヨコさん寮、オリーブ=オイル!』


ライトが増える度に盛り上がる会場。

――が、


『最後にこの企画を持ちかけたピエロ少女、マシュー=マロ!』


最後の聖女候補の登場では、会場が静寂に包まれた。

――お前、誰やねん。


「♪」


生徒全員の心が一つになっている時、マロは会場でただひとり、この反応をプラスに捉えていた。


『ルールは単純。より票が多かった人が勝ちだよ! さぁみんな〜、レッツ投票♪』


静寂を切り裂いたのは、クー先生。

彼女が合図をすると、会場を薄暗くしていたカーテンがすべて開けられ、会場全体が明るくなった。


「ふふん♪ さっきの間、確実にまろに悩殺されてたまろね!」


 ざわざわと再びざわめき出した会場に用意された小さな円形の台の上に立っているマロが上機嫌でそう言うと、


『いやー、最後だけえらく会場の反応が違いましたねポリー先生!』


『まあ、明らかに部外者ですからね』


「ま――?!」


隣から、ポリー先生の的確な言葉が飛んできた。


「こんなイベントを持ちかけたマロもマロだけど、それを採用して即日決行した先生も先生だよね、ポト」


 そんな彼女たちを見て、ミントは肩をすくめながら発言している途中で、


「フ、って、あれ?」


自分の隣から、ポトフがいつの間にかいなくなっていたことに気が付いた。


「あれ? ポトフ?」


「ミント。馬鹿犬なら、あそこにいるぞ」


きょろきょろミントに、プリンはすっとポトフの居場所を指差した。


「ったくもー、なんだってのよー?」


石化したマロから一番離れた台の上に立つココアが、心底嫌そうに頭を抱えていると、


「まったくだぜ」


真正面から、聞き慣れた声が降ってきた。


「「え?」」


ミントはプリンの言葉に、ココアはその声に反応してそちらに目を向けた。


「ココアちゃんは、俺だけのお姫様なのにィィィィィ!!」


「ひあああああ?!」


「って、さっきまでのシリアス顔はどうしたのさあああああ!?」


直後、彼、ポトフがぎゅーっとココアを抱き上げたので、ミントは思わず遠距離突っ込みを披露した。


『おっとー?! 何やらポトフくんが見せ付けちゃってくれちゃってますよポリー先生!』


「テメェら俺のココアちゃんに投票したらぶっ飛ばすぞ!?」


『しかも完全に企画を放棄した脅しをかけてますね』


「ちょ、何言って……って言うかっ、何してるのよー!?」


ポトフが彼女を抱き締めたまま大きな声を発し、更には先生二人に中継されたので、ココアはすっかり注目の的。

ついでに、すっかり極寒の視線の的。


「わあ、ポトフとココアって、すっごく仲良しなんだね」


「……そーですね」


 ポトフは男子から、ココアは女子からの冷ややかな視線をビシバシ向けられているそんな状況で、ほのぼのと笑っていられるのは、恐らく彼、アオイくらいであろう。

そんなことを思いながら、あんな状況にだけはなりたくないミントが相槌を打った。

の、だが、


「ミ〜ントきゅう〜〜〜ん!!」


ガバーッ!!


ミントの思いは、儚く砕け散った。


『おっとー! ここでチロルちゃんが負けじとミントくんに文字通り熱烈アターック!』


「アタイもミントきゅんの票しかいらない〜みたいな〜!」


『そしてこちらも企画放棄しましたね』


「ってゆ〜か〜、むしろミントきゅんそのものが欲しい〜みたいな〜〜〜っV」


「って、いや何言ってんのさチロ―…」


『簡単に言いますと、チロルさんはミントさんと』


「―…計り知れないほど有難迷惑ですせんせえええええ!?」


飛び付いてきたチロルの言葉を簡潔に言い換えようとしたポリー先生の言葉を、ミントは全力で遮った。


「わあ、ミントもすっごく仲良しなんだね♪」


男子からの一点集中的な極寒の視線を浴びる羽目になったミントを見てくすりと笑ったアオイが、少し天然なところがあると分かっていても何故か腹黒に見えてしまう不思議。


「くそぅ……くそぅ!!」


「「も、元隊長っ!!」」


もうそんな関係になっているのかと、何度も何度も床を叩く元チロルファンクラブの隊長と、彼の行動を慌てて止めようと試みるその会員のみなさん。


「ほな、ココアとチロルはんはあかんな」


 その集団に極力関わらないように距離を置いて口を開いたのは、ソバカス少年、タマゴ。


「そ、そうですね」


ココアかチロルを選んだりしたら後が怖い、と、彼の意見に同意した猫耳少年、サラダ。


「すると、残るはあの二人か」


「は、はい。そうなりますね……」


石化してるピエロは、アウトオブ眼中。


「そやなぁ……アロエはんにしとくか?」


アロエとオリーブを見比べながら、タマゴがさらりと尋ねると、


「――?!」


サラダは、一瞬にして顔が真っ青になった。


「ん? どないした―…」


「ああああ、ああ、あっ、アロ、アロアロアロ」


「―…って、尋常じゃない汗と震え?!」


サラダの急変に焦っている途中で、


「……は! せやった! アロエはんはあかんわなぁ!! やっぱりオリーブはんにしとこ?! な!? な?!」


ダンスパーティー解剖事件を思い出したタマゴは、慌てて彼にそう言った。


「……ふむ」


 騒がしい周りを気にも止めずに、一点を見つめているプリンは顎に右手を当てて何やら熟考中。


「?」


その視線にふと気付いたのか、彼女、オリーブは、そちらに目を向けた。


「!」


すると、必然的にがっちりぶつかるプリンとオリーブの視線。


(ぷ、プリンくんが私のことを……っ!)


自分がプリンに見つめられていることに気付いたオリーブが、若干顔を赤らめながらも瞳を逸らせずにいると、


『大丈夫か?!』


蘇ってきたのは、去年の学園祭での出来事。


「――っ!!」


バフッと顔を赤く染め上げたオリーブは、今度は瞳を逸らさずにはいられなくなった。

そんな具合にふいっと素早く顔を逸らしたオリーブを見て、プリンは一言。


「……。誰だっけ?」


どっかで見たことあるような気がするんだけどなー的な表情で、彼は素で乙女の純情を踏み躙った。


ぶわんっ


「『?』」


 そんな様々な感情と状況がグダグダと入り乱れている会場の空間が、突如として切り裂かれた。


「あ」


みんなが疑問符を浮かべるなか、アオイは見覚えのあるそれに思わず口を開いた。


「とーうちゃーく」


「『?!』」


すると、空間の裂け目から巨大な鎌を手にした死神が現れた。


「……覚悟、です。腐れピエロ……」


「ま、まろ?」


それだけでも十分怖いというのに、


「……。首尾、一貫……」


「ど、どうしたまろ、りんりん? びしょ濡れだ」


彼の後ろから、鬼が現れた。


「っ連射モード!!」


「まろろろろろろぉ?!」


「おお〜」


目にも止まらぬ速さで繰り出される攻撃に関心を示した死神は、


「死神ビーム」


早速、鎌の先に紫色の光を集めだした。

会場は、嫌な予感でいっぱいになった。


「フフン♪ 連射モード」


「『いやいやいやいやいやいやいやいやああ?!』」


――こうして、グダグダ極まりないミス・コンテストは、


「傘がなくなって困ってたから僕の傘を使ってたのに、途中でこっちに呼ばれちゃってごめんね、リン」


一人を除いて、大混乱の末に強制終了させられたのであった。



 皆様こんにちは。

学校日和2に毎度お付き合いしてくださり、誠にありがとうございます。

 学校日和2を多少なりとも楽しみにしてくださっている、そんな皆様にお知らせがあります。

諸事情につき、大変申し訳ないのですが、今後、更新が更に遅く更に不定期になってしまうと思われるのです。

 え? 別にそんな楽しみにしてない?

……ふふふ、それはそれで申し訳ないです。

 とにかく、わざわざ来てやったのにも関わらずまだ更新してねぇじゃんこの丸い野菜ヤロー的な状況が続くかと思われます。



 そこで。



皆様の暇を少しでもつぶせるよう、またまた企画をやっちゃおうかと。



はい、性懲りもなくまた変なこと言い出した丸い野菜ヤローの思い付きに、みたびお付き合いしてくださる寛大なお心をお持ちの方は、もう少し下へどうぞ。









 いらっしゃいませー。

 てなわけで、学校日和2読者様参加型企画パート3の内容をお知らせしたいと思います。


『キャラ投票と、質問コーナーと、もしもコーナー』


はい、ただ単に前々回と前回の企画を合わせただけですね。

前々回と前回と同様、『キャラ投票』は、あなた様のお気に召したキャラクターに、お一人様3票までを、『質問コーナー』は、突っ込みどころ満載なキャラクターたちにあれやこれやの質問を、『もしもコーナー』は、あなた様が思い付く限りの"もしも"を、これまた前回同様、『感想欄』と『メッセージ』にて承りたいと思います。

〆切は、149話の後書きにてお知らせ致します。

特に条件とかそんな面倒くさいものは存在しませんので、お気が向いたときにでも参加なさってくださると嬉しいです。


皆様のご参加、心よりお待ち致しております。


では、まーた次ー回ー。

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